【レポート】

Fall Processor Forum 2004 - 第2世代EfficeonでSSE3サポートと発表

Centaur、AMDに続き、さらにx86関連ということで、次は初日午前の最後に行われたTransmetaの発表をお届けしたい。

90nmのGeneration-2

今回の発表の主眼は90nmプロセスを利用したEfficeon Generation-2。すでにこちらでレポートされている通り、90nmプロセスを使ったEfficeonのファーストシリコンは今年のCOMPUTEX TAIPEIでデモされていたので、決して目新しいという訳ではないが、正式に製品発表を行ったという点がミソ。そのTransmetaであるが、今回のGenration-2は90nmプロセスのEarly Versionだとしている。Photo02が同社のプロセスに関する戦略であるが、ある世代のプロセスについてEarly VersionとMature Versionの2つの製品を投入するという。Early Versionは新プロセスを使いこなすことが主眼で、一方Mature Versionはそのプロセスで新機能を追加してゆくという点が主になる。その意味では、今回のGeneration-2は90nmプロセスへの移行がメインテーマという訳だ。

Photo01:これまたおなじみ、Transmetaの創立者にしてCTOのDavid R. Ditzel氏。

Photo02:同じ事は以前Intelも言っていた気がするのだが、最近は新プロセスの導入期にも積極的に新アーキテクチャを投入しており、割とぐちゃぐちゃである。思うに、90nmの導入時にPrescottの31段パイプラインを投入するのではなく、Northwoodの20段のまま移行するか、あるいは31段パイプラインを130nm世代で導入させておけば、ひょっとすると問題が多少解決できたのかもしれない……という話はここでは余談になるのでやめておく。

ちなみにGeneration-1のEfficeonについては、SharpのMURAMASAシリーズで幅広く採用されたほかは大手のノートPCメーカーの採用例はないが、変わったところではHPのbc1000というブレード型PCに採用されるなど、組み込みマーケットむけにある程度のシェアを確保しており、最近はEfficeon搭載のMini-ITXマザーボードが秋葉原に登場するなど、ペースこそ緩やかながら次第に勢力を増しているのが判る。Transmetaはかつて、Crusoeを130nmに移行する過程で1年近く製品出荷が遅れ、これが理由で殆どのOEMベンダーを失う結果になっていたから、そこから考えるとよく盛り返したという感じではある。

Photo03:他にいくつかのベンダーもやはりBladeタイプにEfficeonを採用している。

Photo04:LongRun2のお陰か、90nm世代においても「微細化により高速化と消費電力化を実現」と明示的に謳っているのは今のところTransmetaとVIA(というかCentaur)のみである。

さて、これに続くGeneration-2のテーマはということだが、動作速度の向上と消費電力の低下、Generation-1との互換性の維持、若干の新機能というところだ(Photo05)。この新機能については後述するとして、まずは消費電力である。EfficeonのGeneration-1とGeneration-2、および競合製品となるIntelのDothan(Pentium M)のTDPをまとめて見たのが下表であるが、ごらんの通りほぼ互角かちょっと消費電力が低いというあたりになっている事が判る。

動作周波数(GHz) Generation-1 Generation-2 Dothan(TDP)
1.0 - 1.1 5W - 7W 3W 5W
1.2 - 1.3 12 - 14W N/A N/A
1.4 - 1.6 N/A 7W 10-21W
1.6 - 1.8 N/A 12W 21W
1.8 - 2+ N/A <25W 21W

ちなみに、通常の29mm角のパッケージ以外に、フットプリントを縮小した21mm角のパッケージ(ダイ自体は同じ)もあることは従来のGeneration-1と同じだ。ちなみに90nmプロセスは富士通のものを利用するという話は前からアナウンスがあったが、ここで利用されたトランジスタの写真も初公開された(Photo06)。

Photo05:ちなみにダイサイズは公開されなかったが、写真から推定すると9.1mm×7.2mmで65.5平方mmというところ。昨年のレポートによればGeneration-1は119平方mmで、Generation-2が68平方mmの予定ということだったから、ほぼ予定通りのダイサイズになった。

Photo06:90nmながらゲート長が40nmと短いのが特徴的。

ところで上に書いた新機能であるが、DEP(データ実行防止)機能が入ることはCOMPUTEX TAIPEIで示されていたが、これに加えてSSE3のサポートも追加された(Photo07)。これでIntel/AMD/Centaur/Transmetaという全てのメーカーが新CPUでSSE3のサポートを表明したことになり、MMX以来初めて全てのベンダーの足並みが揃った事になる。

Photo07:DEPに関しては、COMPUTEX/TAIPEIでは「これを搭載するのは90nm製品のみ」という話だったが、実際にはDEPを搭載したTM8600を使った製品が登場しており、必ずしもGeneration-2の専売特許という訳ではなくなってしまった。

