【レポート】

イノベーション・ジャパン2004 - 基調講演に「まいど1号」のあの人が登場

9月28日~30日の3日間に渡り、東京国際フォーラムにて「イノベーション・ジャパン 2004」が開催された。「産」と「学」のマッチングにより、新しい産業の創造を目指すイベントで、今年が初めての開催となる。産業界を代表する講演者によるキーノートスピーチや、大学研究者による新技術説明会が各開催日に行われたほか、展示会場では大学・大学発ベンチャー企業などによる最先端技術シーズが紹介された。

メイド・イン・東大阪の人工衛星開発ストーリー

アオキ代表取締役社長 青木豊彦氏

最終日のキーノートスピーチには、東大阪発の人工衛星「まいど1号」の開発でおなじみのアオキ代表取締役社長・東大阪宇宙開発協同組合(SOHLA)理事長の青木豊彦氏が登場した。講演の予定時間は1時間だったのだが、熱弁のあまりそれを30分以上もオーバー。最後のほうは氏の声がかすれてしまったほどだが、ほとんど途中で席を立つ人は見られなかった。氏は冒頭、自己紹介で「ただの中小企業のおっさん」と評したが、なかなかどうして、「かなり熱いハートを持ったおっさん」だった。

公共広告機構(AC)のTVコマーシャルで知った人も多いだろうが、「まいど1号」のプロジェクトは製造業の町・東大阪市の中小企業が集まり、人工衛星を作ってしまおうという大胆な試みだ。一見すると無謀とも思える挑戦だが、各方面からの支援も得られ、2005年度の完成に向けて着実に準備は進められている。

一体、何のために打ち上げるのか? 何がしたいのか? --- それにはまず、東大阪市の現状から理解する必要がある。東大阪市は"モノづくりの町"として知られ、その技術は「歯ブラシからロケット部品まで」と評されている。製造業の企業が8,000社も集まっており、青木氏が社長を務めるアオキも技術力を認められ、国内では数少ない米ボーイングの認定工場となっている。

モノづくりの町・東大阪市。そのほとんどは中小企業とはいえ、真似の出来ない技術を持つ"オンリー・ワン企業"が120社あるという

しかし、長引く不況の影響をモロに受け、失業率も悪化。東大阪の製造業も「1万社を超えていたのが8千を切った」(同氏)という。ただ、不況はこれまでもあった。それは乗り越えてくることができた。だが、氏は「今回は違う」と危機感を持つ。企業の減少は、潰れたのではなく、後継者不足が原因となっているところも多いというのだ。

「3Kと言われてから特に(若者が)来ない」「職人の奥さんが子供に『お父ちゃんみたいになったらアカン』と言う」と冗談交じりに語るが、腕が良くても教える相手がいない問題は深刻。若者の失業率は高いのに、それでも働きに来てくれない。氏は、「モノづくりに若者が寄ってきてもらおう、というのが一番の目的」と話す。製造業に夢を持てるよう、誇りを持てるよう始めたのがこのプロジェクト、というわけだ。

一旦決まれば動きは速いのが大阪の企業人。大阪府立大学の東久雄教授を訪ね、アドバイスを求めた。当初はロケット本体の開発を想定していたが、開発費が膨大になると聞き、小型の人工衛星を開発することになったという。そして、マスコミにも注目され始め、新聞・TV・雑誌にも取り上げられた。2002年7月には「宇宙関連開発研究会」を発足、同年12月には「東大阪宇宙開発協同組合」が設立された。

メディアに注目され、「始めは嬉しかった。スター誕生やと」。だが、計画はなかなか進まず、プレッシャーは大きくなる一方。「ひょっとしたら東大阪を出て行かなあかんかな」「びびったわぁ。どないしよう」とも思ったという。しかしそんなとき、若者が集まりだした。英語やその他の外国語に堪能だったり、ITを駆使したり。これまでになかった方法で、「若者が僕らを引っ張ってくれている」という。

また、「官」による支援も大きい。やはり予算は常に不足しているそうで、「何かやるときは、人・モノ・カネ・情報・技術力が必要。4つは何とかなるが、天下の回りものだけが一向に来ない」という。開発には12億円必要とのことだが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業に採択され、5年で7億円の委託を得ることができた。そのほか、モノづくりの拠点として、支援施設「クリエイション・コア東大阪」が整備されるなど、タイミングも良かった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)も、東大阪に事務所を持ったという。

「まいど1号」は、「2005年度中には作りたい」というスケジュールで進行している。だが、"1号"とついているように、1発打ち上げて終わり、とは考えていない。新しい地場産業として定着させることを目標としており、そのためには「利益を上げることが必要」と指摘。宇宙の商業利用・応用も考え、新しいビジネスチャンスを見いだすことが重要との認識を示した。氏は、「5~10年後に東大阪は大バケするかも」「ハイテクの街と言われたい」と期待する。

開発のスケジュール

新しい地場産業へ

すでに、明るい兆しも見え始めているという。何人かの社長から「うちの息子が帰ってきてくれた」と言われたり、入院した先の看護師から「東大阪に住んでると言えるようになった」と言われたというエピソードなどを紹介。「産学連携は大事。だけど産学連携の魂を入れるのは地元あっての話や。地元に魂を入れていかなあかんねん。それがホントの産学連携やと僕は思います」と語って講演を終えると、会場は大きな拍手に包まれた。

SOHLAの理念。ちなみに背景については「こんな風景大阪にはあらへん」

講演後には、名刺交換を求める多数の来場者に囲まれていた



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