【レポート】

OPEN-R TECHNO FORUM 2004 - 新競技にエンタテインメント、将来の課題も

1 AIBOがダンス、ボーリング、だるまさんが転んだ、一発芸…

    山田久美  [2004/12/13]

    競技会の種目に新たに「エンタテインメント」が追加された

    4日、東京・お台場の日本科学未来館で、今年もソニー主催の「OPEN-R TECHNO FORUM 2004 in Japan」が開催された。これは、同社が、一般に無料公開しているエンターテインメントロボット「AIBO」の基本アーキテクチャ「OPEN-R」用の開発キット「OPEN-R SDK」などによるロボットプログラミングの技を競い合う機会を参加者に提供することで、参加者同士の情報交換や交流を深めてもらおうと毎年開催しているもの。誰でも参加することができるが、個人参加よりも大学の研究室などグループによる参加が多く、自律移動ロボットによる競技大会「RoboCup」の1種目、AIBO同士によるサッカーリーグ「四足歩行ロボットリーグ」の試金石ともなっている。

    フォーラムは主に、参加者が持参したAIBOによる競技会とAIBO関連の研究成果の発表会の2つで構成されており、競技会の種目としては、今回は、前回の「PK戦」「AIBOレース」に新たに「エンタテインメント」が追加され、全部で3種目となった。

    今回新たに加わった「エンタテインメント」競技

    フォーラムは「エンタテインメント」競技で幕を開けた。当初、7チームによるエントリーがあったが、1チームがAIBOを操作する無線LANの不調により棄権したため、実質6チームによって勝敗が競われた。

    ルールはシンプルで、3分以内にAIBOによるパフォーマンスを披露し、エンタテインメント性を競うというもの。AIBOでさえあれば、台数の制限も使用するアプリケーションの制限もない。小物を使用したり、人による遠隔操作もOKだ。審査は「エンタテインメント性」と「技術性」の2つの側面から評価されるため、実際にパフォーマンスがどのようなシステムによって行われているのか、どのような技術的な試みがなされているのかなどをプレゼンテーションし、技術性をアピールすることも可能だ。

    審査員は、日本科学未来館・企画開発室の湯沢哲朗氏、ワールドフォトプレス「モノ・マガジン」の松岡卓氏と飯島恵里子氏、ソニー・エンタテインメントロボットカンパニーの武藤克巳統括部長、弊誌編集部の日高彰の4組が務め、各組10点(エンタテインメント性5点、技術性5点)の持ち点に加え、観客から選ばれた10人の一般審査員の1人2点の持ち点を加え、60点満点による点数で判定された。

    5名4組の審査員

    審査員による採点の様子

    参加者は、プレゼンテーションし、技術性をアピールすることも可能

    10人の一般審査員は、1人2点の持ち点

    最初にパフォーマンスを披露したのは、工学院大学Dog-iチームで、AIBOの機種は「ERS-220」1体。内容はAIBOがゴルフをしながらゴールを目指し、ゴールに設置してあるボーリングのピンを倒して終了するというもの。実際のところ、ボーリングのピンを倒すまでには至らなかったが、計34点を獲得した。「アイデアは面白かったですが、ゴールまで行かなかったのは残念でした」(日本科学未来館・湯沢氏)。

    2番目は東京工科大学HLAB04チームで、「AIBOと音楽で遊ぼう」と題された「ERS-220A」4体による音を使ったパフォーマンスを2種類披露。ひとつはAIBOによる「だるまさんが転んだ」、もうひとつは、AIBO4体が第九(喜びの歌)のメロディに合わせて踊るというもの。両方とも基本的なしくみは同じで、例えば"ドレミ"といった3つの音に対して、AIBOがひとつのモーションを実行させるようにプログラミングしてある。第九の中には、"ドレミ"や"ミレド"といった連続する決まった3音が多く含まれているため、そういった3つの音に対応したモーションを数多く作ることによって、モーションが連続的に実行され、AIBOが「だるまさんが転んだ」をやっているように見えたり、踊っているように見えるというわけだ。結果としては計50点の高得点をマークした。「色で指示を出すという方法はポピュラーですが、音で指示を送るというのは珍しいので、技術的に新しい取り組みだと思いました」(弊誌編集部・日高)。

    AIBOがゴルフをしながらゴールを目指す

    「AIBOと音楽で遊ぼう」では、3つの音に対してAIBOがひとつのモーションを実行するようにプログラミングされている

    動画
    だるまさんが転んだをするAIBO(wmv形式 1.50MB 48秒)

    3番目は福井工業高等専門学校(以下、福井高専)の「ERS-210A」。まず、「今日はAIBOによる1発芸を披露します。AIBOが2本足で立ったらすごいと思いませんか? 今回は、それは難しかったので、3点倒立を目指しました。電池の続く限りずっと立っていることができます」と挨拶。頭と前足2本による3点倒立を成功させた。わかりやすさが受け、48点を獲得した。

    4番目はGPMチームによるダンスパフォーマンス。「ERS-7」3体と「ERS-220」2体の総勢5体が曲に合わせてダンスを踊り46点を獲得した。「アイドルグループのように、5体いたのが可愛かったです。わかりやすい振り付けが良かったです」(モノ・マガジン・飯島氏)。

    AIBOによる1発芸

    総勢5体が曲に合わせてダンスを踊る

    5番目に登場したのはRoboCupで活躍している九州大学大学院システム情報科学研究院情報理学専攻の「Jolly-Pochie」チーム。AIBO「ERS-7」3体によるボーリングを披露した。青いゴールの前にボーリングのピンを10本並べ、中央にいる1体がボールを使ってピンを倒し、ゴールの両脇にいる2体がピンの倒れ方によって、リアクションをしてくれるというもの。「今回、使った技術的なネタは2つで、ひとつは今年6月27日から7月5日、ポルトガルのリスボンで開催されたRoboCup世界大会に出場した際に、会場で、『世界最強』と言われたすごいシュートでピンを倒すこと。もうひとつは、両脇の2体のAIBOに、倒れたピンの数を画像処理で判別させ、それに応じたパフォーマンスをさせているということです」(Jolly-Pochieチーム)。

    実際、本番ではほとんどピンを倒すことができなかったため、39点という低い点数に留まってしまったものの、両脇の2体が前足で自分の顔を叩くパフォーマンスは非常にコミカルで、技術的な試みが高いのはもちろんのこと、エンタテインメント性も十分だと筆者自身は感じた。

    最後のYAMAMOTO-LABチームは「ERS-210A」と「ERS-210」の2体によるパフォーマンスで、1体がトナカイとなってソリを引き、その上にサンタクロースの格好をしたもう1体が乗り、クリスマスソングに合わせて踊るというもの。わかりやすさが受け41点を獲得した。

    結果的には50点を獲得した東京工科大学HLAB04チームが優勝した。

    ゴールの両脇にいる2体がピンの倒れ方によって、リアクションをしてくれる

    クリスマス風が愛らしいAIBO

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