【レポート】

コミュニティだけでなく企業ユーザの間でも盛り上がるPostgreSQL

1 企業の参加が目立つ2004年のカンファレンス

    鶴田展之  [2004/06/07]

    日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)主催「PostgreSQL Conference 2004」が、4日から2日間、都内で行われた。同イベントの複数日開催は初となるが、会場には150名近い参加者が訪れ満席状態。さらに当日はインターネット中継も行われるなど、PostgreSQLの人気の高さが伺えるイベントとなった。2日間のセミナー全てを聴講することはできなかったので、本稿では特に筆者が興味を引かれたいくつかのセミナーと、1日目の夜に行われたBOFの内容を中心にレポートしたい。

    例年に比べて今年のカンファレンスが大きく変わったのは、企業の参加が特に目立つようになったことだ。PostgreSQLは、数あるオープンソースソフトウェアの中でもビジネス主導というよりはコミュニティ主導のイメージが強いソフトウェアだが、今回のイベントでは富士通、NTTデータという大手企業2社からもPostgreSQLへの取り組みについて報告があった。

    また、2日目の午後には、三谷篤氏の「PGCluster」と、石井達夫氏の「pgpool」という、現在特に注目されている2つのソフトウェアの解説を聞くことが出来た。

    富士通「ESM for PostgreSQL」

    まず、富士通の安永尚稔氏による、同社のストレージ管理システム「Extended Storage Manager for PostgreSQL(以下ESM)」の解説だ。これは同社がメインフレーム時代からデータベース「Symfoware」で長年培ってきた技術をPostgreSQLに応用したもので、既にSRAのPowerGres Plusに搭載して実用化されている。

    ESMはPostgreSQLのストレージ・マネージャの置き換えとして実装され、多数の改善が行われている。まず、PostgreSQLの弱点としてよく言われる速度的なパフォーマンスが改善されている。PostgreSQL付属のベンチマークツール「pgbench」によるテストでは、標準のPostgreSQLに対してESMが、接続数の増加に対して性能の低下がおきにくいこと、プロセッサの増設に対してリニアに性能が向上することが実証されているという。また、ESMは障害回復機能も強化されている。障害によってデータベースが破壊された場合、PostgreSQLではバックアップ時点のデータを戻すしかない。ESMではロールフォワードがサポートされ、障害直前の最新時点のデータを復旧することができる。さらに、連続稼働のための改善も行われている。PostgreSQLは追記型データベースの宿命としてVACUUM/REINDEXの処理を定期的に行い、記憶領域を再編成する必要がある。バージョン7.2で導入されたconcurrent VACUUMやバージョン7.3のインデックスの改良によって、現在のPostgreSQLはほとんど無停止で連続稼働できるまでになったが、ESMはさらに削除データ領域を自動的に再利用し、VACUUM/REINDEXを不要としている。

    ESMは、PostgreSQLをビジネスで利用するにあたって不安視されることの多い問題点を一気に解消している。同社は、SRA等PostgreSQLのディストリビュータに対してESMを供給するほか、コミュニティに対してもJ2EE 1.3対応のJDBCドライバの提供等、協調体制を強化していくという。

    NTTデータ「PostgresForest」

    続けて、NTTデータの谷越佳太氏による「PostgresForest」の技術解説と、興味深いデモが行われた。PostgresForestは、情報処理推進機構(IPA)の平成15年度オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業の委託を受けて開発されたもので、複数サーバ上のPostgreSQLを仮想的に1つのデータベースサーバとして運用するためのソフトウェアだ。これによって「テーブルのパーティション化」「テーブルの冗長化」「耐障害性」の3機能をもち、検索処理の高速化と負荷分散、障害の検出と縮退運転による可用性の確保を可能としている。

    PostgresForestは、具体的にはJavaアプリケーションに対し、標準のJDBCドライバとして振る舞うよう実装されている。このため、PostgresForestを利用できるのはJavaで開発されるアプリケーションに限定されるが、Javaアプリケーションなら、プログラムを変更せずにPostgreSQLデータベースの可用性と性能を手軽に向上できそうだ。なお、PostgresForestはPostgreSQLと同様BSDライセンスで配布され、Webサイトから自由にダウンロードできる。IPAからの委託は終了したが、同社では今後も開発を継続し、現在サポートされていないPostgreSQL関数の実行などの機能を追加していく。事業としては同社のサービスのひとつのコンポーネントとして利用していく方針だそうだ。

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