【レポート】
波長13.5nmの極端に波長の短い光を用いた半導体露光技術がある。これはEUVL(Extreme Ultra Violet Lithography:極端紫外線露光)と呼ばれ、現在用いられている光を使った半導体を製造する手法としては究極の手段となるだろうと言われている。半導体製造で用いられている現在の最先端プロセス設計ルールは90nm。その製造装置の光源の波長は193nmである。EUVLに用いられる13.5nmという波長がいかに短いか、お分かりいただけるだろう。ちなみに、可視光線の波長帯は約400nm~800nmと言われており、現在用いられている波長193nmのレーザー光も、既に私たちの目には見えない短波長の深紫外線(DUV)である。
Intelは先般、このEUVLについての発表を行い、EUVLについて研究段階を終え、2009年の量産開始に向けて開発段階に入ったと述べた。EUVL技術を、同社の提唱するムーアの法則を維持していくために不可欠な半導体量産技術と位置づけ、業界コンソーシアムと協力しながら積極的に開発を進める。既にマスク製造技術についても成果を示している他、METを導入してマスクの欠陥評価やレジストの開発なども進めていく。
このレポートでは、注目を集めているEUVL技術の現状と、その技術的内容を確かめながら、今後の発展の可能性について、国内におけるEUVL技術開発を取りまとめているEUVA(技術研究組合極端紫外線露光システム技術開発機構)の専務理事 小川眞佐志氏への取材を踏まえ、探ってみたい。
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EUVA(技術研究組合極端紫外線露光システム技術開発機構)の専務理事 小川眞佐志氏 |
半導体製造技術の開発の経緯は、微細化の歴史と言っても良いだろう。半導体製造技術が微細化を追求する最も大きな理由はコストにある。一枚のウェハから、より多くのチップを採るために、加工寸法を微細化する。チップの性能については、微細化に伴い概ね良くなる傾向を示すが、現在のようにナノスケールの領域に入ってくるにつれて、リークの増大や配線遅延の顕在化、製造歩留まりやばらつきの悪化など、必ずしもメリットばかりではないという現実が急激に目立ってきている。しかし、最終的な製品コストに関する明確なメリットがあるために、微細化のトレンドは留まる事を知らないようだ。
ご存知の通り、半導体のウェハに回路パターンを転写する技術は写真技術と類似している。回路パターン(加工パターン)を描いたマスクを、感光剤(レジスト)を塗布したウェハの上に縮小投影することで、ウェハに回路の加工パターンが転写される。その後、描かれたパターンを元に、エッチングや熱酸化処理、不純物導入、薄膜形成、CMP(平坦化)処理などを繰り返し、ウェハに多層の回路を積層していく。このレジストに転写される回路の寸法を微細化するためには、より波長の短い光を用いなければならない。なぜなら、基本的には光の波長が短くなるほど、光の回折によるパターンの輪郭の滲みが少なくなり、細かな形を描くことができるからである。このため、当初は可視光線を用いていたものの、その後水銀ランプのg線、i線、そして波長248nmのKrFエキシマレーザ、そして現在の波長193nmのArFエキシマレーザに至るまで、年を経るごとに光源の波長は短くなってきた。これからも、プロセステクノロジの微細化のトレンドからくる要望に沿うために、半導体製造技術の微細化への追求は続く見込みだ。
その半導体製造技術の微細化のトレンドを示しているITRS 2003のロードマップでは、2007年にhp65、2010年にhp45、2013年にhp32、2016年にhp22を達成していくとしている。ここで、hpはDRAM
half(1/2) pitchを意味しており、hp65とは、DRAMハーフピッチが65nmということを示している。2016年に実現予定のhp22ノードでは、MPUのゲート長の露光寸法は13nm、エッチング後の寸法は9nmにも達しており、現在とは桁違いの微細度を目指していることがわかる。ちなみに、プロセッサのゲート長を基準にしたテクノロジノードと、DRAMハーフピッチによるテクノロジノードでは違いがあり、DRAMハーフピッチを基準としたhp90nmプロセスは、プロセッサでは65nmプロセスと呼ばれるものに近い。ITRS
2003でも、hp90におけるMPUのエッチング後のゲート長は37nmとなっており、これは、プロセッサのテクノロジノードにおいて65nmプロセスと呼ばれているトランジスタのゲート長に近い。そのような状況はあるものの、Intelも今年の春のIDFでは、2007年にMPUで45nmノード、2009年には32nmノード、2011年には22nmノードを達成する計画であると述べている。
なお、半導体製造プロセス微細化のカギは製造装置が握っており、しかも世界の露光装置メーカーはニコン、キヤノン、ASMLの3社となっている。この3社の露光装置で半導体の製造プロセス微細化のロードマップは概ね決まってくる。半導体メーカーは製造装置を買って、これを調整して使っているだけに、最先端製造装置の導入のタイミングと立ち上げのスピードの違いはあるにせよ、特定の半導体メーカーのプロセス技術が業界から突出して進化することはないという業界構造は覚えておいて良いだろう。
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