【レポート】

NVIDIA、GeForce 6600シリーズを発表 - SLIを低価格で実現

 

NVIDIAは8月12日(現地時間)、プログラマブルシェーダ3.0仕様に対応したメインストリーム向けグラフィックスチップ(GPU)「GeForce 6600」シリーズの発表を行った。GeForce 6600シリーズは、これまで開発コードネームNV43として知られていたGPUで、マーケットセグメント的には、型番からも想像できるようにGeForce 5600や5700シリーズの後継製品に当たる。

NVIDIA自ら「DOOM3 GPU」という異名を付けたGeForce 6600シリーズ

SIGGRAPH会場にはNVIDIA SLIバスも登場!

今回、GeForce 6600シリーズの解説をして頂いたNVIDIAチーフサイエンティストDavid Kirk氏。RIVA128シリーズ以降、全てのNVIDIA製GPUの設計に携わってきた人物で、GeForceシリーズの父の異名を取る。

プログラマブルシェーダ3.0仕様に完全対応のGPUが2万円以下で!

GeForce 6600シリーズの総トランジスタ数は1億4600万。製造プロセスルールはTSMC、Low-kの110nmになる。GPUコアの基本設計はGeForce 6800(NV40)を基本としたもので、プログラマブルシェーダ3.0仕様にフル対応する。ただし、ゼロからフルスクラッチ設計した新コアであり、GeForce 6800のパイプラインを殺して転用したGeForce 6800コアの流用チップではない。また、チップ自身がPCI Expressx16インタフェースを内包しているために「PCI Expressネイティブチップ」ということになる。

ビデオメモリバスは128bitとGeForce 6800の半分となる。頂点シェーダは3基構成でGeForce 6800シリーズの半分だが、頂点シェーダ3.0仕様に完全対応する。ピクセルレンダリングパイプラインは8本で、その全てにピクセルシェーダ3.0仕様に完全対応したシェーダユニットが内包される。

製品ラインナップは上位モデルのGeForce 6600GTと下位モデルのGeForce 6600(以下6600スタンダードと表記)の2タイプで、PCI Express版とAGP8X版の両方、トータルで4製品がカードベンダよりリリースされる。実際の登場時期は、大手メーカーやBTOメーカーなどのPC製品への組み込み向けが9月より先行出荷され、ビデオカードのリテール品は10月からの出荷となる見込み。基本的にPCI Express版が先行出荷されるとのことで、AGP8X版はマーケット戦略上のためかあえて若干遅らせるという情報がある。AGP8X版はPCI Express x16ネイティブのGeForce 6600シリーズに対してインタフェース変換ロジックである「HSI」(High Speed Interconnect)チップを用いて設計される。

6600GTと6600スタンダードの主な違いは、コアクロックスピードと、組み合わされるビデオメモリの種類にある。具体的なコアクロックスピードは明かされていないが、6600GTが500MHz前後、6600スタンダードは300MHz前後となる見込みで、カードベンダによって多少変えてくる可能性が高い。ビデオメモリは6600GTがGDDR3の1GHz、6600スタンダードはDDR1でクロックはカードベンダがある程度の自由を持って決定できるとのこと。ビデオメモリ容量は共に128MBとなっている。

128MBという容量設定は価格レンジに配慮したものであり、チップ自体は256MBに対応していると思われる。よって、製品バリエーションが多様化していく中で、GeForce 6600シリーズの256MB版が登場してくる可能性はある。GeForce 6600シリーズは省電力性能に優れ、外部電源は不要となった。リファレンスデザインでは冷却ファン付きになっているが、いずれファンレスデザインを採用した製品がカードベンダからリリースされるだろうと説明する。

最終的なカード製品の価格はカードベンダによって多少上下するが、参考価格としてGeForce 6600GTがUS$229(約26,000円)、GeForce 6600スタンダードがUS$179(約20,000円)が示された。

これまで高嶺の花的存在だったプログラマブルシェーダ3.0仕様GPUが2万円以下で手に入る。

GeForce6600シリーズのスペック(一部筆者推察)
機種名 GeForce 6600GT GeForce 6600 GeForce 6800GT(参考)
トランジスタ数 1億4600万 1億4600万 2億2200万
コアクロック 500MHz 300MHz 350MHz
メモリクック 1.0GHz 不定 1.0GHz
ビデオメモリタイプ/容量 GDDR3/128MB DDR1/128MB GDDR3 SDRAM 256MB
メモリバス幅 128bit 128bit 256bit
メモリバンド幅 16.0GB/sec N/A 32.0GB/sec
頂点シェーダーバージョン 3.0 3.0 3.0
頂点パイプライン(=頂点シェーダ数) 3本 3本 6本
ピクセルシェーダーバージョン 3.0 3.0 3.0
ピクセルパイプライン(=ピクセルシェーダ数) 8本 8本 16本
頂点性能 3億7500万頂点毎秒 2億2500万頂点毎秒 5億2500万頂点毎秒
フィルレート 40億テクセル毎秒 24億テクセル毎秒 56億テクセル毎秒

GeForce 6600シリーズでDOOM3がハイパフォーマンスで動作するワケ

ベンチマークテストの結果については後に公開される予定だが、GeForce 6600GTの3DMark03におけるパフォーマンス結果はGeForce 5950 Ultraに肉迫するか多少上回るほどだという。

また、久々のGPUキラーゲームソフトである「DOOM3」がついに発売されたが、GeForce 6600GTはこれを、1024×768ドット、32ビットカラー、4サンプルアンチエリアスを適用し、8アニソトロピーの異方性フィルタリングを適用して、グラフィックスクオリティを「HighQuality」とした状態で平均50fpsでプレイできるという。

