【レポート】
ケーブルテレビ2004・2日目の24日には、CATV業界の技術面から経営面に至るまでの様々な問題について紹介する分科会が開かれた。今回はその中から分科会IIで紹介されたCATVのFTTH化、日本ケーブルラボによるSTBなどの標準化の話題をご紹介する。
まず「全光型(ぜんひかりがた)ケーブルテレビの最新技術」と題して、CATVのFTTH化にまつわる話題を紹介したのが、日本CATV技術協会で同問題に関する調査研究会の委員長を務めた三浦裕氏(東洋アイティーホールディングス技術顧問)。同氏はまず通信事業者のFTTHサービスとCATV事業者のそれとのトポロジー的な比較や、B-PON・G-PON・GE-PONといった各種PON方式の紹介を行い、PONに関しては「世の中の流れ的にはシステムの柔軟性が高い・装置が安いなどの理由から、GE-PONが今後普及して行く可能性が高い」との見解を示した。
放送波の伝送に当たっては、光送信機に入力されたCATVの下り信号(70~770MHz)をそのまま強度変調によって光信号に変換し(周波数帯の変化なし)、受信機で再び電気信号に復調する方式(強度変調方式)と、下り信号を光送信機で上限が6GHz程度の広帯域なFM信号に変換して伝送する方式(FM一括変換方式)を比較して「FM一括変調方式はややシステムが高価になる嫌いはあるが、同じC/N比を得るのに必要な受光レベルを稼げるし、光カプラによる信号の分岐や(コネクタ接合部などで起こりやすい)光信号の反射ロスなどの影響を受けづらい」と述べ、今後はFM一括変調方式が有望な方式になるとの研究結果を紹介した。
なお実際に新たにCATV設備を従来型のHFCとFTTH(PON方式)とで構築した場合のコスト比較を行ったところでは、下りのInternet接続速度が30Mbpsの場合で、現在FTTH網の構築コストがHFC網の約1.45倍かかるものが5年後には1.2倍程度に差が縮まるという。これが下り100Mbpsになると、現在FTTH網がHFC網の約1.23倍かかる構築コストが5年後には約0.92倍となりFTTH網の方が構築コストが安くなるとのことで、前日のパネルディスカッションで出ていた「CATVのFTTH化は2011年頃がターゲット」という意見とも一致する結果が披露された。
ただFTTHではコスト以外にも上り信号の取り扱い(FTTHでは上り信号は通信扱いで送るしかない)などの問題が発生するため、同氏は一方でHFC網の高速化についても引き続き検討が必要との見解を示し、現在主に米国で開発されている新たなHFCシステムの紹介を行って講演を締めくくった。
日本ケーブルラボにおける標準化作業について解説を行ったのは、同ラボの副所長を務める原田守夫氏。元々同ラボ設立のきっかけとなったデジタル放送対応のSTBの標準化作業は昨年で(一部仕様を除き)ほぼ完了したことから、今回はサーバ型放送やCATVの双方向サービス仕様策定に関する話題の紹介が主となった。
サーバ型放送はそもそも「2005年には規格化し、2006年からBSデジタル・CSデジタルでスタートしたい。地上デジタルでのサーバ型放送はその後になる」(前日のパネルディスカッションでのフジテレビ・関祥行氏の発言)という状況であり、同ラボでもまだ「検討を始めたばかりの段階」(同氏)とのことだが、同氏はサーバ型放送の課題として著作権などの権利保護システムの構築に加え、コミュニティチャンネルなどでサーバ型放送を利用する場合に備え効率的なメタデータの制作が可能なシステム、同放送に対応した認証・課金システム(CAS)の開発などを挙げた。
また双方向サービスについては、現在既にJCL SPEC-010として双方向サービス用STBの仕様が定められてはいるが、今後HDD内蔵型STBや、さらにWeb・Mailなどのサーバ機能が一体になったホームゲートウェイなどが登場してくる可能性を考慮し「通信・コンピュータの専門家をお呼びして検討を進める必要がある」と同氏は述べた。またCATV局内のシステムについても「これまでは各CATV局がばらばらに構築していたが、ラボでサブシステム毎のI/Fを定めることで、サブシステムの入れ替えや外部へのアウトソースなどが容易にできるようにしたい」との意向を語った。
同氏は「今まではARIB(電波産業会)仕様だけがよりどころだったが、これではCATVの発展はない」「今後はARIBをベースに自分達のための仕様をきちんと定めなければならないが、単にメーカーや事業者が集まって議論してもなかなか意見がまとまらないため、ケーブルラボが日本CATV連盟に責任を持って提案していかなきゃならない」と述べ、同ラボが独自に標準化を進めるための体制作りの必要性を訴え、その一環として同ラボの定めた仕様に従った機器の認証業務を年内にスタートさせる意向を明らかにした他、CATV業界の関係者が利用できる共同実験設備を将来的には提供できるようにしたいと語った。
またCATV機器のマルチベンダ化も積極的に進めたいとの意向も示し、特に現在3種類の互換性のない独自規格が使われているCATV用CASシステム(C-CAS)について「将来的には絶対に互換性を確保できるようにする」と強い意気込みで語っていた。
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