【レポート】

長野県住基ネット侵入実験のNuwere氏「管理責任の所在をはっきりと」

1 技術的な部分についてはそもそも秘密保持契約下

    佐藤晃洋  [2004/11/17]

    11月11日・12日の両日、都内でセキュリティ関連のイベント「PacSec.jp/Core04」が行われた。その中で、昨年長野県で行われた住基ネット侵入実験の概要について米SecurityLabのEjovi Nuwere氏が講演する予定だったが、内容の一部に総務省が難色を示し、Nuwere氏の当初の意向に沿う形での発表が難しくなったため、最終的に同氏の判断で講演は見送られることになった。果たして何が問題で講演を中止せざるを得なかったのか。

    この点についてご本人から「報道陣に対して事情をご説明したい」との意向が示されたため、急遽場所を移し報道関係者による合同インタビューを行うことができたので、本稿ではその模様をお伝えしたい。

    元々技術的な問題点について詳細を公開するつもりはなかった

    報道陣のインタビューに答えるEjovi Nuwere氏

    --まず今回の一件について、Nuwere氏は直接総務省とコンタクトを取ったのか?

    直接の連絡は取っていない。全ての連絡は総務省と(PacSec.jpの)実行委員会の間で行われていた。

    --総務省が発表内容に難色を示したことについてはどう思うか?

    できれば総務省とは直接話し合いを持ちたかったが、その機会が与えられずキャンセルになってしまったのが残念だ。私としては単に本当のことを表に出すべきだと思っていただけで、誰かを傷つけるといった意図は持っていない。

    --(今回総務省から削除要求を出された)結論としては、何を発表する予定だったのか?

    この点については多少行き違いもあるようなので補足しておきたい。

    元々今回の講演で使用する予定だったプレゼンテーション資料は一度変更を行っているのだが、その(変更後の)予定稿を総務省に見せたら「この内容ではまずい」と言われ「(変更前の)初稿のものをベースに修正したものを使用して欲しい」と言われた。しかし初稿は1ヶ月前に作成したものなので情報が古くなっており、これをつぎはぎのような形で修正して発表するのは納得がいかないため発表を中止せざるを得なかった。従って結論部分だけが問題ということではない。私はどうすれば住基ネットが安全になるかを伝えたかっただけだ。

    --元々具体的な中身に踏み込んだ発表を行う予定だったのか?

    そもそも住基ネットの何が問題なのか、それを定義しないことには解決策を示すこともできない。別に住基ネットを中止せよとか言うことを訴えるつもりはなく、あくまでどうすればセキュリティを向上できるかを話すつもりだった。私はあくまでアウトサイダーであり内部に影響力を持つ立場にはないが、それなのにこれでは、セキュリティの向上が遅れるのではないだろうか。

    発表では侵入テストの詳細を説明する予定だったが、技術的な部分については長野県との契約でNDA(Non Disclosure Agreement:秘密保持契約)を結んでいるためそもそも話すことはできないことになっている。それ以外には総務省等が公開している情報を元にした個人的な意見や、既に明らかになっている問題点についても話す予定だった。

    --もし今後改めて発表の場が与えられたら発表を行いたい意向はあるか?

    機会があれば発表したい意思はある。自分が発見したことを一般の方々にお伝えすることは、自分の義務であり社会的な責任もあると考えている。

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