【レポート】

IDF Fall 2004 - FB-DIMMに向かうIntelとその先

1 2006年のTimeFrameでFB-DIMMを導入

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Showcaseのレポートにも記した通り、IntelはFB-DIMM(Fully Buffered DIMM)をサーバ/ワークステーションと、長期的にはデスクトップにまで持ち込む予定でいる。このメモリに関する動向を、Technical Sessionの内容を元にまとめてご報告する。

2006年のTimeFrameでFB-DIMMを導入

最新のロードマップによれば、Intelは2006年のタイムフレームでFB-DIMMを導入する。既にDDR2-400/533の導入を行っているIntelだが、これに続き2006年初頭にはDDR2-667/800への対応が行われ、それに続く形でFB-DIMMの導入が行われる予定だ(Photo01)。実はこのスケジュール、当初に比べると軽く1年遅れる事になっている。Photo02は今年春のIDF Spring 2004で配布されたロードマップであるが、当初は来年初めからFB-DIMMを導入する予定だったことが判る。それが後に遅れることになった事情については後述したい。

FB-DIMMを導入する最大の理由は、総メモリ量を確保することである(Photo03)。FB-DIMMを利用することで、高速化に伴い枚数を制限されつつあるDIMMの枚数を最大8枚まで拡張することができるため、大容量メモリを利用したいサーバ/ワークステーションの分野で解決策になる、というわけだ(この辺の詳細も後述する)。

一方DDR2-667/800に関してだが、DDR2-667は既にFinal Specのフェーズ、DDR2-800はInitial Specのフェーズである(Photo04)。DDR2-667はともかくDDR2-800に関しては、様々な制限がある関係でFB-DIMMの形でのみ導入するなんて話も一時は出たが、最終的にはFB-DIMMとしない単体の状態で利用される事になるようだ。

メモリの高速化に関して、DDR333~DDR2-800までの、各々のCL(CAS Latency)の一覧がPhoto05に示された。ごらんの通り、Latencyに関してはどのメモリでもそれほど大きくは変わらない訳で、従ってメモリの高速化が重要であるというわけだ。

これに関係してだが、Pentium 4 XE 3.40GHzと、3.46GHz動作ながら1066MHz FSB/2MB L2キャッシュの2製品を比べて、SPECint/SPECfpの結果で5~10%の性能向上があることが明らかにされている(Photo06)。これが直接製品アナウンスに繋がる訳ではないが、FSBを上げることでまだ性能が上がる余地を残している事と、FSBを上げる場合にはメモリ帯域も上げないと意味が無いことを示しているわけだ。

Photo01:おなじみロードマップだが、FB-DIMMが後退しているのが特徴的。

Photo02:こちらは今年春におけるロードマップ。ちなみにPC1066/PC800は、ネットワークプロセッサIXP2800で「のみ」使われており、PC向けではない。

Photo03:Stub Bus構造が問題になる、という理由については後述。

Photo04:Initial Spec PhaseのDDR2-800だが、かつてはDDR400がここから約半年でValidationまで進んだ事を考えると、2006年のタイムフレームなら十分間に合う事になる。

Photo05:CAS Latencyの比較。スループット、つまり転送速度は大幅に増えているのにLatencyを増やさずに保っておけるのが、高性能化に繋がるという話。もっとも、DRAMセルの構造を考えるとLatencyが変わらないことは至極当然でもあるのだが。逆にいえば減らすのも現状では難しい。

Photo06:ただこうしたプレゼンテーションが出てくるあたり、Intelが1066MHz FSBに移行するための下準備が出来たことを物語っている。

FB-DIMMの構造

さて改めてFB-DIMMの構造を少しまとめてみたい。FB-DIMMの基本的なアイディアは、

  1. メモリチップをメモリバスに直接接続せずに、いったんAMB(Advanced Memory Buffer)に接続し、そこからメモリバスに接続する。
  2. AMB同士をディジーチェーン方式で接続する。

という構造だ。SMBus(System Management Bus)は相変わらずStub構造をもつが、こちらはデータレートに比べて低速だから、Stubによる弊害は少ない(上に構造が簡単)という事である(Photo07)。各々のAMBは単にデータの受け渡し/リレーをするだけでなく、RAS機能を持たせたりOut of Band Addressingを実現したりという形で付加価値をつけており、サーバー向けに高信頼性/高容量/高速性を一挙に実現しようとしている訳だ(Photo08)。

