【レポート】
毎年10月に全国各地で数多くのIT関連イベントが開催される「情報化月間」が、今年も10月1日よりスタートした。初日の1日には都内において記念式典と講演会が開かれたほか、8月に開催されたセキュリティキャンプ・U-20プログラミングコンテストの報告会が開催された。本稿ではその中からセキュリティキャンプ報告会の模様を中心にレポートする。
セキュリティキャンプ報告会では、同キャンプの講師の中でも中心的存在として活躍されたIPA(情報処理推進機構)研究員の園田道夫氏が報告を行い、キャンプの準備段階の苦労や裏話などを数多く披露した。
同氏はまず準備段階について、今年頭から企画内容について検討を始めたほか講師についても打診を始め、5月頭には第1回の打ち合わせを行ったと語った。基本的に企画段階で「実習中心・ケーススタディ中心」という方針は固まっていたそうだが、実際に打ち合わせを行ってみると「セキュリティ業界でこれまでケーススタディによる学習を行うというのはあまり類例がないため、どのようなカリキュラムを組むか、また誰がどの分野を担当するかについていきなり揉めた」という。
また年度を挟んだためにスケジュールの進行が遅れ、カリキュラムの骨子が固まったのは5月下旬。そして6月から具体的な講師による会合がスタートしたそうなのだが「テキスト(最終的には4分冊になった)をどうやって作るかという点に一番苦労した」と同氏は語った。とはいえ同氏は準備段階について「苦労した割には飲み会が多かった」とも語っており、講師同士の議論等で得られるものは少なくなかったようだ。
そしてキャンプを開始してみての感想として、同氏は参加者の自己紹介を聞いて「これなら何とかなりそうだ」と思ったと語ったが、一方で「このようなキャンプに参加するような人は大抵Linuxに慣れているのが普通だと思っていたが、Linuxに慣れていない人が結構いたのが意外だった」「Linuxに慣れない人の壁はやはりviのようだ」との印象も明らかにした。また講師を務めた感想として同氏は「受講者がみんな椅子に座っているのに、講師はほとんど立ちっぱなしなので足腰に来た」と述べ、「来年はぜひこれを逆にさせたい(笑)」とも語っていた。
また課題として同氏はグループ討議を挙げ「絶対的な時間が足りなかった上、議論の内容が拡散したりあまり発言がなくおとなしかったりと、議論になっていないところが多い」と述べたほか、「用意されたテーマがそもそも重かったこともあってか、最終日の前日になってもテーマすら決まっていないグループもあった」と語り、今後この点は改善の必要があるという考えを示した。
来年に向けての改善点として、同氏は前述のグループ討議の問題に加え、連日数人の寝坊による遅刻者が出たことや「私も初日に会場に入ってから最終日まで外に出た覚えがない」ことなどを背景に「連日朝9時から夜10時半までカリキュラムをぎっちり詰め込んだが、少し余裕がなさ過ぎたかもしれない」と述べ、来年はもう少しスケジュールを緩めた方がいいかもしれないとの意向を示した。
ただ一方で同氏は「今回も『夜のセキュリティキャンプ』とか称して朝まで寝ない参加者が多く、スケジュールを緩めても結局みんな寝ないという点は一緒かもしれない(笑)」「来年は参加者が寝坊しても起こさない」と述べ、10代の学生を対象とした合宿を運営する難しさも垣間見えた。
そしてもう一つ同氏は「宣伝が足りなかった」ことも課題に挙げた。同氏は「参加者にキャンプに参加しようと思った理由を聞いてみると、ほとんどが『スラド(コミュニティサイトのSlashdot.jp)で読んだ』という人間ばかりだった」と述べ、「もっと宣伝を積極的に行うことで、いろいろな人材を発掘できるのではないか」と語っていた。
また同報告会に先だって行われたU-20プログラミングコンテスト入賞作品発表会では、本年度の同コンテストの個人部門・団体部門の入賞作品のデモが行われた。
昨年まで「全国高校生・専門学校生プログラミングコンテスト」として行われていたものをリニューアルし、原則として満20歳以下の学生全般を対象とする形に変わった同コンテストだが、今年は経過措置として満21歳以上でも平成16年3月に高校・専門学校・高専を卒業した学生の応募が認められていたことから、団体部門では引き続き専門学校生の活躍が目立つ結果となった。一方個人部門は入賞した4作品が全て高校生で占められた。
審査委員長を務めた多摩美術大学の石田晴久教授は、講評で「個人と団体の作品にそれほど差がないことに驚いた」「全体として学校や個人で使ってみたいと思えるソフトがほとんど」と語り、入賞者に今回開発したソフトをフリーソフト等の形で公開し、今後バージョンアップを進めて行くことを推奨していた。ただ応募点数は前年に比べ若干ながら減少したほか、今回から中学生や大学生にも門戸を開放したにもかかわらず中学生からの応募はなく、大学生からの応募作品は「問題にならなかった」とのこと。また都道府県による応募のばらつきも多く、中には応募が0の県もあったということから、同氏は「今後はもっと幅広い層に参加を呼びかけていきたい」との意向を語っていた。
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