【レポート】

SIGGRAPH 2004 - EMERGING TECHNOLOGIES展示セクション(1)

3 不思議なディスプレイ

    西川善司  [2004/08/14]

    単一画面で四方向から異なった映像が見られる不思議なディスプレイ/東京大学苗村研究室、NTTコミュニケーション科学基礎研究所

    住友化学の建築素材「ルミスティ」を映像ディスプレイシステムに応用した研究。ルミスティとは視線の角度に応じて視界が「すりガラス」のようにぼやけて見えるようになる光学フィルタフィルムで、プライバシーフィルタとして利用されている。

    テーブルの上に配置した透過型スクリーンの上にルミスティを載せ、このルミスティの視界が抑制されない角度方向のテーブルの土台部分にプロジェクタを設置、これを四方向分、四基のプロジェクタで実装したものが東京大学とNTTコミュニケーション科学基礎研究所の開発した「ルミサイトテーブル 」だ(実際には土台内部にミラーを用いてプロジェクタの投射距離を稼いでいる)。

    テーブル状の四角形のスクリーン部には四枚の映像が投影されているのにもかかわらず、このうち、ルミスティの視界抑制効果によって各辺側から1つの映像しかみえないわけだ。トランプや麻雀のような他人の"手"が見えてはいけないゲームや、四人が四方向から同時に利用できる地図案内システムなどの応用が考えられている。

    概念図

    四方向から撮影したルミサイトテーブル。それぞれの視線方向に異なる映像が見て取れる。

    1つのカメラで捉えた映像から別視点の映像が見られる不思議/東京大学苗村研究室

    東京大学が開発した「LIFLET」システムは、単一のカメラから別視点の映像がリアルタイムで得られるという画期的なシステムだ。微細な魚眼レンズをマトリックス配置した光学系の映像をビデオカメラで撮影し、これを画像処理して入力側から指示された角度からの映像を合成する。

    現時点の実験システムでの視線移動範囲は前後左右20度ほどまでだそうで、光学系やビデオカメラ撮影のクオリティを上げることで30度くらいまでには広げられ、さらに得られる映像の高画質化も可能だという。

    静止画に限らず、カメラで撮影した映像をリアルタイムに視線移動が可能な動画として生成できるので、インタラクティブ性を持ったテレビ放送などへの応用が考えられている。

    LIFLET概念図

    中央に見えるのが微細な魚眼レンズをマトリクス配置した光学系

    右の映像がカメラで捉えた映像。昆虫の目が捉えたような映像になっている。

    この昆虫の目のような映像から視線方向に対応する映像の画素をサンプリングしていく…というのが基本概念。

    (トライゼット 西川善司)

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