また、FB-DIMMのメリットとして挙げられているのは配線の容易さである。DDR2と比較した場合、取り回すべき信号の数が圧倒的に少ないのが大きなメリット(Photo09)という訳だ。この結果、例えばDDR2とFB-DIMMで同じだけのピン数を使えば、総メモリ容量は24倍にもなる(Photo10)という面白い比較もなされている。

ちなみに内部の配線に関しては、6:1の多重化により信号ピンの数は6分の1に減ることになる(Photo11)。ただそうなると伝達信号はより厳しいタイミングマージンで動作することになるので、伝達特性の改善は元より、伝達中のエラー訂正のメカニズムも必要になる。このためにFail-Over機構をもっているのがちょっと面白いところだ(Photo12)。また、RAS機能ではデータのみならずコマンドまでエラーリカバーを行うというのがなかなか珍しいところだ(Photo13)。

ただ、現状のロードマップを見ると、やはり製品レベルの展開が出来るのは来年Q3という事になりそうだ。SigTest(Signal Testing)がAlpha/Beta/1st Releaseの3回も行われる(同時にWorkshopも開催される)という念の入れ様で、ここから考えたらどう考えても2005年中にFB-DIMMが利用可能になるとは思えない(Photo14)。

もっと先の話をすると、IntelはFB-DIMMのアーキテクチャを単にDDR2のみならずDDR3世代でも利用するつもりがありありである。現在の仕組みだとFB-DIMMは元々のデータ速度の6倍での転送だから、DDR2-800で4.8GHz/pin、DDR3-1600で9.6GHz/pinとなり、理論上は銅配線で実現が可能な範疇であるが、現実問題として可能かどうか、はまた別の問題になりそうだ。ただ、DDR2世代で終わらせるつもりは無いことがはっきりとここから見て取れる(Photo15)。

Photo07:HMIと各AMBは、Single-DirectionalのPoint-to-Point接続になる。これにより、データレートが上がっても安定して信号伝達が出来るというわけだ。

Photo08:HMIに直接接続出来るのは最大8枚で、そこにリピータを介すると最大16枚まで接続できる。8枚としても2GB DIMMを使えば32GBに達する訳で、とにかくメモリ容量を必要とする向きには最適な解となる。

Photo09:なんかPCI Expressの時も似たようなプレゼンテーションを見たな...という感じである。

Photo10:まぁこれは極端な話で、6chメモリコントローラなんて作ったらえらいことになるのは目に見えている(し、大体メモリコントローラ側はIntelの領分で、Intelが出さないのだから意味がない)が、それでも2ch同士で比べても容量比で4倍になり、ピン数が140ピンvs480ピンだから、大きな違いがあることが判る。

Photo11:当然信号の速度は6倍になる訳だ。

Photo12:例えば7番の信号線がおかしくなった場合でも、Fail-Over Operationによってそれをリカバーできるという機構。エラー検出はCRCで行う。

Photo13:CRCベースとはいえ、それなりに強力なエラー訂正機能。すくなくとも今のXeonで実装されている、パリティビットを使ってのECCよりは柔軟かつ強力なエラー検出・訂正機能が実装できる。

Photo14:Q3に入ってもまだSignal Testが必要というあたりが、やはり難しさを物語っていると言える。ところでこのFB-DIMMをサポートするチップセットに関する情報が何もないのも不思議なところ。こっそり前倒しでFB-DIMMサポートのチップセット(世代としてはGlenwood/Lakeport/Mukilteoの次になるのだろうか?)を開発用にリリースするか、もしくはPCI Expressの時の様に開発専用のFB-DIMMサポートチップセットをリリースするか、どちらかだろう。時期的に言えば前倒しでは到底間に合わないわけで、開発用チップセットのリリースが普通だが、そうなると今度は製品版チップセットのValidationが別に必要となるわけで、このあたりは難しそうだ。

Photo15:DDR3の次となるDDR4について「?」がついているのは、アーキテクチャが大きく変わると見られているからだ。詳しくは後述。

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インデックス

目次
(1) 2006年のTimeFrameでFB-DIMMを導入
(2) メモリメーカーから見たFB-DIMM
(3) FB-DIMMの問題点とDDR3/DDR4について

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