【レポート】

北欧の電脳街を歩く

1 北欧では郊外店型大型電器店でPCは売られる

    山谷剛史  [2004/11/29]

    2004年9月、筆者は北欧のIT事情を調べるべく1カ月ほど訪れた。北欧のIT事情を電脳街の様子から読み解こう。

    今回筆者が滞在した北欧の国々は、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク。どの国もIT最先端をいく国々で、家庭のPC普及率やインターネットの普及率も高く、オンラインショッピングやインターネットバンキングを国民の多くが日常的に経験している。

    そんな国々の電脳街はいかなるものか? 秋葉原よりは小さいけれどきっとそれなりの規模はあるだろう、と思っていた。しかしいきなり残念な結論からいうが、北欧の電脳街を歩くといいながら、北欧には東京・秋葉原や大阪・日本橋のようなある都市の地域1カ所に固まっているような電脳街はなく、ヤマダ電機やコジマ電機のような、PCやPC関連製品だけでなく家電やゲーム、携帯電話などを売る郊外型大型家電チェーン店といったものが主で、あとは小さなアセンブリ専門店があるくらいなのだ。

    品揃えは、PC関連の商品でいえば、デスクトップPC、ノートPC、デジカメ、周辺機器、ソフト(ビジネス&ゲーム)といったところ。デスクトップはHP、PackardBell、FujitsuSiemens、ACER、それにショップブランドPCが主。北欧とはいえ、ショップブランドでデザインに凝ったものではなく、世界のどこにでもありがちなデザインであった。アセンブリパーツはほとんどの店で扱っていなかった。

    ノートPCはHP、PackardBell、FujitsuSiemens、ACERに加え、東芝やソニーが並んでいた。日本でいうところのモバイルPCは全くといっていいほど売られていなかった(ソニーにしても、大型のノートPCのみ販売している)。とはいえ筆者の所持しているVAIO Type Uを、訪問した各国でいろんな人に見せた反応は9割方ウケがよく、チャンスがあればそれを買いたいとはいっていた。この辺のメーカーとユーザーの温度差があるのではないのだろうか?

    ほとんどの店が日本製のデジカメ、それにHPとコダックのデジカメを売っていた。何店かはそれらに加えて台湾産か中国産と思わしき格安のデジカメも販売していた。日本では未発売の欧州製のデジカメが売られていることを期待したが、見た限りは売っていなかった。デジタルビデオカメラを販売する店も多いが、商品は日本と同じであった。

    周辺機器でどこでも売られているものは、プリンタ、液晶モニタ、通信機器、ビデオキャプチャ、外付けHDD、DVD±R(内蔵・外付け両方とも売られていた。DVD-RAMはメディアを含め見た記憶がなかった)、それにキーボードやマウス、各種ケーブルや各種メディアなどのアクセサリ。通信機器では、無線LANがどこでも大量に扱われていて、今が無線LANの旬であることを感じた。他にはADSLモデム、Bluetoothのアダプタやキーボード、ヘッドセット、それに日本では今さらな感じもするアナログモデムやISDNのTAなどを販売しているところも少なくなかった。

    ソフトに関していえば、どこの店でも売られているのはビジネスソフトよりもゲームソフトのほうが圧倒的に多い。ビジネスソフトで売られている製品はまずシマンテックやF-Secure(F-Secureはフィンランドの会社)などのアンチウイルスソフト、それにマイクロソフトのWindows OSやOffice、それに何点か他のソフトがある、といった感じで品揃えは少ない。

    Linuxはそれなりに売られているかと思いきや(特にフィンランドは発祥地であるし)、これがほとんどといっていいほど売られておらず、LinuxがプリインストールされたPCも見かけなかった。ノルウェー政府のIT関連担当者と話す機会があったが、「いくら発祥の地だからといってもLinuxをメインで使うユーザーはわずかで、Linuxは研究開発のために使う人がほとんどではないだろうか。コンピュータを専門とする学生でLinuxを扱える人は多いはずだ」といっていた。

    ゲームソフトは日本と違って、ゲーム機とパソコンゲームが対等に(雰囲気としては同じ扱いで)並んでいる。ゲームは欧米系のものが多く、日本のゲームは半分以下。日本の匂いのあるゲームはウケが悪いようだ。現地の人とお互いの国のIT事情について語ったときに、日本のショップ事情で一番驚かれたのが、PCゲームとテレビゲームは別扱いであることだった。

    北欧各国で世界トップレベルのPC普及率となった理由のひとつがゲームだそうだ。それはキラーソフトがあるからということではなく、PCをゲーム機ととらえる考え方なのだろう。パソコンゲーム売り場には一般向けのゲームの他にも、例えばディズニーのキャラクタを用いたゲームなどの子供向けゲームも販売されている。それは家庭にPCが当たり前にあり、PCの使い道としてゲーム機として使うことが当たり前であるのを証明しているだろう。

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