【レポート】

WPC EXPO 2004 - 「音楽、テレビ、映画、PCがあれば、もっと楽しくなる」--MS古川氏

    大川淳  [2004/10/22]

    「WPC EXPO 2004」初日の基調講演には古川享米マイクロソフト副社長が登壇した。演題は「Digital Entertainment Anywhere PCから拡がるデジタル エンターテイメントの世界」

    パソコンの時代はすでに終わった、これからのデジタル家電の時代にはパソコンはいらない、デジタル家電同士が接続すれば、テレビなどが中心となる、との声が出てきているが、古川氏は「パソコンの役割を考えると、まず、ビジネスの現場で利用されてきた。それ以外では、Windowsはどこで使われているか。たとえば、歯科医で、治療室に液晶のディスプレイがあり、患者が待っているときにはテレビ番組が表示され、治療が始まると、いま撮ったばかりの歯の写真がそこに映し出される。そこではWindowsが走っている。Windowsの顔をしていなくても、自動車、ATMのタッチパネル、さまざまなところで実はWindowsが動いている。パソコンのカルチャーは、生活の中で根を張ってきた」と指摘する。

    米マイクロソフト古川享副社長「PCは機能中心からライフスタイルに」

    パソコンは機能向上とともに価格が下がり、普及率が高くなっているが、最近はユーザーの買い方が変容している。古川氏は「デジタルカメラを買って、その画像を扱うためにパソコンを買う。はじめにパソコンありき、ではなく、何か目的があって、それでパソコンを買う、という時代になっている。これまでパソコンは25年間、機能中心で発展して来た。しかし、たとえば、衣類でいえば、最初は寒さから身を守るための役割だったが、ファッションに変わった。物は使っているうちに、機能からライフスタイルになり、さらにひとつの文化になっていく」と述べ、「パソコンも機能中心ではなく、ライフスタイルになっていくという視点で考える時代になった」とみている。

    パソコンはさまざまな局面で、効率を上げることに貢献してきた。「効率が良くなったおかげで人と会う時間ができたり、同じ作業を繰り返さないですむように」(古川氏)なった。ここにインターネットが加わり、もうひとつ他の変化が促進された。「つながるという意識は、友人や家族と、情報を、熱い思いを共有するということ」(同)であり、その延長線上に、Windows Media PlayerやWindows XPのMedia Center Editionを核とし、ネットワークを通じてゲーム、テレビ、映画をさまざまな場面で楽しむ。それが、Digital Entertainment Anywhereだ、と言う。

    いま、エンターテインメントに何がおきているか。「まず、音楽でいえば、レコードからCDへの移行があり、ウォークマンのような携帯型プレーヤーが出て、機能としての発展があって、音楽を身近において楽しむことができるように」(同)なった。マイクロソフトは、Windows Media Playerを出しているが「パソコンで編集した音楽を、今後はどのデバイスでも楽しめるようになる。ひとつの機種、サービスに限定するのではなく、幅広い選択肢から選ぶことができる。新たに開始する音楽配信サービス『MSNミュージック』でも、米国、日本のコンテンツホルダーに自由な選択ができるようになっていることがポイントだ」という。

    ここで、壇上に、約8万の楽曲を擁している音楽配信サービス事業者レーベルゲートの高堂学社長が登場した。レーベルゲートはこれまで、ソニーが開発したファイル形式「ATRAC3」を軸としており、「ウォークマン」などだけでしか利用できなかったが、Windows Media Playerに対応することになり、これに準拠した他社の携帯プレーヤーでも、レーベルゲートの曲を聴くことができるようになる。

    米マイクロソフト古川享副社長(左)とレーベルゲートの高堂学社長

    高堂社長は「レーベルゲートは、ソニーの意向のために活動しているのではなく、レコード会社やユーザーのためにある。エジソンがレコードを発明して70年でLP版ができ、それから34年でCDが出た。(ソニーが音楽配信サービスの)bitmusicを始めたのはその17年後で、進化の速度が高くなっている。LPがCDになって市場規模は2倍になった。音楽配信は利便性が高いサービスだ。多くのプレーヤーが参加して、ユーザーが規格を意識しないで、多様な選択ができる時代になってほしい。より楽しくなれば、音楽マーケットはさらに大きくなる」と語った。古川氏は「レーベルゲートが今回、ユーザーのチョイスを優先して、Windows Media Playerへの対応を決めたことを心強く思う」と応じた。

    音楽と同様に、テレビ、ビデオ、映画などもネットワークで結ばれ、やはり携帯型プレーヤーで、どこででも観られるようになる。これらの多様な映像がデジタル化により、いままでにはなかったような利用の仕方が可能になる。それと、消費者の求めるものが合致すれば、新しい市場ができる。「Digital Entertainment Anywhereは、ビジネスのパラダイムシフトでもある」(同)ということだ。

    パソコンの役割は大きく変わり、これからもさらに転換していくだろう。今後のデジタル家電時代は「パソコンが必ず必要というのではなく、パソコンを活用すれば、もっと楽しくなる可能性がある。さまざまな加工ができたり、人と感動を共有する喜びがある」(同)。古川氏は「この10年、パソコンで創りたかったのは、機能の追及ではなく、人と人をつなぐやわらかいメディアだ。その夢にいま一歩近づいた」と結んだ。

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