【インタビュー】
ワイヤレスUSBといえば、いわゆるUWB技術を用いて無線によりPCと周辺機器との接続などを行う技術であり、今年2月にその推進グループである「Wireless USB Promoter Group」の設立が発表されて以降、標準化に向けた作業が行われていることは、これまで何度か本誌でもお伝えしてきた。
ただ一方で、ワイヤレスUSBが採用する予定となっているMBOA(MultiBand OFDM Alliance)のUWB標準の策定が当初予定である今年5月より遅れているほか、IEEEにおけるUWBの標準化作業において、MBOAが支持するMB-OFDM(Multiband OFDM)方式とDS-UWB(Direct Sequence UWB)方式の間の対立について依然膠着状態が続くなど、標準化作業の全般的な遅れが目立ちつつある。またUWBと衛星通信や電波天文などとの間の干渉問題を心配する声も根強く、そのため米国以外における行政当局のUWBに対する認可が遅れ気味なのも気になる点だ。
そんな中、先週開催されたWIRELESS JAPAN 2004における講演などのため、IntelでUWBやワイヤレスUSB技術に関する開発の担当責任者であるJeff Ravencraft氏(Communications & Interconnect Technology Lab・Technology Manager)、Rafael Kolic氏(Communication Technology Lab・Technology Marketing Manager)の2人が来日しており、この度詳しいお話をうかがう事ができた。果たしてUWBの標準化の動向は、そしてワイヤレスUSBはどのような形でPCと周辺機器を接続するのか、そのあたりを可能な限りお伝えしていきたい。
--早速なのですが、IEEE802.15.3aにおけるUWBの標準化作業において、MB-OFDM方式とDS-UWB方式の対立がここのところずっと続いているわけなのですが、こちらの状況は現在どうなっているのでしょうか?
Ravencraft氏(以下R): 特に状況に変化はない。どちらも(標準として採用されるために必要な)75%以上の支持を得られない状況が続いている。
--先々週米国・ポートランドで行われたIEEEの標準化会合において、DS-UWB方式を支持する票がMB-OFDM方式の支持票を上回ったということなのですが……。
R: 確かにその通りだが、先々週の会合は夏休みで欠席したメンバーも多く、DS-UWBの支持票が多かったからと言ってそれが大きな意味を持つとは思っていない。MBOAからの提案には勢いがあるし、多くの参加者の支持を得ているという点には変化はないと考えている。
--今後MB-OFDM方式とDS-UWB方式の両方を1つの標準の中に併記する方向に進む可能性はあるのでしょうか? それともあくまでどちらかの方式に一本化すべきという意見が多いのでしょうか?
R: この場でこの質問にコメントするのは難しい。ただ業界にとってより良いのはやはりシングル・スタンダードが確立することであり、今のところはどちらかに一本化すべきという意見が優勢だ。
--日本のNICT(情報通信研究機構)が、ソフトウェア的にこの両方の方式に同一のシリコンで対応する「Soft Spectrum Adaptation」という技術をIEEEに提案していると聞いているのですが、そういった方式が標準に採用される可能性は?
R: 私が知る限り、そういった提案が出ているという認識はない。アドホック会合レベルでの議論には出てきているのかもしれないが、正式な提案としては出されていないのではないか。また仮に出ていたとしても、大きな支持を得ているわけではないということは言えると思う。
--MBOAとしての標準化作業の方ですが、当初の予定では5月にもMBOA 1.0の標準がリリースされることになっているのが遅れているようですが……。
Kolic氏(以下K): 既に大枠での方針はまとまっており、現在メンバー間で文書のレビュー作業中だ。物理層については今年第3四半期中に標準をリリースしたいが、MAC層についてはもう少し時間がかかり、第4四半期のリリースになる見込みだ。
--UWBについてはGPSや地球探査衛星の電波などとの干渉問題が心配されており、日本でも情報通信審議会などで議論が行われていますが、その点についてMBOAとしてはどのような対策を取っていくつもりでしょうか?
R: 現在米国のFCC(連邦通信委員会)や日本の総務省などとも連絡を取りながら、全般的なテストを行っている段階だ。ただ一口に干渉というが、まだ実際に(UWBとそれらの電波が)干渉するということ自体証明された事例はないと我々は認識している。
--MB-OFDM方式はDS-UWB方式に比べ、将来1Gbpsを超えるような速度への高速化を行う場合のヘッドルームが少ないと指摘する声もあるようですが……。
R: そんなことはない。将来的にはMB-OFDM方式におけるチャネル(528MHz幅)を複数まとめてバルクで使うことで高速化を図るようなソリューションを考えているし、実際全チャネルをフルに使った場合には3Gbpsを超える速度を出せることをシミュレーションで確認している。
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