【レポート】

ハイテク屋台村! ~非接触ICカード「コピティアムカード」の挑戦~

1 シンガポールにおける非接触ICカードの導入

    飯盛敦博  [2004/07/28]

    屋台というとどのようなイメージを持つだろう。それはハイテクとは随分遠い存在のように思える。ホーカーセンターやフードコートと呼ばれるシンガポールの屋台村も一般的には同様のイメージだ。しかし、シンガポールの屋台村をチェーン展開するコピティアム(Kopitiam)グループは今年2月にチョンバル(Tiong Bahru)ショッピングプラザで非接触ICカード「コピティアムカード」を試験導入、口コミにより大いに人気を博した。そして4月からは本格導入に乗り出している。

    シンガポールの屋台村で導入された非接触ICカードを通して従来のビジネスでのハイテク技術の導入と今後の動向を探る。

    コピティアムカード(Kopitiam Card)

    シンガポールの概要

    シンガポール共和国は面積685.4平方キロメートル、人口約419万人(2003年6月時点)の都市国家である。シンガポールの人口の内訳は、シンガポール国民・永住権保持者344万人、在留外国人(滞在期間1年超)75万人である。この数字からみると面積は東京23区(617平方キロメートル)とほぼ同じであり、シンガポール国民・永住権保持者の人口は横浜市の約355.2万人(2004年7月時点)に近い。一国の規模としては小さく、また、若い国(シンガポールの建国は1965年)ということも特徴である。

    情報化による効率化がシンガポールのキーワード

    狭小な国土、乏しい資源、複雑な民族構成といった厳しい条件を抱えながらも、シンガポールは政府の先進的な取り組みで奇跡的な経済発展を遂げた。近年は世界に先駆けて国家的な情報化の推進を行い、シンガポールは世界有数の情報化社会となった。アクセンチュアが発表した2003年度の電子政府の国際比較調査では、日本の第15位に対してシンガポールは前年に引き続き世界第2位となっている。

    シンガポールは厳しい世界競争に勝ち抜くために情報化による効率化とサービスの質の向上が必須との強い認識がある。シンガポールは国の発展、生き残りをかけ、この効率化を政府、民間共に協力に推進し、また、積極的に受け入れてきた歴史をもつ。

    シンガポールにおける非接触ICカードの導入

    シンガポールでは、2002年4月に地下鉄やバスなど国内の公共交通機関で運賃の支払いができる非接触ICカード「ez-linkカード」が導入された。シンガポールのez-linkカードはJR東日本のスイカ(Suica)と同じソニーのフェリカ(FeliCa)を採用している。ez-linkカードは2004年6月にはすでに約700万枚が発行されており、国民1人1枚以上を保有している計算になる。

    ez-linkカードはEZ-Link(EZL)が運営している。EZLはシンガポール陸運局(Land Transport Authority)の子会社として2002年1月に設立された政府系の企業である。

    地下鉄、バスのez-linkカードリーダ

    地下鉄の改札

    バスの昇降口

    EZLによるとez-linkカードの導入により、公共交通機関の利用において処理速度と回転率が格段にあがるという。

    • ez-linkカードを利用することにより、バスに1分間に乗れる人数は20人となる。それに対して、現金払いの場合は12人、磁気カードの場合は15人である。
    • バスの昇降時間を50%短縮できる。これは、バス停での停車時間を大幅に削減できる。
    • ez-linkカードを利用することにより、地下鉄に1分間に乗れる人数は40人となる。それに対して、磁気カードの場合は25人である。

    ez-linkカードの使用用途拡大の動き

    ez-linkカードの利用を各方面に広げるため、2003年8月にはQBが設立された。QBでは、ez-linkカードのメリットは処理時間の短縮(1つの処理あたり1秒から3秒)、キャッシュレスの電子決済にあるとして、今後の使用用途の拡大にも積極的である。

    またファーストフード最大手の米McDonald'sはシンガポール国内での買い物の支払いにez-linkカードの導入を決定。2004年6月末にはシンガポール国内のすべての店舗でez-linkカードによる支払いが可能になった。今後は流通大手FairPriceでの利用も可能になる予定だ。

    ○QBが想定するez-linkカードの使用用途

    産業分野使用用途
    外食業界ファーストフード
    レストラン
    カフェなど
    小売業界スーパーマーケット
    コンビニエンスストア
    デパートなど
    エンターテイメント業界映画
    テーマパーク
    ゲームセンターなど
    陸運業界駐車場
    タクシーなど
    インターネット業界Eコマースなど

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