【レポート】

最新スマートフォンが集まったMobileFocus、Treo 650とBB7100が直接対決

    Yoichi Yamashita  [2004/11/05]

    サンフランシスコ市で、10月25日から「CTIA WIRELESS IT & Entertainment 2004」が始まったのに合わせて、同日夜にワイヤレス製品を集めた「MobileFocus」が行われた。注目は、企業ユーザーだけではなく、一般ユーザーにも利用者が増え始めたスマートフォンである。

    Treo 650は600シリーズの最終形態

    これまでスマートフォンというと、PDAをベースに携帯電話機能を追加したような製品が多かった。PCとの間でファイルをやり取りし、それらを表示するには、大画面の方が便利である。ところが、メーカーの予想に反して、携帯電話として使用する限り、携帯電話のような見かけを求める消費者が多かった。特にコミュニケーション重視の一般消費者には、その傾向が強い。そのような中でスマートフォン普及の突破口を開いたのが、palmOne(デビュー当時はHandspringが発売)のTreoである。MobileFocusでは、最新の「Treo 650」が展示されていた。

    Treo 650を開発する上で、palmOneは徹底して前モデル「Treo 600」のユーザーの声を集め、そして反映させたという。例えば、要求のトップ3に確実に入ったという「利用時間」は、交換式バッテリの導入で対応した。バッテリを抜いてしまうと、従来の製品ではデータが消えてしまう。そこでバッテリを交換式にすると共に、メモリを、電力供給が途切れてもデータを失わない不揮発性メモリに変更した。

    入力面では、キーボードの改良にこだわった。というのも、力を込めた瞬間に複数のキーを押してしまうという意見が多かったからだそうだ。たしかに、プチプチした感触の小さなボタンだと、ボタンを押すのに意外と力が必要になる。そこでスムーズに目的のキーだけを押せるように、一つ一つのキーサイズを大きくして、平たくした。600と650を打ち比べてみると、650では親指をキーボード全体に滑らせるような感じで移動させながらキーを打てる。また、小さなキーボードではブラインドタッチが難しいため、バックライトを追加した。

    薄暗い場所でも撮影できるようになったカメラ機能もアピール・ポイントの一つ。ユーザーからの要望もあったが、カメラに限っては、ライバル会社に比較広告で貧弱ぶりが指摘されたことがあるそうだ。

    バックライト付き、キーの形状が改善されたTreo 650のキーボード

    暗がりに強くなったTreo 650のカメラ機能。同じ場面が右のTreo 600では真っ黒

    OSはPalm OS 5.4で、Cobaltの採用は見送り。新機能の追加は少なく、新鮮味に欠けるが、ユーザーの声を取り入れた改善というのはよく分かる。「値段をもう少し…」という理不尽な文句しか思いつかない非常に成熟したモデルとなっている。

    携帯で高速タイプを可能にするBlackBerry 7100

    T-Mobileが発売する「BlackBerry 7100t」(左)とVodafoneの「BlackBerry 7100v」

    この年末、Treo 650と真っ向から勝負するのが、Research In Motion(RIM)の「BlackBerry 7100」シリーズである。Treoと同じQWERTY配列のキーボードなのに、キーが20個しかないのが特徴。ひとつのキーに「QW」「ER」というように2つの文字が配されているのだ。

    例えば、CATという言葉を入力するには「CV」「AS」「TY」のキーを押す。すると、RIMがSureTypeと呼ぶ技術が、タイピングのパターンから"CAT"だろうと予測してくれる。この変換が思いのほか正確なのだ。固有名詞の登録などにひっかかると時間がかかるが、辞書が自分色に染まってしまえば、けっこうなスピードでタイピングできる。会場ではRIMの担当者が二人でメッセージを交換し合って見せたが、まるでパソコンでチャットをしているようなスピードで、文字が画面を流れていた。

    Treo 650のキーボードも打ちやすくなったと思うが、BlackBerry 7100のさらに大きなキーの方が打ちやすい。20キーは慣れが必要だが、慣れてしまえば少ないキーの方が打ち間違いを減らせそうだ。入力勝負はRIMのアイデア勝ちである。

    数字キーのない携帯電話「Nokia 7280」

    Nokiaは、最新機能を備えた携帯電話にアールデコのスタイルを取り入れた「Nokia 7280」「同7270」「同7260」などを展示していた。

    Nokia 7280はスティック状で、両端を引っ張るとカメラが現れる。数字キーはなく、その代わりにiPodのようなホイールが付いている。これでスクロール→選択して、ほとんどの動作を行う。

    アールデコ・スタイルに現代的な要素を取り入れたという「Nokia 7280」

    機能的とは言いがたいが、このサイズとスタイルは面白い。正装するときに普段使用している携帯電話が浮いてしまうことがあるし、逆のパターンもある。Nokia 7280を日常的に使いたいとは思わないが、ワンポイント・リリーフでこのような携帯が使えると便利そうだ。

    MPxはスマートフォンの究極デザイン?

    palmOneのブースには発表したばかりの「Tungsten T5」が置かれていたが、集まった人の関心がTreo 650に集中して、かたわらでひっそりとしていた。HPのブースでもiPAQがズラリと並べられていたが、その中でiPAQをメディアプレイヤーとして使うという本流から外れた利用方法の方が関心を集めていた。

    大きな画面が印象的な「Tungsten T5」。しかし、集まった人のハイエンドPDAに対する関心は今ひとつ

    PDAは元気がない。最近、米国では日系メーカーの米PDA市場からの撤退がニュースになることが多いが、それも「致し方ない」という雰囲気がある。

    しかし、PDAスタイルのスマートフォンとなると事情が異なる。会場ではCitrixが、PDAスタイルのスマートフォンを係員に持ち歩かせて、パソコンの遠隔操作を可能にする「GoToMyPC」を実演していた。携帯キャリアによる高速なデータ通信サービスが増え、企業ユーザーだけではなく、一般ユーザーの利用も増えると期待している。

    PDAからPCのデスクトップにアクセス。会場で「GoToMyPC」を実演していたCitrix

    たしかにデータの取り扱いを重視するユーザーも多いだろう。そういったPDAスタイルか、それとも携帯電話スタイルかで悩むユーザーをターゲットにしたのがMotorolaの「MPx」である。縦に開くと携帯電話、横に開く(ボタンを押してロック解除が必要)とPDAになるWi-Fi対応のスマートフォンだ。

    これがなかなか優秀なデザインで、電話モードは携帯電話に見えるし、PDAモードはPDAに見える(当たり前?)。そして、携帯電話として、またはPDAとして違和感なく操作できる。QWERTY配列のフルキーボードを装備、2.8インチのQVGAディスプレイを備える。OSはWindows Mobile。閉じたときの厚みがちょっと気になるが、現段階ではモバイルユーザーの理想を形にした製品と言えそうだ。果たして、売れるだろうか?

    2方向に開く「MPx」3変化。まずは閉じている状態

    「MPx」を横に開いたPDAモード

    「MPx」を縦に開いた携帯電話モード

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