【レビュー】
さて、面白いことと使いやすいことは、ちょっと違う。この製品を日本語環境で使う場合に違和感を感じる一番の原因は、日本人はカナ文字を使う民族である、ということだろう。すなわち、多くの日本人は文字を書くときに、漢字をそのままイメージするのではなく、ひらがなでの「よみ」をイメージすることが多いのだ。
パソコンでの入力に慣れたユーザーであれば、その傾向は特に強い。ローマ字入力、カナ文字入力、いずれの場合においてもまず「カナ文字」を入力して、それを漢字に変換することになる。つまり、最初に頭に浮かぶのは変換後の「漢字」ではなく、それを形成する「よみ」だということである。
しかしこの漢字入力システムでは、まず漢字の「形」「書き順」が頭に浮かばないと(さらに正しい形としてインプットされていないと)、そもそも使いこなすことすら不可能だ。手書きでは薔薇や憂鬱が書けないのは当たり前、毎度毎度「特"徴"」を「特"微"」と書いてしまう筆者のような人間(中ニの甥や姪と漢字の書き取りテストをして負けることもある。こんな商売なのに……血涙!)でなくとも、普段の思考形態とは異なる入力作業をするのはツライと考えるユーザーは多いと思う。
これが中国などの漢字圏だと、ちょっと話は変わってくる。彼らの文化圏には、カナ文字に類する文字がない。漢字とはいわゆる「表意文字」であり、言葉のイメージと言葉がダイレクトに結びついているのだ。文字を入力する際にイメージするものが、すなわち文字の形ということになる。こういう場合には、この製品のように書き順や文字の形から類推する文字検索機能が有効に働くわけだ。一方ハングルは、漢字よりはカナ文字に近い言葉だが(というか、表意文字と表音文字が入り交じった面白い言語なのだが)、やはり単語のイメージと言葉がダイレクトに結びついたシンプルな言語体系だ。だからこそ、書き順による検索機能にも十分有効性がある。
あくまで日本語環境で使う限り、デクマジャパニーズには遠く及ばない。しかし、中国のように表意文字を多用する言語環境である場合には、このタイプの入力環境が主流になる可能性はあるだろう。
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