【レポート】

MSRオープンハウス:ウェブスパム対策、マルチディスプレイの快適利用など

1 未来のMicrosoftの動向を決めるMSRの研究

    Yoichi Yamashita  [2004/06/14]

    Microsoft Research(MSR)が9日、米シリコンバレーと英ケンブリッジで、現在取り組んでいる研究を説明するオープンハウスを行った。

    91年に設立されたMSRは、レッドモンドの本社キャンパスのほか、サンフランシスコ、マウンテンビュー、英ケンブリッジ、中国の北京などにオフィスがあり、700人以上のグループメンバーが未来のテクノロジ研究に従事している。

    製品開発グループに比べれば、規模は小さいし、その学術的な活動は製品での利用を最優先するものではない。だが、Tablet PCのような、Microsoftの新分野開拓ではMSRの活動が色濃く反映されており、同社製品の長期的な方向性を占う上で同グループの研究内容は我々に貴重なヒントを与えてくれる。今回は、同社が最優先課題として挙げるセキュリティ、検索技術、インタフェースなどの分野を中心に、シリコンバレー・オフィスでのオープンハウスの様子を紹介しよう。

    脆弱性には、治療の前にバンドエイド

    SlammerやBlasterなど、Windowsの脆弱性をねらったワームが猛威を振るったが、その被害が広がった理由の一つとしてユーザーのパッチ適用の遅れが挙げられている。パッチのリリースに注意を払っていないユーザーもいるが、システムの安定性への影響を心配してしばらく様子を見ている人もいる。そこでMSRでは、安全かつ迅速にワームに対処できる「Shield」というフィルター技術を検討している。

    Shiledは、特定のプログラムの脆弱性に対応してトラフィックの流れを監視し、脆弱性への攻撃を感知したら、すぐにトラフィックを落としてしまう。ワーム拡散のスピードに対応できように、今日のウイルス署名のような形で、脆弱性の署名として配布することを検討している。パッチと違って、システムにインストール/アンインストールの影響を与えないが、監視にはコンピューティング力を消費する。Shieldが増えすぎるとコンピュータの性能に影響が出てしまうため、脆弱性を埋めるパッチをあてるまでの、中継ぎという役割になる。

    スパムの次の標的は検索エンジン

    最近のBill Gates会長の基調講演で、必ず取り上げられる話題と言えば"スパム対策"。MSRでも熱心な取り組みが行われている分野であり、フィルタリング、課金方式、コーラーIDなど、Microsoftが過去に紹介してきたスパムメール対策技術には、同グループが手がけた数多くのテクノロジが利用されている。今回説明されていたのは、同じスパムでも迷惑ウェブページ。"スパムウェブページ対策"である。

    ウェブユーザーにとって検索サービスは欠かせない存在となっているが、検索結果をクリックすると異なった内容のサイトが表示されるケースが増えている。スパムウェブページは、ユーザーが興味を持ちそうなキーワードが並べられているだけで、ページに接続すると検索キーワードとは関係のないポルノサイトや商業サイトにつながってしまう。開いてみれば、すぐにスパムウェブページだと判るが、検索エンジンには外部と綿密にリンクが張られた重要なページに見えるように仕組まれている。ユーザーの検索エンジンへの依存が高まる中で、ウェブページスパムは検索エンジンの精度を引き下げる存在となっている。

    MSRは、1億5,000万ページの内容の変化を11週間監視し、さらに4億6,300万ページのリンク構造を分析した。その結果、全体の8.1%がスパムウェブページに分類された。さらにリンク分布やホストネームに使われている言葉など、スパムウェブメールの特性を調べて、統計的なアプローチによる判別法を開発。これにより、現段階で75%の精度でスパムウェブページを自動的に判別できるようになっているそうだ。

    一つのページに1,000万ページがリンクするスパムウェブ

    ニュースの内容を自動要約

    人間が自然に使う言葉を理解/分析/生成できるソフトウエアを研究しているNatural Language Processing(NLP) Groupは、ニュースボット向けにニュースの要約を自動的に作成する技術を説明した。

    現在、MSNやGoogleがベータサービスを行っているニュース検索サービスでは、検索キーワードに対応するニュース記事がトピックごとに分けられ、トップに表示される記事のタイトルと最初の段落などが表示されている。ニュースクラスタの要約技術を使うと、トピックごとに、記事の内容や記事同士の関係が捉えられて、ニュース内容の簡潔な説明文が生成される。

    今後の課題は、文章の内容とユーザーの動作の把握をより深めていくこと。例えば、ユーザーが最初の2つの記事を読んだ場合、自動的に3つ目以降の記事に基づいた要約が生成されるような、即応性のあるサービスを可能にしようとしている。

    ダイクストラ法、人工知能、グラフ理論を組み合わせたMSR独自のアルゴリズム(右)は、効率性が高く、ハンドヘルドなどでも精度の高いナビゲーション情報を利用できる

    新着記事

    特設サイトの情報

      求人情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      転職ノウハウ

      あなたの仕事適性診断

      4つの診断で、自分の適性を見つめなおそう!

      Heroes File ~挑戦者たち~

      働くこと・挑戦し続けることへの思いを綴ったインタビュー

      はじめての転職診断

      あなたにピッタリのアドバイスを読むことができます。

      転職Q&A

      転職に必要な情報が収集できます

      スカウト転職する

      企業からアプローチのメッセージが届きます。

      マイナビニュースマガジン