【レポート】

NETWORLD+INTEROP 2004 TOKYOレポート - インターネットは従量制へ? 課金モデルの転換が必要

佐藤晃洋  [2004/07/05]

NETWORLD+INTEROP 2004 TOKYO・初日の午後に行われたのが、「今回初の試み」(東京大学江崎浩・助教授)というプログラム委員会によるセッション。特に初日は「我が国のインフラ変遷の軌跡と挑戦」と題し、前述の江崎氏に加えメディアエクスチェンジ社長の吉村伸氏、NTT未来ねっと研究所の市川晴久氏、シスコシステムズCTOの大和敏彦氏の4氏が「普通のセッションではできないこともプログラム委員としてなら言える」(江崎氏)ということで率直な意見をぶつけ合った。

まず重要なのは「設備の更新を補える収入モデルの構築」

序盤でまず話題になったのはビジネスモデルの話。市川氏は「次々設備を更新していくのを補える収入モデルを作らないといけない」と述べたほか、大和氏は「IP放送に事業者が取り組むのも『どうにかして金儲けになるアプリを(ネットワーク上に)載せたい』というニーズから来ており、そうしないと設備投資ができなくなる」と述べ、コンテンツの儲けでインフラに投資するというモデルへの期待をにじませた。

これに対し反論したのが吉村氏と江崎氏。吉村氏は「そのような話はずいぶん前からあるが、結局コンテンツ事業者がインフラに儲けを還元してくれるかというと疑問符がつく」と述べたほか、「電話はインフラとコンテンツが完全に分離しているために、電話で犯罪の相談をしたとしても電話会社はとがめられないが、インターネットではそこの分離が不十分なために、2ちゃんねるで犯罪予告をするとISPがとがめられたりする」と述べ、インフラとコンテンツの両方を同一事業者が抱え込むことはビジネスモデルとして成り立たないだけでなく、むしろ訴訟リスクすら抱えることになると主張した。

また江崎氏も「純粋なコンテンツだけの市場というのは意外と小さいため、インフラを支える原資にはとてもならない」と述べ、コンテンツで儲けてインフラに投資するというモデルに否定的な見解を示した。

ISPの料金体系は今後上限付きの従量制に向かう?

ではどうやって設備投資を行えるだけの収入を確保するのか。ここで吉村氏は着メロの課金や携帯電話のパケットプランなどの例を引いて「インターネットも上限付きの従量制課金に移行すべきではないか」との考え方を披露した。

同氏は、1993年に「メトカーフの法則」の提唱者であるBob Metcalfe氏が「インターネットの課金は従量制にしないと、いずれインターネットは崩壊する」と予言した例を持ち出した上で、「現在着メロでは月数百円で曲を取り放題のコースと、1曲いくらの従量制コースの両方を設けるのが当たり前になっている」「電気・ガス・水道といったインフラ事業はどれも従量制の料金が基本であり、人によって使う量が異なる以上、インターネットも従量制にならなければインフラにはならない」と訴えた。

さらに同氏は「常時接続と固定料金制は本来別の話であり、昔は従量制の話をするといろんなところからぶん殴られたが、そろそろ従量制を検討すべき時期に来たのではないか」「一般的には使ってもいないものに金を払いたくないというのが人情であり、固定料金制は(インターネットを)使っていない人にも大きな負担を強いている」と述べた。ただ、だからと言って従量制への移行に伴い値上げを行うのは多くのユーザにとって受け入れがたいということで「今後値下げするときに従量制を徐々に導入していくしかない」として、現在の固定料金を上限とした従量制に移行するというのが現実的ではないかとの見解を示した。

他の3人からも、具体的にデータの転送量を基準にするのか、はたまた電話のような距離別課金の概念を導入するのかといった各論についてはいろいろ意見が出たが、特にこの吉村氏の意見に真正面から反対する意見は聞かれなかったことから、ISPの料金が上限付き従量制に移行するというのはかなり本格的に検討されていそうである。

技術的にはフラットソースルーティングが今後の課題

そして後半は同じアクセス網でもどちらかといえば技術的な話題に移った。ここで問題となったのが、IPアドレスの経路情報が集約されていないためにルータの経路テーブルなどがパンクする「フラットソースルーティング」問題。これについて吉村氏は、その前の従量制課金の話題と絡めて「IPアドレスがどの地域にあるのかわからないというのはそろそろまずい時期に来ているのではないか」と述べたほか、「フレッツ(Bフレッツ、フレッツADSLなど)では/32のルーティングがどのプロバイダに入って行くかがわからない構造になっており、本気でフラットソースアドレスをやらないと(今後の)フレッツには対応できない」と課題を指摘した。

さらに吉村氏は「そのためには少なくとも100万、場合によっては1,000万テーブルを扱えるルータが必要になるが、そんなルータは日本でしか使われない可能性が高いため、米国のベンダは開発してくれない」と述べ、これに市川氏が「グローバルで使われないテクノロジは生き残れないし、日本だけの特殊事情ならいずれその技術は消えて行く」と吉村氏に同調。これに対し大和氏は「この分野では日本が最も進んでおり、(Ciscoが)R&D拠点を日本に置くことを決めたのもその情報を実際の開発に生かすため」「今後米国でも同じようなことが起こる可能性は十分ある」と述べ、この問題は決して日本特有の問題ではないとの考え方を示した。

これ以外にもスパム対策の問題やIPアドレスの管理手法など話題は多岐に及んだものの、結局のところ話は「課金モデルの転換が必要な時期に来ている」という話題に戻ったが、これには江崎氏が「そのへんは日本が下手な分野」と語るなど、今後どのようにそのあたりを変化させて行くかが大きな課題であることがうかがえた。



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