【インタビュー】

開発者に聞く、台湾オリジナルノートPC「Flybook」の全容

1 江川科技(DIALOGUE)とは

    吉井孝史  [2004/06/28]

    早いものでCOMPUTEX TAIPEI 2004が終了してから、すでに2週間以上が経過してしまった。今年も色々な新製品が展示されたが、その中で私が最も気になった台湾発のオリジナルモバイルノートPC「Flybook」の開発者へのインタビューが実現したので、前回のレポートでお約束したとおり、続報としてのインタビューをお届けしよう。

    インタビューに応じてくれたのは、江川科技(DIALOGUE)の總經理(President)でもある李尚禮(Jack Lee)氏と、セールス&マーケティングディレクターの李尚倫(Michael Lee)氏のお二人。このお二人はご兄弟である。

    インタビューに応じてくれたDIALOGUEの李尚禮氏(左)と李尚倫氏(右)

    --私の書いた記事が掲載されてから、弟さんにメールでご連絡させていただきましたが、ご覧になりましたか。

    尚禮氏: (弟の)Michaelから聞いて、私も(MYCOM PC WEBの記事を)見ました。ただ二人とも日本語はほんの挨拶程度しかできませんので、内容はあまり理解できませんでした。でも、取り上げていただいて光栄です。

    --実はあの記事では「Flybook」を紹介する前に、冒頭で台湾製のオリジナルモバイルノートPCがなかなか出現しない事情を、私なりに解説しているのですが……。

    尚禮氏: そうでしたか。確かに最近は小型のノートPCも(台湾の電脳街である)光華商場あたりで見かけるようにはなってきましたが、もともとは日本のメーカーが設計したものを台湾のメーカーが代理製造し、日本以外の市場で売っているようなケースが多いですからね。

    --その点から言えば、COMPUTEXの会場で弟さんから「Flybook」は御社の完全なオリジナル製品だとうかがったので、私もあの記事を書いたわけです。「Flybook」のような製品は簡単に設計や製造ができるものではないというか、かなりの技術的な積み重ねの上に成り立つものだと思います。ですので、まずは御社がどういった道をたどってきたのか教えていただけますか。

    尚禮氏: わが社の設立は1991年です。ですので、今年で13年目になります。はじめに手がけたのは、AMPS(Advanced Mobile Phone Service)方式の携帯電話端末でした。タッチパネルを使った製品で、ユーザーインタフェースも私の特許を活かしたものでした。

    --まだアナログの時代、第1世代にあたる携帯の端末から開発にあたられていたのですか。と言うことは、会社を設立する前から、そういった研究開発をされていたということですか?

    尚禮氏: 私も弟も清華大学の計算機研究所出身のエンジニアです。卒業した後、私は13年間、あるメーカーの研究開発部門で働いていました。その間にOSやユーザーインタフェースに関する特許を5件ほど取得しました。それからモバイルコンピューティングの分野において自力で発展していきたいと思うようになり、DIALOGUEを立ち上げたのです。翌年、今お話したAMPS方式の端末を世に出しました。その段階でも、ファイル転送・シェアリング・FAXなどはできたのですが、いかんせん通信速度が遅く、移動中は送信できないものでしたが……。

    --1991、92年といえば、まだDOSの時代ですよね。その時代からタッチパネルを使ったユーザーインタフェースを装備していたのですか。

    尚禮氏: ちょうどWindows 1.0が出た頃です。覚えていらっしゃると思いますが、日本では確かワープロが全盛だった時代です。私自身は、モバイルコンピューティングを指向していましたから、ユーザーがそれをどう使うのか一生懸命考えていました。そして用途として浮かんだのが、文書作成・表計算・グラフィック・データベースといった領域です。でもなかなかユーザー自身のニーズにあうソフトが見つからない時代でしたから、タッチパネルで図表を描くよう感じで関連性を図示したフォームを作成し、フォームとフォームを結びつければ簡単に必要なソフトができるような、ビジュアルプログラミングソフトも一緒に開発して特許をとりました。

    --ということはMicrosoftのVisual Basicより早かったわけですね。その段階で、そんなにニーズがあったのですか。

    尚禮氏: その段階では、早すぎたのかもしれません。潜在的なニーズはあったと思いますが、こういった技術に日が当たったのは、1996年のことです。

    --それは、会場で弟さんからうかがった、こちらの大手コンビニエンスストアに導入されたという、商品管理のためのハンディ端末のことを言われているのでしょうか。

    尚禮氏: そうです。正確に言うとGOT(Graphic Order Terminal)と呼ばれている製品です。商品の鮮度を保つために、どんな商品をどれだけ、あるいはどういうタイミングで本部から入れるか打ち込むための端末です。あの時は、まず私たちの会社に話が持ち込まれたのではなくて、どこか複数のコンピュータ関連企業に相談に行ったらしいのです。ただ彼ら大手(のコンピュータ関連企業)からしてみれば、(発注の)台数も少ないので、自分の会社のノートPCを使ったらいいとか、必要なプログラムを書くのに4カ月・テストに2カ月・製品化するのにさらに6カ月とか言われたらしいのです。それではだめだということになって、私たちのところに話が持ち込まれたのですが、自分で開発したビジュアルプログラミングがありましたので、相談を受けてから1カ月でデモして見せたところ、大変喜んでくれました。そこで多少の手直しをして納入したわけです。

    --では、その後もずっと無線通信技術に関するような製品やモバイル端末のような製品の開発を続けていらっしゃったのですね。

    尚禮氏: RF(Radio Frequency)分野の研究はかなりしてきました。もちろんその中には立ち消えになってしまったものもありますが……。IR(Infrared)の研究もかなりしました。こちらも下火にはなっていますが、まだまだ面白い応用ができると思っています。小さい会社ですから、その後もワイヤレスPOS、カーナビのプラットフォーム、Webパット、翻訳機、eBook、Windows CEを搭載したコミュニケーション端末などなど、依頼を受けて色々な製品を開発しました。

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      マイナビニュースマガジン