ちなみにEfficeonのウリは当然ながらそのパッケージの小ささ。メモリコントローラを搭載している関係で、割と小さなチップ構成で全てが揃う。このあたりは巨大な(G)MCHをとICHを外付けにしなければいけないIntelに対する明確なアドバンテージだと言える。今回Generation-2ではないが、Generation-1をベースにしたPCカードサイズのリファレンスデザイン(Photo08)やその実物(Photo09)、あるいは手のひらサイズのWindows XPマシン(Photo10)といったものが示された。EfficeonのGeneration-2はGeneration-1とピン互換で、消費電力はむしろ下回っているわけだから、このままGeneration-2に乗せ換えても(BIOSの書き換え程度は必要だろうが)基本的にはそのまま動作することが予想されるわけで、これは従来の製品構成をそのまま生かせるという点で有利だろう。今回はまた、初のダイ写真も公開された(Photo11)。

Photo08:EfficeonとULiのM1563、ATIのM6、2MBのFlashと512MBのDDR-SDRAMが全部まとめてカードの裏表に載っているのが判る。実際にはヒートシンク程度は必要だろうからもう少し厚くなるし、ネットワーク関連(WirelessLANのコントローラやEthernetのPHYなど)も必要だから基板がこれでOKという訳にはいかないだろうが、それでも非常にコンパクトに収まる事が判る。

Photo09:事前に「いいものを見せてあげるからちゃんと写真撮ってよ」と言われていたのだが、だったらこっちを向いて欲しかった……ただこのアングルでも、カードの大きさが判るというもの。

Photo10:これはVulcan Inc.のFlipStartの事。背広のポケットから嬉しそうにたびたび引っ張り出して見せてくれた。

Photo11:案外にHyperTransportの回路が小さい事がここからも読み取れる。特に、この後のXilinxのセッションでPCI Expressのインタフェース部の大きさを見てからは、より強くそう感じる(この話は今後のレポートで)。

ちなみに性能に関してはPhoto12の様な結果が示されている。これはおそらく同じ消費電力(Baniasコアの1.1GHzのTDPは12W、Efficeon 1.6GHzも同じく12W)という観点で比較したものであろうと思うが、動作クロック比で言えばEfficeonが46%ほど高速にも関わらず、性能面でのアドバンテージが1.24~1.27倍というのは、逆にいえば同一クロック比ではPentium Mの85%程度の性能という計算も成り立つ訳だ。とはいっても、たとえばSSE3をサポートしないPentium M 755(2.0GHz) vs SSE3をサポートするEfficeon TM8800 2GHz(Pentium M 1.70GHz相当)というのは、これは見方によっては十分互角に戦えるとも考えられるだろう。

ところでこのGeneration-2に関して、Sharpは早速MURAMASA MPシリーズで搭載を決めているが、他にもOrion MultisystemsがEfficeon TM8800(動作速度は1.4GHz以上となっている)を最大96個搭載したクラスタマシンを発表するなど、比較的立ち上がりは順調と言える(Photo13)。

Photo12:Celeron Mに関しては800MHz動作の製品のデータを元に933MHz動作の場合を推定、というよく判らないデータ。

Photo13:IBMのBlueGene/Lを見るまでもなく、最近はピーク性能のみならず性能/消費電力比にも注目が集まっており、この観点でもEfficeonは良い数字を出していることを主張している。もっともこの数字は1CPUあたりの性能でしかなく、トータルの数字はまた別であろう。それに、いくら7Wとは言え96個もあったら合計消費電力は700Wでは効かないわけで、確かにコンセントから取る電力で賄えるのは嘘ではないが……

Generation-3以降

さて、Transmetaでは引き続き次世代製品の開発に取り掛かっている(Photo14)。Generation-3は同じ90nmプロセスを使いながら高性能化したもの、Generation-4はそのコアを65nmプロセスに移行したものになる。このGeneration-3に関しては、MicroArchitectureの改良と、これに伴うパイプラインの細分化、キャッシュの大型化、DRAMインタフェースの高速化、HyperTransport Linkの高速化などが挙げられている。このうちHyperTransport Linkに関して後でDitzel氏に直接聞いたところ、「4倍というのは、動作周波数とバス幅の両方のImproveで実現する」。つまり現在のEfficeonは8bit/400MHz DDRで1.6GB/secの帯域になっているが、これをOpteronと同じ16bit/800MHz DDRに引き上げるという事の模様だ。また、今後行うべき作業の一例としてはPhoto15の様な項目が挙げられており、割と意欲的にマーケットを狙う展開が見えている。面白いのはLongRun2をSoCデザインに展開する作業もここに含まれていることで、当然これはGeneration-3/4とは直接には無関係である。むしろNEC Microelectronicsに対して行ったLongRun2のライセンス供与の様な形態を、より幅広い分野に対して行う布石といえるわけで、こちらからの収入が無視出来ないTransmetaにとっては、ある意味Generation-3/4の移行作業よりもこちらの方がプライオリティが高いのかもしれない。

Photo14:Fewer Gates/Clockというのは、要するに1クロックあたりで動作するゲートの数を減らすということで、パイプライン1段あたりの回路規模を減らすことになる。要するに今のパイプラインを更に分割するという話だ。もっともどの程度まで分割するか(現在は7段)については当然ながら教えてくれなかった。

Photo15:64bitに関しては、決してトッププライオリティではないとしているが、仮にGeneration-3で実現すれば、AMD/Centaur/Transmetaで見事にサポートが揃い、実現できないのがIntelのPentium Mだけという皮肉な状況になりかねない。このあたり、Intelがどう考えているかは面白いところだ。

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