【レポート】
こうしたNVIDIAのPureVideoに対する力の注ぎようは頼もしくはあるのだが、気になる点もないわけではない。
まずは価格の問題。PureVideoの効果が大きいといっても、「映像が見られれば別に細かいことは気にしない」というユーザーが大半のはずで、そうしたユーザーがUS$19.95の追加投資をするかと言えばかなり厳しいと言わざるを得ない。またGeForce 6600シリーズ以上のビデオカード製品は結構な値段がするので「バンドルされて然るべきじゃないのか」という考えも当然沸き上がってくるだろう。これについてNVIDIAは「NVIDIA DVD DECODERのPureVideo対応版の30日体験版を提供する予定」と説明し、対応策としている。
そして、もう一つ。もともとGeForce 6シリーズのPVPは「動画像のエンコード処理のアクセラレーションにも効く」という触れ込みで登場したはずだったのに、今回のPureVideoにはそうした関連技術は一切実装されなかった。
今、「パソコンでビデオ」といえば、エンコード(トランスコード)処理の方が、ホットトピックとして注目度は高いわけで、そんな中、デコード処理専門として登場してきた今回の第一世代PureVideoは、その意味でのインパクトは薄い。
上記の短期ロードマップにもエンコード関連の話題が挙げられていないことについて、NVIDIAは「エンコード処理をアクセラレーションするための業界共通APIがないため、実装に踏み切れない」と説明した。
GPUはCPUとは違い、その機能を利用するにはどうしてもソフトウェアの窓口(インタフェース) が必要になる。このあたりがCPUのマルチメディア拡張命令などと違って、対応が遅れ遅れとなるわけだ。現在、こうしたマルチメディア処理向けの基本APIとして真っ先に思いつくのは、OpenGL/ESの規格策定を手がけるKhronosグループが開発中の「OpenMAX」ということになるだろうが、もし、これが完成してからの対応ということになれば、結構先の話になる。
いずれにせよ、NVIDIAが3Dグラフィックスパフォーマンスだけでなく、ビデオ再生品質の向上にも力を入れていくという新たな戦略の打ち出したことについては、今後も業界は注意深くその動向を見守っていくことだろう。
そしてもちろん、All-in-Wonderというテレビパソコンキット製品を持つライバルのATIの出方も気にかかるところである。
(トライゼット西川善司)
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