【レポート】

「リークは増大していない」 - AMD、90nmプロセスに自信を示す

古林高  [2004/09/05]

従来、プロセスの微細化はメリットばかりであるとユーザーに受け取られていたと思われるが、リークが増大する性質が顕在化してきたことから、必ずしもプロセスの微細化が良いことばかりではないのだ、という印象も持たれ始めている。そのような中、AMDも8月17日にそれまでの130nmプロセスより一世代微細化した90nmプロセスを用いた製品の出荷を開始したと発表した。競合のIntelよりも約半年遅れの90nmプロセス製品の投入である。このAMDの90nmプロセスは、どのような特徴を持つのだろうか。リークについては、どのようなレベルにあるのだろうか。

そしてもうひとつ興味深い情報がある。海外のニュースサイトでは、AMDの90nmプロセスが歪シリコン技術を採用していると報道した。AMDは、130nmプロセスでPD SOI(Partially Depleted Silicon on Insulator:部分空乏型SOI)を導入し、引き続き90nmプロセスでも採用していると述べている。他方、競合のIntelはSOIは導入せず、一方で90nmプロセスで初めて歪シリコン技術を導入した。実際のところ、AMDは90nmプロセスでSOIに加えて歪シリコン技術を導入しているのだろうか。AMDの製造プロセス部門に電子メールで取材を行った。

-- AMDの90nmプロセスについて伺います。90nmプロセスの製造ラインはどの工場に設置されているのでしょうか。

ドイツのドレスデンにあるAMD Fab 30だ。

-- ウェハのサイズはいくつでしょうか。

200mmウェハを使っている。

-- AMDの90nmプロセスの主な特徴を教えてください。

現在のAMDの90nmプロセスは、SOI、そして9層銅配線、そしてLow-k層間絶縁膜を採用している。

-- 現在、90nmプロセス製造ラインの歩留まりは良好ですか。

我々のAutomated Precision Manufacturing(APM:自動調整製造)技術の貢献によるところが大きいのだが、90nmプロセスの高い歩留まり率が素早く立ち上がった。

-- 130nmプロセスによる製品と比較して、90nmプロセスの製品の消費電力はどの程度でしょうか。

新しい90nm モバイルAMD Athlon 64プロセッサは、現在の130nmプロセスによるモバイルAMD Athlon 64のTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)と同じ35Wでは、(130nmプロセスの製品と比較して)より高いレベルのパフォーマンスを発揮すると見込まれる。電力効率の向上のためにプロセスとデザインを改良したことにより、90nmモバイル AMD Athlon 64は35Wから31Wへ約10%ほどTDPを下げることができた。

-- AMDの90nmプロセスでは歪シリコン技術が使われているという報道もありますが、本当でしょうか。

8月31日現在出荷されているAMDの90nmプロセス製品は歪シリコン技術を導入していない。近い将来、我々は歪シリコン技術を採用した90nmプロセス製品を市場に導入することを計画している。我々は来月(9月)、この件についての詳細を検討する見込みだ。

-- 130nmプロセス製品と比較して、90nmプロセス製品のダイサイズの縮小はどの程度でしょうか。

薄型軽量ノートブック型パソコン向けの90nm モバイルAMD Athlon 64プロセッサのダイサイズは84平方mmで、以前(130nm)の世代の製品の145平方mmの42%になっている。このダイサイズの縮小は、以前の世代よりも一枚のウェハ当たり72%多くのチップを造ることができることを意味している。AMDはこの製造余力を、AMD64製品に対するニーズの増大に応えるために用いていく。デスクトップ用の90nm AMD Athlon 64プロセッサもまた84平方mmとなる見込みだ。そして、90nm AMD Opteronプロセッサのダイサイズは115平方mmとなる。

-- Low-k材料は用いていますか。素材と実効誘電率を教えてください。

使っている。我々は130nmプロセス世代からLow-k素材を使い始めたが、これはIntelより1世代早い採用だ。(IntelではLow-k素材のCDOを90nmプロセスで初めて導入した) 我々のLow-k層間絶縁膜ソリューションは、Applied Materialsの「Black Diamond」技術を、他の素材と組み合わせて用いている。事情により実効誘電率に関してはその詳細を述べられない。

-- ゲート絶縁膜についてHigh-k素材を用いていますか。

我々は現在のところ、我々のマイクロプロセッサ製品に対してHigh-kゲート絶縁膜を採用していない。そして我々の知る限り、現在、High-kゲート絶縁膜を製品に採用している企業はないはずだ。

-- 90nmプロセスを導入することによるその他の利点を教えてください。

基本的な利点は、パフォーマンスの増大、省電力、そしてダイサイズの縮小だ。

-- リークの程度はどうでしょうか。一般的に、130nmプロセスから90nmプロセスへのテクノロジの微細化は、リークパワーを増大させると言われています。AMDの90nmプロセスについてはどうでしょうか。

我々の90nmプロセス技術ではリークの増大は認められない。

-- 65nmプロセスでの生産について、その状況を教えてください。また、量産出荷はいつごろになりそうでしょうか。

我々の65nmプロセス技術の開発はIBMと共同で行われており、開発は良好に進捗している。現時点では65nmプロセスでの量産開始の時期についてコメントはできない。

-- 90nmプロセステクノロジ導入の総合的な利点と、読者へのコメントをお願いします。

AMDの90nm SOIプロセス技術は効果的に消費電力を減少させる。その消費電力の余力が、AMDの新しいプロセッサに対してパフォーマンスの向上や消費電力の削減、あるいはその両方を実現する自由度を与えてくれる。

AMDの90nmプロセスは省電力と強調

取材により、90nmプロセスにおいては現在の出荷製品には歪シリコン技術は使われていないが、近い将来、導入することを計画していることが明らかになった。歪シリコン技術を導入することで、一層の高性能化、もしくは省電力化を図れることになりそうだ。また、Intelの90nmプロセスが7層銅配線であるところを、AMDの90nmプロセスでは9層銅配線と配線層が2層多いことも興味深い。この9層銅配線は、Intelの65nmプロセスで予定されている8層銅配線よりもさらに1層多い。

そして、AMDは90nmプロセスでリークの増大は認められないとしている。90nmは省電力だ、ということを強調している。リークのレベルはSOIプロセスを始め様々な要因がからんでくるため、AMDの90nmプロセスでリークが増大しなかった理由は明らかではないが、同社のコメントを信ずる限り、性能効率の優れた製品が90nmプロセスを用いて生産されてくるものと思われ、期待される。

各社の半導体製造プロセス技術の今後の展開についてだが、検討の対象となる採用可能な技術が多様化してきており、またそれぞれの技術の最終的な完成度をどの程度まで高めることができるのかについても明確ではない部分が多く、予測が難しい。しかも回路設計も含めた評価をしなければ本質を見失うことになる場合もある。採用する技術について様々な組み合わせが考えられ、そのことがアドバンテージにもなりえるし、リスクにもなりえる。採用する製造技術の見極めを誤ると、回路設計では取り返しのつかない性能上のディスアドバンテージを負ってしまうことにもなりかねない。Intel、AMDはじめ半導体メーカー各社がどのようなプロセステクノロジを今後採用してくるのか、その動向にも注目したい。



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