【レポート】

DVRの開拓者TiVo、HDD録画機を進化させる新戦略

    Yoichi Yamashita  [2005/01/14]

    1997年に設立され、デジタルビデオレコーダー(DVR)という分野を切り開いてきたTiVo。「使ってみなければ分からない。使うと虜になる」と評判になり、口コミでユーザーを増やしてきた。

    TiVoは、ハードウエアを安価に提供する代わりに、番組プログラムなどのサービスを有料で提供している。独特なビジネスモデルと言えるが、TiVoが登場してからしばらくは、HDD録画機はTiVoしかなく、HDD録画を手に入れるためにTiVoのサービスと契約するしかなかった。

    TiVoの会長兼CEOのMike Ramsay氏

    現在では、HDD録画機能付きのDVDレコーダーやセットトップボックス、メディアセンターPCなど様々な選択肢がある。しかも、それらのほとんどは無料で番組プログラムを提供している。TiVoのビジネスモデルは、きわめて少数派であり、TiVoが有料サービスのビジネスモデルを続ければ、長期的にはシェアを失う可能性も指摘されている。

    そのような中、TiVoはInternational CESで次世代プラットフォーム戦略「Tahiti」を発表した。TiVoの会長兼CEOのMike Ramsay氏は「HDD録画と番組プログラムを提供するだけで『TiVoのような~』と言っている製品は多いが、Tahitiが投入されれば、そのような言葉は使えなくなる」と述べる。HDD録画機が市民権を得た今、開拓者TiVoの新戦略は注目の存在である。

    ブロードバンドコンテンツにサービスを拡張

    Tahitiにおいても、TiVoがサービスを提供する企業であることに変わりはない。もともと、TiVoは視聴者が一方的に受け取っていたTVサービスを、視聴者がコントロールできるようにするのを目的としていた。その基本的な姿勢は変わらない。Tahitiでは、TV放送だけではなく、ブロードバンドサービスからのコンテンツを含めて、ユーザーがコントロールできるようにする。

    その一例として行われたデモを紹介しよう。ユーザーがケーブルTVで放送される映画『パーフェクト・ストーム』を録画する。録画画面には「これを気に入ったのならば、こちらをお勧めします」という項目が表示され、それを選択すると、「オーシャンズ・イレブンDVD (BEST BUY)」「オーシャンズ・イレブン予告(Yahoo)」「プリティ・ウーマン(TiVoダウンロード)」などが選択可能になる。

    HDD録画の過程で関連するオンラインストアを利用できるTahiti

    「オーシャンズ・イレブンDVD (BEST BUY)」を選ぶと、家電量販店BEST BUYの購入プロセスに進み、TiVoのリモコンのボタンを数回押すだけで購入できる。数日するとオーシャンズ・イレブンのDVDが配達され、料金はユーザーのTiVoアカウントに請求される。

    このようにTV番組プログラムをチェックする過程で、TiVoから直接オンラインストアなどにアクセスして、関連するDVD、書籍、CDなどを購入したり、レンタルすることができる。リモコンで操作できるTiVoならば、パソコンに抵抗を感じる人でも使いやすい。

    キーワードを使って録画番組を検索する"Wish List"やドラマなどをシーズンを通じて自動録画する"Season Pass"など、TiVoがTV向けに提供してきた特徴的なサービスもブロードバンドコンテンツに拡張する。さらに視聴者がTVコマーシャルを見ている時にリモコン操作で製品を直接購入できるようにするようなサービスも計画しているそうだ。

    また、Tahitiには、ホームネットワークを介してパソコン内の写真や音楽をTiVoで再生できるようにするTiVo DesktopやポータブルメディアプレイヤーやノートPCにコンテンツを転送するTiVoToGoも含まれる。

    TiVoは、HDデジタルケーブルのセットトップボックス機能を統合した「TiVo HD Digital Cable Ready DVR」を2006年初めに提供開始するが、Tahitiの機能は現在提供中のTiVo Series2でもソフトウエアをアップグレードすることで利用できる。Tahitiを実現するソフトウエアは今年から2006年にかけて段階的に提供する予定。今年第1四半期中に、開発者やTahiti向けにサービスを提供する企業に対してSDKをリリースするという。

    DVR、デジタルメディア再生、デジタルエンターテインメント・サービス、EコマースをTiVoボックス一つで実現するTahiti。TiVoを中心とした、まさにプラットフォームである。問題は、Tahitiでサービスを提供する企業とユーザーを、TiVoがうまく結びつけられるかだ。検索型広告ではないが、「これを気に入ったのならば、こちらをお勧めします」で表示される内容がユーザーの興味をそそらなければ、TiVoのビジネスモデルは成立しない。

    関連記事

    関連サイト

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      マイナビニュースマガジン