【レポート】
ノキアはフィンランドに本社を持ち、全世界の携帯電話の市場で3割近いシェア(2004年9月Gartner調べ)を持っている携帯電話業界の巨人だ。どの程度巨大な企業か、日本の携帯電話がGSMではないのでいまいちイメージがわかない人のために説明すると、例えば10月14日発表の2004年第3四半期決算によると売上高は69億3,900万ユーロ(約9,477億円)で、日本の電機大手であるNECや富士通の売上高1兆円強(2004年第2四半期・連結)に近い数字であることを考えれば、その巨大さがわかっていただけるだろうか。
ノキア本社はフィンランドの首都ヘルシンキから車で20分の距離にある隣の市、エスポー(Espoo)にある。エスポーにはノキアを中心としてノキアと関係を持つ会社がたくさんあり、IT大国フィンランドのIT産業の中枢を担っている。またヘルシンキ工科大学もあり、エスポーのIT企業と産学提携した研究開発がよく行われている。フィンランドは現在進行形でハイテク、特にIT産業を前面に押し出した産業政策を行っている。
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ヘルシンキの街 |
なぜフィンランドがIT産業をプッシュしているのかというと、フィンランドにはIT産業以前、産業という産業がほとんどなく、非常に強い新産業を育てるしかなかった、というのが背景にある、と言われている。面積は日本より少し小さいくらいだが、人口は日本の約20分の1しかないため市場規模は小さく、国内市場向けだけでは企業は生きていけないという背景もあり、おのずと全世界に受け入れられるものを作るという方向性がある。
フィンランド国内においていえば、フィンランド人は新技術を生活に取り入れるのに抵抗の少ない人が多いようだ。例えば銀行から銀行員が減り、役所も人が減り、代わりに携帯電話やPCからのネットバンキングや電子政府のサービスを享受するという技術的な変化を割とスムーズに行えたという(伝聞だが、DOSの時代からテスト的なネットバンキングや電子政府のサービスが行われていたと聞く)。その結果、現在フィンランドは世界で最もITが浸透した国のひとつに挙げられている。
隣国スウェーデンもよく似た状況にある。やはりフィンランドと同様人口は1,000万人に満たない程度で国内市場は小さく、既存の産業も自動車のVolvoや家電のElectroluxなどがあるものの、国全体が将来を見越し、IT産業に大きく力を入れている。スウェーデンにもIT産業を牽引する企業がある。ノキアと同様携帯電話の巨人であるエリクソンだ。エリクソンのある首都ストックホルム市シスタ(Kista)では、エリクソンと大学を中心としてエリクソンの関連企業と多くのIT企業が集う。ちなみにシスタは別名ワイヤレスバレー(Wireless Valley)とも呼ばれている。
フィンランドやスウェーデンと同様、他の北欧の国家であるノルウェーやデンマークも、先進的技術を享受する国民性があり、電子政府やネットバンキングなど先進的な技術をとりいれたIT先進国家となっている。ただノルウェーやデンマークは既存産業が全くなかったわけではない(例えばノルウェーには北海油田があり石油産業が一大産業となっている)ので、ノキアやエリクソンなどの巨大企業も結果的になく、エスポーやシスタといった有名なIT産業都市はないようだ。
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