【レポート】

IDF Fall 2004 - 未来のインターネット需要に対応、ネットのアップグレード構想

今から30年前にVint Cerf氏とBob Kahn氏がTCP/IPを提案した時、今日のような成長を予測する人はいなかった。アプリケーションと言えば、FTP、Eメール、そしてTelnet。その後、グラフィックベースのWebが登場し、さらに音声やビデオがやり取りされるようになって、インターネットは様変わりした。コンピュータだけではなく、家電製品もインターネットに接続し始め、トラフィック量は増加の一途をたどっている。

インターネットが我々の生活に欠かせない存在になっている証とも言える。だが、ネットワークにかかる負荷の増加は、将来的に情報の生命線と呼べるようなサービスの停止を引き起こしかねない。30年の月日を経たネットワークは見直しの時期を迎えている。IDF最終日、Intel CTO(最高技術責任者)のPat Gelsinger氏は基調講演の中で、「ネットのアップグレード構想」を語った。

講演では最初にTCP/IPの設計者の一人で、「(現在の形の)インターネットの父」と呼ばれているVint Cerf氏が登場、現在のインターネットが抱えるいくつかの問題を指摘した。曰く、「将来的に数十億規模のデバイスが接続する可能性があることを考えると、今日のネットワークにはキャパシティに不安がある」。

現在MCI Worldcom上級副社長を務めるVint Cerf氏(左)とIntel CTOのPat Gelsinger氏

ネットに接続するデバイス、またはユーザーあたりの通信バンド幅に対する要求も増え続けている。さらにネット上のサービスが多様化すれば、全体的にサービスの品質を維持するのが難しくなるとCerf氏は指摘する。では、ネットは限界を迎えようとしているのだろうか?

「いまだに原始的なのだと思う。ネットワーキングを本格的に活用するという意味では石器時代なのだ」というのがCerf氏の意見だ。必要なのは、「現行の通信プロトコルを土台に、その上にやぐらを組んで機能的な家屋に仕上げるような作業だ」という。

では、未来のインターネット需要に応えるために、どのようなやぐらを組めば良いのか? 可能性の一つとしてGelsinger氏が取り上げたのが、Intelが参加している「PlanetLab Consortium」である。

Cerf氏との対談の中で、Gelsinger氏は急増が予想されるネット接続デバイスの一例としてIntel開発の小型Windows PCを示した

PlanetLabは、次代のインターネット・アプリケーションやサービスの実験を行うためのテストベッド・プロジェクトである。Intelのほか、AT&T Labs、HP、NEC Labs、France Telecom、さらにUCバークレー校、ケンブリッジ大学、プリンストン大学など、約150の団体が参加している。同コンソーシアムでは、参加メンバーのマシンを使ってインターネット上にオーバーレイネットワークを構築、"覆いかぶせる(overlay)"ような形で、インターネットに新たな機能をもたせようとしている。2002年の誕生時には7カ国の41サイトで101ノードを展開、現在は22カ国の194サイト、440ノードに増えた。

理科の教材などで使われている透明フィルムページを想像すると理解しやすいと思う。骨だけの絵の上に、内臓や筋肉が描かれた透明フィルムページを重ねると、人体がどのように動くかが理解できるようになる。骨のページが今日のインターネットのパケットフォワーディングだとすると、筋肉や内臓のページは新たなルーティング技術やサービスとなる。この二つを重ねた時に、これまでにない豊かな機能が得られる。

PlanetLabがインターネットを変える例として、まずUCバークレー校の大学院生が取り組んでいる「Public Health of Internet(PHI)」が紹介された。ネットでの悪意のある攻撃への対策を研究をしている。

PHIがモニターしたネット上の攻撃状況

攻撃者のソースは少なく、IPアドレスを特定して即時にフィルターする体制を整えれば、被害を大幅に軽減できる

同プロジェクトがネットワークをモニターし、攻撃パターンを分析した結果、攻撃は非常に限られたソースから仕掛けられていることが判明した。トップ10ソースだけで全体の約60%になるそうだ。つまり、ネットワークのモニタリングで攻撃者のIPアドレスを特定し、その情報をすぐにファイアウォール・アプリケーションなどに反映させる体制を作れば、ワームやウイルスによる被害を大幅に軽減できる。

次に行われたのは、ウエブキャストの生中継などで、動的にルートを修正して、トラフィックを常に最適化するデモ。会場に設置された数台のマシンが基調講演のウエブキャストに接続する。それらがソースマシンへの接続を試みるのに対して、PlanetLabではすぐにノードを割り当てて、ソースマシンの負担を抑える。Cerf氏が指摘したキャパシティの問題を解決する答えの一つとなる。

企業の間でもPlanetLabを活用する取り組みは始まっており、例えば米国の公共テレビPublic Broadcasting Service(PBS)は、PlanetLabを使って全米のメンバー局での放送へのコンテンツ提供を自動化し、その状況をモニターするデジタルシステム作りに取り組んでいる。

会場に設置した数台のマシンで基調講演のウエブキャストを受信。ソースマシンに接続し始める

すぐにPlanetLabのノードが割り当てられる。遅延をなくし、ウエブキャストの品質が最適な状況で維持できるように、動的にトラフィックをルートし直す

PlanetLabは、インターネットをデータを転送するためのパイプから、多様なサービスをホストするためのプラットフォームへと進化させる試みと言える。IntelはHPと共に、近い将来、"革新的な地球規模のサービス"を実現するために、PlanetLabの商用的な利用に乗り出すそうだ。



転職ノウハウ

あなたが本領発揮できる仕事を診断
あなたの仕事適性診断

シゴト性格・弱点が20の質問でサクッと分かる!

「仕事辞めたい……」その理由は?
「仕事辞めたい……」その理由は?

71%の人が仕事を辞めたいと思った経験あり。その理由と対処法は?

3年後の年収どうなる? 年収予報
3年後の年収どうなる? 年収予報

今の年収は適正? 3年後は? あなたの年収をデータに基づき予報します。

激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない
激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない

美人上司と可愛い過ぎる後輩に挟まれるエンジニアの悩み

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事

求人情報