【レポート】
8日、埼玉県の彩の国すこやかプラザで、アライド・ブレインズ、地域情報研究所、NPOユニバーサルデザイン・ステップ共催のウェブアクセシビリティセミナーが開催された。テーマは、「ウェブコンテンツJIS準拠と情報バリアフリー社会を目指して」。
地域情報研究所所長の田中恒明氏の挨拶の後、まず来賓講演として総務省情報通信政策局情報通信利用促進課の有馬伸明課長補佐より、総務省の情報アクセシビリティの普及、デジタル・デバイドの解消に向けた取り組みの話があった。
統計的な話として、平成14年から15年の世代別インターネット利用率の推移を見ると、13歳から39歳くらいの利用率があまり変らないのに対し、40歳以上の伸び率が高く、高齢者へのインターネットの普及が高まっていることが示された。
日本は、全人口に占める高齢者の割合が2010年には世界一になり、2015年には4人に1人が高齢者になると言われている。そして、その多くは何らかの障害を抱えることになる。現在、障害者手帳を持っている障害者のうち、65歳以上の高齢者の割合が急激に増えており、さらに、手帳を持たない白内障などの障害を加えると、インターネット利用者における障害者の割合は増加し続けていることが分かる。
インターネットという新しいコミュニケーションツールの獲得により、社会参加が困難だった人たちの社会参加が可能になるという可能性が秘められてはいるが、これらの高齢者、障害者に対するデジタル・デバイドの壁はまだ厚い。
その一助として、2004年6月20日に公示された「JIS X 8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針 - 情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス - 第3部: ウェブコンテンツ」(ウェブコンテンツJIS)があるが、都道府県レベルはともかく、市区・町・村サイトのアクセシビリティの普及度はまだ低く、JIS化の支援のために、総務省ではJISの評価方法や評価体制の確立が現在検討されているという。
次に、アライド・ブレインズの内田斉社長より「高齢者・障害者等にも使いやすいWebとは」と題して、高齢者や障害者がウェブを利用する上で使用している支援技術(アシスティブテクノロジー)の説明が、実際の操作例のビデオの上映を含めて行われた。
視覚障害者(ほぼ全盲)はこれまで、新聞や雑誌の記事を読むことができなかったが、音声読み上げソフトを利用することで、ウェブでニュース記事などをひとりで閲覧することができるようになった。
しかし、ウェブコンテンツ側にメニュー構成や画像への代替テキストなどの配慮がなされていないと、読み上げに時間がかかったり、読み上げることができなかったりする。また、弱視で画面拡大ソフトを使っている場合は、マウスを動かすと表示されるプルダウンメニューの操作が困難だったり、動く文字の閲覧が困難だったりする。重度の肢体不自由の場合はマウス操作ができない場合が多く、キーボード操作で選択できないメニューなどは操作不能になる。このような実例が報告された。
また、アライド・ブレインズの太田隆氏からはウェブコンテンツJISの概要説明があった。
ウェブコンテンツJISは、本文6章と豊富な例示を含む付属書と解説から構成されている。5章「開発及び制作に関する個別要件」としては、具体的な確保基準として39項目が挙げられ、規格及び仕様、構造及び表示スタイル、操作及び入力、非テキスト情報、色及び形、文字、音、速度、言語に分類されている。
個別要件の要求レベルとしては、「~しなければならない(must)」と、「~することが望ましい(should)」の2つがある。これらが混在している例もある。
たとえば、フレームについては「フレームは、必要以上に用いないことな望ましい(should)。使用するときには、各フレームの役割が明確になるように配慮しなければならない(must)。」とあり、フレームを使う場合は、noframes要素を書き、frame要素にname属性やtitle属性でフレームの役割を明確にしなければならない。ウェブコンテンツJISでは、39項目について、このように具体的な解説がなされている。また、企画段階、保守・運用段階での要件も規定されている。
セミナーの最後では、JIS準拠を支援するツールとして、アライド・ブレインズが開発・販売している「A-COMPASS」が紹介された。A-COMPASSはアクセシブルなサイトのサンプル・テンプレート集で、自治体、学校、生涯学習、観光の4テーマについて4デザインずつ16サイトのサンプルが収録されており、そのテンプレートをもとに、JISやWCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)1.0の「AA」レベルのサイトを容易に制作できるというものだ。
そして、締めくくりとして内田氏より改めてJIS規格の意味が改めて言及された。すなわち、JIS規格への準拠、JISチェックツールでの合否が目的となってはならないということだ。ウェブコンテンツJISの本来の目的は、「市民誰もが利用できる情報の提供」であり、その本質を踏まえた、組織的、継続的なウェブのアクセシビリティ対応が今問われている。
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