【レポート】

WPC EXPO 2004 - 「有言実行」のチームつかもと、今年もWPCに登場

4 展示ブースは大盛況

    日高彰  [2004/10/30]

    終日大盛況だった展示ブース

    展示ブースでは、先の「5つの大予言」を実際に体験できる形で紹介していた。特に多くの来場者の関心を集めていたのが、スカラが参考出展していた小型軽量HMDの「Tele-glass」と、オリンパスの「SynchroReality」技術を利用したレース再現システムだ。

    「Tele-glass」は、重量約8gという軽量な液晶ディスプレイで、吸盤でメガネのレンズに貼り付けて使用する。対応する入力信号はビデオ信号、液晶の画素数は800×230で、映画の字幕も判別できる解像度だという。展示では三洋電機のビデオ出力対応携帯電話「W21SA」と組み合わせて、メールの作成画面をHMDに表示していた。メール作成中の画面を他者に見られる心配がないほか、電話を操作していない待ち受け時にはいつでも時刻を確認できたり、着信時にポケットから電話機を取り出さなくても誰からの電話・メールかをすぐに確認できたりといったメリットがある。また、今後携帯電話向けのテレビ放送が始まった場合、手で端末を長時間保持するのは大変だが、HMDなら電話機自体はしまったままで良い。さらに次のステップとしては、メガネ自体に携帯電話の機能が一体化されるという形状が考えられるとしている。

    小型HMD「Tele-glass」。ブースでは装着体験も行われていた

    「予言2」の実際

    SynchroRealityは、カメラから入力される映像を元にして、そのカメラが空間上でどの位置にありどの方向を向いているかを認識し、入力映像上に画像など別の情報を重ねて表示する技術。今回の展示では、この技術と今年の鈴鹿8時間耐久ロードレースの計時データを利用して、HMDを通じてコースマップを見ると、実際に行われたレースのタイム通りにバイクのモデルが走っているように見えるというシステムを構築した。

    何の変哲もない図だが

    カメラ付きHMDを通じて見ると……

    バイクの記号が実際行われたレースのタイム通りに走っている

    ちなみに、左写真のVAIO type UはHMDの代わりのデモ用。裏にUSBカメラを付けてカメラ付きHMDの代わりにした

    今回のデモでは、コースの周囲に描かれた長方形のスポンサーロゴをマーカーとして、その大きさやひずみを認識して位置検出を行った。マーカーの認識は携帯電話でも実行可能

    HMDは以前より使われている島津製作所の「Data Glass 2/A」をベースにしているが、日立造船が設備保全システム用にカスタマイズしたカメラ一体型モデル。HMDがコースマップをとらえると、あらかじめ登録してある画像とカメラ画像を比較し、映っているものの傾き・ひずみ・大きさの違いなどからカメラ位置を検出する。そして、ラップタイムの記録に基づいて、コースマップ上にバイクの絵を重畳表示するという仕組みだ。空間中の位置を検出するにはいくつかの方法があるが、周囲にセンサーを設置してそれを認識するといった手法に比べ、周辺環境に大きな手を加えなくても利用できるという点で適用範囲が広い。必要なプロセッサパワーも比較的小さく、最近の機種なら携帯電話のアプリケーションソフトとして動作させることも可能だという。

    鈴鹿8耐でウェアラブルピット支援システムのプロジェクトを率いたウエストユニティスの福田登仁氏は、サーキットでHMDを通じてバイクやレーシングカーを見ると、現在のスピードやギア位置、アクセル開度などが表示されるようなシステムが将来実現できたら面白いとしており、サーキットでのウェアラブル情報システムをさらに充実させる目的にも応用できそうだ。

    「予言4」の電脳鬼ごっこ。腕の六角形のパーツは大阪大学とNECインターネットシステム研究所の共同開発による小型制御デバイス

    時間内にボタンにタッチしなければならない、などのルールを組み合わせることもできる。缶けりの缶のようなものといえるか

    また、ブースの説明員や展示されているマネキンが着用しているユニフォームには、帝人(帝人ファイバー)が開発した光発色繊維「モルフォテックス」が利用されている。これは、モルフォ蝶の羽根が青く輝く原理をナノテクノロジーで再現したもので、無染色ながらさまざまな色合いを見せる。上田安子服飾専門学校の大江校長も、このような技術を近未来イメージの演出に利用していきたいとしている。

    ブースで説明を行っていた関西学院大学総合政策学部の井堀真知子さん(左)と田淵朋子さん。「モルフォテックス」を利用した衣装を着用

    背中にはPR用の表示パネルも装備

    予言が形になった今回の出展

    神戸大学工学部 塚本昌彦氏

    今年の展示では、チームつかもとの考えるウェアラブルコンピューティングのコンセプトが昨年以上に表現されており、多くの来場者がブースに立ち寄って「5つの大予言」に興味を示していた。中にはHMDを見るのも初めてといった人もいて、元々ウェアラブル/ユビキタスに興味を示していた層だけでなく、さらに幅広い一般に向けてアピールできたのではないだろうか。

    注目すべき点は、これら大予言の内容は、塚本氏がこれまでの講演などで述べたことのあるものがほとんどで、いわばそれを「有言実行」する形で具現化したのが今回の展示であるということだ(例えば、電脳鬼ごっこはCEDEC 2003などで提案されている)。しかも、そこに使われている技術の多くはすでに実用化・商品化されているものであり、まさに「問題は技術次第というよりも、やる気次第」であることを示している。

    塚本氏は「我々は"研究開発機構"ですが、ウェアラブルの使い方や可能性をわかりやすく見せていくのも役割のひとつ。今回は動いているモノをお見せすることができたが、次の機会には実際に使っているところをご紹介できれば」と話しており、ウェアラブル機器の普及に向け確かな手応えを感じている様子だった。

    デザイン案のひとつが展示されていた小型Pentium Mマシン「Mobilion(モビリオン)」とそれに搭載されるボードおよびHDD

    すでに販売も開始されているPCバッグ

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