【レポート】
また小島氏は、これ以外にgccに寄せられている主な問題点について、その内容と対応状況について説明した。
まず多くのユーザから寄せられているのが「コンパイル速度が遅くなった」との苦情だという。gcc 2.95と4.0を比較した場合、4.0では2.95に比べてものによっては300%以上コンパイル速度が遅くなるケースが出ているということで、同氏は「正直「速いマシンを買ってくれ」と言いたい部分もあるが、それを言えないのがつらい」とその困った様子を語った。またこの速度を今後改善できるかという点についても、同氏は「そもそもが、それぞれ「これを変更すると5%ほど遅くなる」という変更点が数多く積み重なったために遅くなっていることを考えると、これをやれば一度に速くなるというものはない」と述べ、簡単には速度は速くならないとの認識を示した。
これ以外に「メモリを食いすぎるので何とかして欲しい」との意見も組み込み系を中心に多いというが、これには「メモリを購入する金ぐらい何とかならんのか」との反論で要望が却下されることがほとんどと小島氏は述べ、「組み込み系はアーキテクチャの関係でメモリの最大搭載量が少なくなることが多いのに、それをあまりわかってもらえない」と困っている状況をあらわにした。また「コンパイルされたバイナリの動作速度がicc(Intel C Compiler)に比べて遅い」という意見も多いというが、これについては「アーキテクチャを決め打ちすることで初めて可能になる最適化というものがあり、gccではそこまで踏み込めないケースがある」と語っていた。
また「完全な内部形式のTree Dumpを取りたい」という意見については、小島氏は「実はこれはRMSの方針で「完全なダンプは出さないようにすること」ということになっている」との事実を明らかにした。これは「完全なダンプを出力可能にすると、ProprietaryなBackend Pathを作られてしまう可能性がある」という理由からだと言うのだが、一方で開発者にとって完全なダンプが取れることが非常に魅力的であるという事情もあることから、事前に何らかの文書等を交わしたユーザに限り完全なダンプの出力機能を利用可能にするといったことができないか現在検討が行われている、と同氏は語った。
このように様々な問題点を抱えながら開発が続けられているgccだが、今後もオープンソースの世界においてなくてはならない存在であり続けることだけはほぼ間違いないところ。今後gccがどのように発展していくのか、またgcc 4.0がどのような形で正式リリースにこぎつけるのかといった点に注目していきたい。
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