DOOM3では影生成にステンシルシャドウボリューム技法を採用しており、驚くべき事にシーン内のオブジェクト描画にかかるポリゴン数を超える数のポリゴンがシャドウボリューム生成に割かれている。ステンシルシャドウボリューム技法では、シーンを通常通りレンダリングした後、光源から見てオブジェクトの輪郭を引き延ばしてできるシャドウボリュームと呼ばれる影領域をレンダリングする。この影領域のレンダリングの際、論理的に影領域にならないと判定できる場合は、その処理を省略する。ここまでが、GeForce FX 59x0/5700シリーズに搭載されていたUltraShadow機能だ。そして、この影領域がシーンの深度情報(Zバッファの値)と比較して、影となる領域であれば、その情報をステンシルバッファに記していく。

ハイエンドGPUのGeForce 6800シリーズでは、そのラスタライズ処理(ROP)ユニットが、デュアルZ処理ユニットとして機能できるため、ステンシルシャドウボリューム技法のレンダリングにおいては、2倍の効率で処理できるとし、これをUltraShadowII機能と命名したわけだが、今回発表されたGeForce 6600シリーズにもこの機能が搭載される。

NVIDIAは「DOOM3を快適にプレイできる2万円台のGPUはGeForce 6600シリーズだけ」と強くアピールしており、DOOM3を同一クオリティで同価格帯のATI RADEON X600XTで動かした場合には3倍のパフォーマンス格差があるとアナウンスした。

日本でも知名度の高い「DOOM3」。これが最高クオリティでハイパフォーマンスで動作するとなるとその影響力は大きい。同じくキラーアプリとして注目されている「HalfLife2」との強力なタイアップを強調したATIだが、あれから1年経った今も発売されていない。

DOOM3における同価格帯ATI製GPUのパフォーマンス比較。

その他のベンチマークソフト等でのパフォーマンス比較。

強化されたビデオプロセッサ

GeForce 6600シリーズはGeForce 6800シリーズから進化を遂げた部分もある。それが、プログラマブルビデオプロセッサ(PVP)の部分だ。GeForce 6600シリーズのPVPは、ホームシアターPCやテレビ録画パソコンへの組み込みに配慮し、ビデオ再生系の機能が強化されている。1つがデインタレース(プログレッシブ化)ロジックの部分で、フィールドオーダーを自動検出し、そのビデオソースにもっとも適したフレーム生成を行うという。3-2プルダウン処理についても同様で、単なるフィールドの二重化ではなく、適応型のフレーム生成が行え、その品質はいわゆる中堅クラス以上の民生DVDプレイヤー相当だとのこと。

二つ目は、MPEG再生には効果の大きいモスキートノイズおよびブロックノイズの低減機構だ。この機能をNVIDIAは「Motion Estimation」と呼んでおり、日本語では「動き予測」となるが、MPEGエンコード時に行われる「動き予測」とは別物で、あくまで再生の高品位化機能だ。具体的な処理内容は不明だが、効果の説明を聞く限りでは、民生ビデオレコーダー機器に搭載されているフレーム相関適応型のアダマール・ノイズ・リダクション機構だと推察される。

強化されたプログレッシブ化ロジック。複数フィールドから最適なフレームを生成する。

単にフィールドを二重化して行う3-2プルダウンではなく、複数フィールドの情報からプログレッシブフレームを生成する。

有効時にはMPEG再生時の色境界付近でのざわつきが劇的に軽減される。

2枚刺しのSLIにも対応

6月に突如アナウンスされたGeForce 6800シリーズの2枚刺しソリューション「SLI(Scalable Link Interface)」だが、メインストリーム向けGPUであるGeForce 6600GTにおいても、これがサポートされることが明らかにされた。SLIはGeForce 6600GTのPCI Express版でのみサポートされ、GeForce 6600スタンダードおよびGeForce 6600GTのAGP8X版ではサポートされない。

SLIを2万円台のビデオカードで実現できるということで、3Dゲームファンに強い訴求となるGeForce 6600GTだが、SLIを実現するためににはPCI Express x16スロットと、もう一つのPCI Express x8あるいはx16スロットが必要であり、この機能を持ったマザーボードは、いわゆるハイエンドクラスの製品であるため、手の出しにくさはあまり変わらないといえる。

ちなみに今年後半、NVIDIAはメインストリームからハイエンドまでをカバーできるAMD CPU向けのチップセットnForce4を発表すると見られ、これが当然のごとくSLIに完全対応してくると言われている。SLIが現実的なソリューションとして認知されはじめるのは、このnForce4の登場以降ということになるかもしれない。

GeForce 6800のSLIソリューション発表時、2基のGeForce 6800シリーズを1枚のビデオカードに搭載した「1枚カードのSLIソリューション」は消費電力問題とマーケット戦略的な理由から否定されてしまったが、消費電力の問題が改善され、コストパフォーマンスのバランス取りも想定通りとなったGeForce 6600GTでは、「1枚のカードに2基のGeForce 6600GTを搭載させたカードの登場の可能性はある」とのことだ。GeForce 6800シリーズと6600シリーズの隙間を埋める、デュアル6600GTカードの登場にも期待したい。

GeForce 6600GTをSLI動作させると頂点シェーダ数、ピクセルシェーダ数、共に約2倍のパフォーマンスとなり、GeForce6800GTとほぼ同程度のパフォーマンスが得られるとのこと。

(トライゼット 西川善司)

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