【レポート】

デスクトップLinuxはどこへ向かうべきなのか?

鶴田展之  [2004/11/16]

12日、OSDL(Open Source Development Lab)の記者懇談会が、マーケティングディレクターNelson Pratt氏の来日に合わせ開催された。OSDLも設立から4年を経て、現在世界中で50以上のメンバー企業が参加している。Linuxのエンタープライズ市場への進出が進む中、ますますOSDLに期待される役割は大きくなっていると言えるだろう。記者懇談会は1時間ほどの短いものだったが、その中でもいくつかNelson氏から新しいトピックを聞くことができた。

OSDLでは、現在複数のワーキンググループが並行して活動している。通信事業向けの要求仕様を作成する「CGL (Carrier Grade Linux)」、データセンター向けの「DCL (Data Center Linux)」、そして今年の1月からは、デスクトップLinuxの成長を促進する「DTL (Desk Top Linux)」がスタートしている。

まず、CGLに関しては既に要求仕様(Carrier Grade Linux Requirements Definition)のバージョン2.0が公開されており、いくつかのディストリビュータで対応が進められている状況だ。10月にはTimeSys社からCGL 2.0に準拠した初のLinuxディストリビューションが登録された。NTTをはじめとする通信事業者も、Linuxの適用には積極的な姿勢を見せているという。

また、最も新しいワーキンググループであるDTLに関しては、Nelson氏から基本的な方向性が示された。重要なのは、WindowsとLinuxを一対一で置き換えることではなく、例えばキオスク端末をはじめとする、シンプルなビジネスに向けて機能を特化した用途への適用を進めることだという。実際、Microsoftのテクノロジが非常に優れていること、OfficeやOutlookのユーザをLinuxデスクトップに移行させるには教育・習得のための新たなコストが必要なことなどから、一般的なユーザのWindowsデスクトップをLinuxに置き換えるのは困難であり現実的ではない。Nelson氏は、Windowsに対する大きな機能的アドバンテージがない以上、Linuxデスクトップの適用範囲は適材適所が望ましいと考えているとのことだ。ただ、DTLの今後の活動によって、よりエンドユーザの要求を反映した形でLinuxデスクトップが成長していくことができれば、自ずとその適用範囲も広がっていくだろう。また、中国、南米、東欧といった、まだWindowsも普及していない地域では、Linuxデスクトップが受け入れられる可能性もある。DTLワーキンググループの参加企業も日毎に増えつつあるとのことなので、今後の活動には大きく期待していきたい。

各ワーキンググループの近況以外では、イベント「OSDL Enterprise Linux Summit」の開催が大きなニュースだろう。来年の1月31日から2月2日、カリフォルニア州バーリンゲームのハイアットホテルで行われるこのサミットでは、Linus Torvalds氏、Andrew Morton氏、Brian Behlendorf氏といったカーネル開発の中心人物が一同に会する座談会が行われる他、ISVからエンドユーザまで広範囲を対象とした、エンタープライズLinuxに関する多数のセッションが予定されている。Linuxの「中心」に触れるチャンスとして、日本での開催にも是非期待したいところだ。



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