【レポート】

Linux World C&D 2004 - NovellとSunが変えるデスクトップLinux市場

    鶴田展之  [2004/09/30]

    9月29/30日の2日間に渡り、IDG主催の「Linux World C&D/Tokyo 2004」が新宿NSビルで開催された。6月のLinux World Expoに対し秋はカンファレンス中心の小規模なイベントだが、当日は雨天にも関わらず会場には多くの来場者が集まり、Linuxの勢いを印象づけるものとなった。本稿では29日のカンファレンスの中から、NovellとSun Microsystemsのセッションを中心に、Linuxデスクトップに関連する話題をレポートしたい。

    Novell「エンタープライズLinuxデスクトップによるマイクロソフトライセンスコストの削減方法」

    SuSE Linux Professional 9.1、SUSE Linux Enterprise Server 9 (SLES9)をリリースして勢いに乗るNovellからは、新しいデスクトップ製品「Novell Linux Desktop 9 (NLD9)」のプレビューが行われた。コミュニティ向けのProfessional、エンタープライズ向けサーバのSLES9に対し、NLD9はエンタープライズ向けデスクトップという位置付けだ。そしてその中身は、SuSE、Ximian、そしてNovellの技術を統合したものになるという。

    具体的な特徴を簡単に見ていこう。まず、NLD9はSLES9と共通のコードベースを採用している。カーネル2.6によるLinuxの先進的な機能が利用できるのはもちろん、サポートもSLES9と同等の企業に向けたメニューが用意される。Ximian Desktopから引き継がれたポイントは、洗練されたユーザインターフェースとメッセージングクライアント「Evolution 2.0」が中心だ。SuSE Linuxは従来KDEをデフォルトのデスクトップとしてきたが、GNOME 2.6をベースとするXimian Desktopが統合されたことによって、ユーザはデスクトップ環境を自由に選択できるようになった。EvolutionはOutlookライクなインターフェースを備え、Microsoft Exchangeとも接続可能になるなど、Windows環境からのマイグレーションが強く意識されている。また、オフィススイート「OpenOffice.org 1.1.3」は、Novellが独自にユーザビリティやMicrosoft Officeとの互換性を強化した"Novell Edition"がバンドルされる。Novellは既に全社でOpenOffice.orgを導入しており、そこから得られたノウハウも開発にフィードバックされているという。他にも、NLD9には、ZENworksによる統合管理機能や、.NETアプリケーション開発環境「Mono」などが搭載されており、Novellがその独自性をアピールする最初のリリースになると言えるだろう。

    Sun Microsystems「Sunが考えるオープンソースデスクトップの今と未来」

    サン・マイクロシステムズ 営業統括本部 チーフ・エバンジェリスト 関谷宏氏

    Sun Microsystemsのセッションでは、デスクトップ環境「Sun Java Desktop System (JDS)」を中心に、Linuxも含めた総合的なシステムへの同社の取り組みが紹介された。JDSは「Java」の名を冠するものの、あくまでもGNOME、StarSuite 7、Evolution、Mozillaといった既存のオープンソースソフトウェアで構成されたデスクトップ環境であり、機能的には一般的なLinuxディストリビューションのデスクトップ環境と大きな差は無い。ただ、低く設定された価格も魅力だし、なによりSolarisを採用している既存顧客にとっては、SunがLinuxに取り組む姿勢を見せているのは心強いだろう。

    Sunは次期Solaris x86に向け、SolarisとLinuxとの互換性も強化しようとしている。現在も「Lxrun」によってLinuxバイナリをSolaris上でエミュレーション的に動作させることは可能だが、パフォーマンス的な問題は解決されていない。そこで、現在Sunでは「Project Janus」と呼ばれるプロジェクトが組織され、Linuxバイナリを、ネイティブに実行するのと遜色ない速度で、Solaris上でも実行可能にする試みが行われている。

    また、将来的なJDSには、Sunがオープンソースプロジェクトとして推進している「Project Looking Glass」の成果が反映される可能性が高い。Javaで開発された3DデスクトップであるLooking Glassは、WIMP(Window,Icon,Menu,Point)を奥行きのある3次元で表現する。Microsoftも、"Aero Glass"のコードネームでLonghornで3Dデスクトップを実現しようとしており、今後のGUIの方向性の中で、3次元化はひとつの大きなキーワードとなりそうだ。

    Linuxデスクトップは浸透するか

    OSDLジャパン ビジネスディベロップメント ディレクタ 小薗井康志氏

    最後に、OSDLジャパン小薗井康志氏のセッションでも、Linuxデスクトップに関して興味深い予測が提示された。IDCの調査によれば、現在デスクトップOS市場におけるLinuxのシェアは3%程度で、2006年までに5~6%まで伸びることが予想されるという。意外に少ない値だが、これはあくまでもハードウェアにプリインストールされたOSの割合から算出されたものであり、WindowsをLinuxに入れ替えた場合のことは想定されていないためだ。エンタープライズ・デスクトップの分野でLinuxがWindowsのシェアを急激に奪うことはまだ考えづらいが、徐々に無視できない存在になりつつあるのは確かだろう。

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