【レポート】

障害者IT支援の課題 - サポーター育成とフィッティングの大切さ

1 障害者IT支援を実現するサポートモデル調査

    石田優子  [2004/12/15]

    12月11日、12日の2日間、横浜ラポールで、パソコンボランティア・カンファレンスが開催された(主催:日本障害者協議会、共催:神奈川県社会福祉協議会、横浜市リハビリテーション事業団)。

    パソコンボランティア(略称パソボラ)は、90年代の初めに草の根的に各地域で立ち上げられた組織で、パソコンを使う、主に障害者のヘルプの声にこたえ、サポートするボランティアのことである。全国のパソボラの交流と連携の場としてパソボラ・メーリングリストが運営されており、1997年からは毎年「パソコンボランティア・カンファレンス」が開催されている。また、2002年には厚生労働省が「障害者ITサポートセンター事業」を開始し、各都道府県でITサポートセンターの立ち上げ始められているが、その事業とパソボラの連携も最近は進められている。

    今回は、そのパソコンボランティア・カンファレンスで11日に行われた「障害者IT支援・サポートモデル調査」研究報告会に参加してきた。会場では、聴覚障害者のための要約筆記字幕なども用意されており、パソボラとIT支援を受けたり支援したりしている側の障害者の数も多く見られた。

    会場では、聴覚障害者のための要約筆記字幕も用意された

    障害者IT支援を実現するサポートモデル調査 - 第一部

    第一部では、国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所の深谷順子氏より、「障害者IT支援・サポートモデル調査」の報告があった。この調査の目的は、パソボラ、障害者ITサポートセンターを中心に、障害者のIT利用を支援する多様なスタイルを調査対象とし、支援のありかたとそのモデルを見出すことに主眼が行われている。

    国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所の深谷順子氏

    調査方法としては、アンケート調査と、聞き取りによる実態調査が行われた。アンケートに回答した団体としては、任意のパソコンボランティアグループとNPOをあわせると約50%、さらに障害者全般に関わる福祉法人や障害者団体などが約25%、その他は、公的機関、企業、個人、学校などで、当初は草の根のパソコンボランティアグループから始まった障害者IT支援活動が、徐々に広まっていることがうかがえる。

    活動している団体の活動メンバー比率では、女性の比率が約39%と、点訳、音訳、手話通訳などの従来の障害者への情報保証活動にたずさわっていた人が女性に多いのに比べると、男性の比率が高い。一般にパソコンの技術に親しんでいる人はまだ男性が多いのがボランティア活動にも反映されているようだ。

    パソコンボランティアの構成員としては、主たるグループでは会社員が多く、副たるグループでは主婦や、高齢退職者が多い。また、障害を持った当事者がボランティア活動をしているという報告も5例あった。つまり、IT支援を受けた障害者が今度はIT支援側に回るというピアカウンセリング的な例も見られるということだ。IT技術を必要とするだけに、パソコンやITの基礎知識を持った会社員などの技術者などが活躍している面が見える一方、学生の数は、主たるグループではゼロと、学生にはやる気はあっても、知識、技術が不足している、あるいは継続的なサポートが難しいという点が見える。

    取り組んでいる上での課題としては、財源が不安定、IT支援者の技術が追いつかない、障害者に対する知識が足りないというものが多く挙げられた。アンケート、聞き取り調査の結果、パソボラのグループは、その成り立ちや構成員もまちまちで、また取り組みも多様であることがわかった。支援開始のきっかけでの他のボランティアをやっていたから、パソコン通信の仲間、IT講習会、公的機関の募集、パソボラカンファレンスがきっかけといったものがあった。

    従来の訪問支援を行うスタイルだけでなく、障害者向けのIT講習を行う、各種の相談活動、イベントを行うなど様々だ。行政や社会福祉協議会とのつながりを持たないグループもあるが、自治体などとの連携で活動しているグループもある。活動の多様化としては、1997年ごろから支援を開始した従来型のパソボラが「仲間、友達意識を大事に」「必要な人に支援を」「支援を受けた人が支援者になる」といった仲間作りを大事にした活動が中心になっているケースが多く、構成員でも会社員など現役世代が中心となっている場合が多いのに対し、「障害者ITサポートセンター事業」以降に発足したグループでは、主婦や退職者などが中心に活動を展開しているものが増加傾向にある。従来型のパソボラとITサポートセンター事業などの住み分けが求められている。

    ITサポートセンターでは、センター側がサポーターを育成し、センター側がサポート料金を支払う有償サポーターという制度を導入しているところもある。障害者ITサポートセンターなどの現状としては、支援者の育成プログラムが明確に位置付けられている、福祉に明るく、関係機関などとの調整が可能な人材が担当者、コーディネーターにあてられている、パソボラやNPOなどとの連携がなされている点が挙げられた。実施体制としては、予算が十分に確保できないため、コーディネーター相談員などに専門的な知識を持った人を雇用できない、都道府県域のITサポートセンターではサポート範囲が広すぎて、交通費がかかりすぎる、また、サポーターへの負担が大きい、支援者を本格的に育成して行かないと、訪問支援に踏み出せないといった声があった。

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