【レポート】

再びジオサイトプロジェクト、今度はシールドマシンのゴール地点に潜る

    大塚実  [2004/08/10]

    以前、虎ノ門交差点の地下で開催された「東京ジオサイトプロジェクト2 沈黙のシールドマシン展」の様子をレポートしたが、7日、そのゴール地点となる日比谷側でもイベントが行われた。題して「日比谷地下空間視察団」。メールで申し込みをした人の中から抽選で約100名を招待したもので、参加者は日比谷立坑や路下ヤード空間の見学を存分に楽しんだ。

    視察団の1次隊。ヘルメットは地下の正装だ

    今回の現場となる日比谷交差点。隣は皇居のお堀

    この空間は、日比谷共同溝の事業により建設されたもの。同プロジェクトについては前回のレポートを参照して欲しいが、虎ノ門立坑を発進したシールドマシンのゴールとなるのがこの日比谷立坑だ。地震に強く、路上工事の回数も減らすことができる共同溝と呼ばれる地下インフラの整備が目的で、都心では現在、このような共同溝のネットワークが整備されつつあるところだ。

    入り口は相変わらず小さい

    路下ヤードで説明を受ける参加者

    日比谷交差点にある小さな入り口に足を踏み入れると、そこにはもう地底の別世界が広がる。まず最初にあるのが路下ヤードと呼ばれる広い空間で、ここが地底での工事の拠点となる。路下ヤードの位置は地下約10mで、立坑はここからさらに下に伸びる。ただし、立坑の大きさは直径約16mと虎ノ門よりは一回り小さく、底部も地下30m程度と浅くなっている。

    路下ヤードから覗いた立坑。黄色いホースで呼吸用の空気を送る

    降りるにはひたすら階段。エレベータなどという軟弱な装備はない

    参加者はまず路下ヤードで共同溝事業についての説明を聞き、その後、階段を降りて立坑の底部へと移動した。底部にはシールドマシンの進行状況に関するパネルも用意されており、説明者の話では、現時点でスタート地点から約80mの掘削を終えたところ、ということだった。ただこれまでは試運転に近い形なので、今後スピードアップされる予定となっている。

    最下部にはシールドマシンのゴールとなる穴

    シールドマシンのルート。全1,457mを掘り抜く

    ところで、日比谷の路下ヤードは共同溝事業が終わった後、別の用途へ転用されることが決まっている。日比谷交差点付近は一帯でも低い位置にあり、集中豪雨などによる都市型水害の影響を受けやすい立地条件。そこで検討されたのが、この路下ヤードを雨水の一時的なバッファとすることだ。調整池の大きさは9.7(W)×47.7(L)×6.7(D)m、貯水量は約2,100立方mにもなる見込みで、これにより、道路の浸水被害を低減する効果が期待されている。

    日比谷交差点雨水調整池の概要

    昨年10月の集中豪雨ではこの一帯も浸水したという

    また、調整池に貯めた雨水を利用し、夏場のヒートアイランド現象を緩和することも考えられている。ヒートアイランド現象には様々な原因があるが、その1つとしてあげられるのが、路面温度が60℃にもなるという道路のアスファルト。この温度を下げるために、雨水を使って「打ち水」をやろう、というわけだ。

    環境舗装の例。保水性舗装・遮熱性舗装などがある

    都内数カ所で実験を行った。道路の色が違うのが分かる

    しかし、これだけの熱さにもなると、打ち水の効果は一時的。それを持続させるために、国土交通省では現在、保水性舗装の実験を都内数カ所で行っている。この保水性舗装では、内部に紙おむつでも使用されている高分子ポリマーを含んでおり、この保水効果により、気化熱の効果を1~2日程度持続させることが可能という。まだコスト的には通常のアスファルトの数倍かかるとのことだが、今後検証を引き続き行い、実用化に向けて取り組んでいくとのことだ。

    保水性舗装(右)は、排水性舗装(左)に高分子ポリマーを含むセメントを流し込んだもの

    東京ジオサイトプロジェクトでは今後も様々なイベントを検討しているとのことで、地底好きの人はサイトをまめにチェックするようにしたい。筆者は基本的には"高いところ大好き人間"なのだが、前回のイベントに参加してみて、地底も大好きであることが分かった(今回も2時間潜っていたら最後は筆者だけになってしまった)。ぜひ大勢の人に参加してもらい、都心の地下にこのような空間があることを肌で感じてもらいたいところだ。

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