【レポート】
東京・渋谷区の国際連合大学にて4日、海洋研究開発機構の一般向け講演「大気の変貌と地球温暖化 -京都議定書の先にあるもの-」が開催された。地球温暖化については、現在、世界的な課題となっていることはご存じの通り。国際政治的には、1997年12月、京都にて温室効果ガスの削減目標を定めた「京都議定書」が採択されているが、今回の講演では、地球シミュレータなどを使用した最新の研究成果について紹介された。
講演の標題にもなっている京都議定書は、地球温暖化の防止を目的に開催された「気候変動枠組条約第3回締約国会議」(COP3)にて採択された。同議定書では先進国や市場経済移行国に対し、温室効果ガス排出量の削減目標を定めており、目標達成のための仕組み(排出量取引など)も同時に導入されている。数値目標としては1990年当時を基準とし、排出量を先進国全体で5%削減することを目指しており、日本は6%、米国は7%、EUは8%というように、各国ごとに削減の目標値が設定されている。
最初に、海洋研究開発機構・地球環境フロンティア研究センター長の松野太郎氏より、今回のプログラムの概要について説明が行われた。後述の各セッションの内容と重なる点についてはここでは省略するが、氏はまず、地球温暖化を正しく理解するために重要な2つのポイントについて説明した。
1つ目は、温暖化の原因は「化石燃料を燃やしたことなどによる大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の増加」であることは間違いないが、排出されたCO2がすべて大気に蓄積されるわけではなく、増加分の半分程度は森林や海など、自然環境に吸収されているということ。そのため、こういったファクタについての研究も、温暖化予測においては重要になってくる。
2つ目は、温暖化の原因となる物質はCO2だけではないということ。温室効果ガスにはCO2のほか、メタン、フロン、オゾンなど様々あり、CO2の効果は全体の約半分程度。また、亜硫酸ガス(SO2)から生じる微小粒子(エアロゾル)は日光を反射するので逆に冷却効果があり、こういったものをトータルで考える必要がある。
氏からは、いくつかの最新シミュレーション結果についても紹介された。まずは、CO2濃度が現在の2倍になったときの地表面温度上昇のシミュレーション。全体的に気温が上昇していることが分かるが、その増加分には地域的なムラがあり、北大西洋上には温度が下がるポイントまで存在している。これは暖流が弱まることが原因とのことで、欧州では大きな問題になっているという。
もう1つは、台風の発生予測モデル。これは10年分のシミュレーションを行うもので、実際の観測では79.2個/年だったところ、同じ期間での計算結果は82.7個/年とほぼ同じ精度。このモデルを使い、21世紀末(CO2濃度が現在の2倍)の予測を行ったところ、発生数自体は65.8個/年と減少した。しかし、最大級の台風はむしろ強まる可能性があるとのことで、現在研究中であるという。
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