【レポート】

eMEX2004とITベンダーの産業集積が進む中国/長江デルタの現状

1 eMEXとは

    吉村章  [2004/12/20]

    eMEX2004(イーメックス)開催概要

    今年で第3回目となるeMEX2004(蘇州電子IT製品調達展示会、通称イーメックス)が、10月20日から10月23日まで、中国に生産拠点を持つ多くのITベンダーを集めて、蘇州国際博覧センターで開催された。出展企業数は406社、1,300ブース。中国では比較的規模の大きな展示会となる。主催者は、中国商務部、信息産業部、国務院台湾事務弁公室、江蘇省人民政府などが名を連ね、国家級の展示会であることが強調されている。

    eMEX2004、Electronic Manufacturers EXpo

    2002年に始まったeMEXは、当初江蘇省政府、蘇州市人民政府の主催であったが、昨年から国家級の見本市に格上げされている。出展企業数は前年比35%増、ブース数で前年比59%増の規模となった。

    実際の展示会の運営は、蘇州市人民政府と台北市コンピュータ同業協会(TCA)とが合弁で設立した蘇州ケンブリッジ展覧商務有限公司(BES)によって行われている。TCAは、本部を台北におく組織。毎年6月に台北で開催されるCOMPUTEX TAIPEI(台北国際コンピュータショウ、通称コンピュテックス)主催団体でもある。会員企業はおよそ4,500社、その多くが中国に進出している。中国に進出している台湾のITベンダーの声に応えるため、長年培ってきたCOMPUTEXの展示会運営ノウハウを生かして、2002年から中国で開催されている展示会がeMEXだ。

    eMEXの特徴

    しかし、COMPUTEXとeMEXでは、展示会の性格が大きく異なるといってもいいだろう。COMPUTEXは、台湾製品を買い付けるために世界中からバイヤーが集まる展示会。輸出中心の台湾ITベンダーにとって、世界中からお客さま(バイヤー)に集まっていただいて、台湾製品を世界中に売りさばくのが目的だ。

    一方、eMEXは電子部品サプライチェーンのプラットフォームとなることを目指して開催される展示会である。eMEXとは、Electronic Manufacturers Expoの略で、電子部品、生産設備、検査機器、原材料、キーパーツとなるモジュールやコンポーネンツなど、部品調達及びベンダー向けの市場開拓の場として開催される。主な出展企業は欧米、日本、台湾の大手アセンブリベンダー、中国、台湾の中小電子部品メーカーなど。また日本企業では在中国の販社からの出展もある。

    展示会場

    会場となった蘇州国際博覧センターは、上海市内から高速道路でおよそ1時間、蘇州市の東、金鶏湖畔に建設されている新しい展示会場である。ここは中国・シンガポール蘇州工業園区の中にあり、昨年で10周年を迎えた蘇州工業園区の新しいプロジェクトとして再開発が進められている地区の中にある。

    蘇州国際博覧センター全景。完成すると14ホール、12万平方メートルの展示会場となる

    今年9月に第一期工事として3つの展示ホールが完成したばかりで、事実上、eMEX2004が展示会場の「こけら落とし」となった。すべての施設が完成すると、敷地面積32.6万平方メートル、展示面積12万平方メートル、14の展示ホールと国際会議場、多目的ホール、レストラン棟などを有する中国でも最大規模の展示会場となる。

    蘇州市人民政府主催、歓迎レセプション

    会場には国内外から500名以上の招待客

    今年のeMEXは3つの展示ホールを使用しての開催。ひとつのホールはおよそ8,570平方メートル、日本の展示会場と比較してみると、東京ビックサイト東ホールのひとつのホール面積が8,670平方メートルでほぼ同じ。東京ビックサイト東ホールは、6つのホールがあり、展示面積はおよそ合計52,000平方メートル。蘇州国際博覧センターが完成すると合計14ホール、展示面積12万平方メートルとなり、これは東京ビックサイト東ホール(第1~第6ホール)のおよそ2.3倍の展示会場となる。

    オープニングセレモニーで挨拶する蘇州市長

    来場者

    4日間の来場者数はおよそ4万6,000人となった。4日間の会期のうち、初日から3日間はビジネスデーにあてられる。特に、初日には1万4,000人の来場者数を記録し、1日あたりの来場者数で第1回から過去最高の来場者数となった。最終日は一般開放日となり会場はたいへんな賑わいになったが、来場者数にはカウントされていない。来場者統計はバイヤー登録を行った来場者の合計となっている。

    eMEXは、当初から日本、ドイツ、フランスなどからの視察団及び調達ミッションが組まれるなど、国際的にも注目されている。特に初日は来場者が多く、現地の新聞報道には、「終日引き合いへの対応に追われた」「予定していた名刺がなくなり、慌てて名刺の印刷を手配した」といった出展担当者のコメントが掲載されていた。

    また、中国の金型工業会の視察ミッションの参加者は、「現地の状況が把握できた。大きなビジネスチャンスを期待できる。来年は出展も視野に」とのコメント。今年初めての出展となるSamsung(三星)の担当者は、「すでに来年の出展予約を済ませた」と話している。また、日本からの視察で来た電子部品商社のセールス担当者は、「日本で開催される展示会とは違い、対象はあくまでも企業ユーザーなのでわかりやすい」といったコメントも、会期2日目(10月21日)の地元紙に紹介されていた。

    今年初めての出展となるSamsung

    IBM

    出展企業

    出展企業406社のうち、台湾勢が177社、716小間と最も多く、全体に占める割合は出展企業数で45%、出展面積で55%を占める。主な出展企業は、ASUSTek(華碩)、BenQ(明基)、TA TUNG(大同)、Power Chip Semiconductor(力晶半導体)、MXIC(旺宏電子)など。台湾勢はこうした大手アセンブリメーカーや部品メーカーばかりでなく、むしろ中小の部品メーカーが数多く出展している。こうした台湾企業の勢いには目を見張るものがある。

    中小の部品メーカーも数多く出展

    ノートPC、携帯電話、液晶、この3つが現在最も注目されている製品である。こうしたアセンブリメーカーに対する部品供給メーカーが蘇州、昆山、呉江などの地域を中心に集積、IT関連製品のサプライチェーンを形成している。

    また、台湾からの出展では単独での申し込み以外にも、電子部品の業界団体であるTECSA(Taipei Electronic Components Suppliers' Association、台北市電子零件商業同業公会)、プリント基板の業界団体であるTPCA(Taiwan Printed Circuit Association)といった業界団体が現地で出展企業を募集し、パビリオンを設けて出展している。

    日本勢では、ルネサステクノロジー、日立製作所、松下電器産業、東芝、キヤノン、シャープ、リコー、日東電工など、各社とも比較的大きなパビリオンを設けて、台湾勢に負けない存在感を示していた。

    ルネサステクノロジーを始めたくさんの日系企業も出展

    シャープ

    日立製作所

    松下電器産業

    キヤノン

    リコー

    横河電機

    日東電工

    スミダ

    また、昨年から設置されている日本パビリオンには、今年はアルプス電気(蘇州)、アイ・オー・データ機器(上海)、トライテック(新潟)などが出展。昨年に引き続き出展した日立地区産業支援センター(茨城/日立市)では、日立地区の中小企業14社がパネル展示とサンプル出展を行った。

    ジャパンパビリオンに出展したアイ・オー・データ機器

    日立地区産業支援センターグループのパネル展示

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