【レポート】

COMPUTEX TAIPEI 2004 - EverFocusの新製品

昨年のこの記事の先頭で、EverFocusという会社の製品を紹介した。実はEverFocus自体は、監視用カメラやモニタ用TV、デジタルビデオレシーバなど映像を中心とした製品を展開するグローバル企業であるが、この中にアンテナ関係製品を中心としたグループがある。会社名こそEverFocus Electronics Corp.だが、グループのURLがhttp://www.higain.com.tw/になっているあたりが、元々は別の企業であった事を物語っているようだ。さてそのアンテナ関係製品を統括しているTony Rin氏(Photo01)から直々にお誘いを受けて、ちょっと新製品を拝見してきた。

AB08の現状と後継

昨年レポートした"Non-powered WLAN Booster"、EverFocusではAB08という製品名だが、これの売れ行きはというと、「需要が多すぎて供給が追いつかない」という。実はこの製品、EverFocusの社内ラインで半分手作業で製造されているのだという。というのは、構造自体は簡単ながら、モールドの打ち抜きなどに高い精度が必要なため、完全に自動化すると精度の面で満足できる製品が出来ないからだそうで、結果として月に数万個のオーダーが来ると手一杯になってしまうとか。

日本ではプラネックスコミュニケーションズが販売しているが、他にも世界中で好調な売れ行きを示しており、これ以上販路を広げると手が廻らないそうな。「他社にテクニカルライセンスする予定は?」と聞いたところ、その予定はないそうである。製造部分がノウハウの塊なので、そこをライセンスしてしまうとアドバンテージが失われてしまうから、ということだそうだ。

ただし、「営業からは『もっと格好良いものを作れ』と言われる(笑)」のだそうで、その結果今回新製品として投入するのがWSI08/WPC08という製品だそうだ(Photo02~04)。まぁ格好良いかどうかはともかく(笑)、こうした構造にしてしまうと既存のアンテナにそのまま被せて使うという訳にはいかない。そこでWSI08は内部にアンテナ自体も内蔵する形になっており、さらにWPC08では802.11b/gのコントローラまで内蔵する形を取り、より容易に使えるような構造とした。

そうなると価格が気になるところだが、Rin氏によればWSI08で30US$程度、WPC08で40US$程度になるといっている。もっともこれはあくまで予想価格であって、同様にAB08は7US$といっていた訳だから、OEMがつける価格はもう少し上がる可能性はあるだろう。いずれにせよちょっと価格は上がる形になるが、そもそもアンテナ内蔵だから、直接的な顧客はコンシューマというよりも、無線LAN機器を販売しているメーカーという事になる。

例えば日本の場合、アンテナを勝手に交換してしまうと型式認定に引っかかることになってしまう。そこでメーカーがWSI08を自社製品に組み合わせる形で認定を取って販売する形になる。そうなると、従来使っていたアンテナが不要になるわけで、そうなると実際のコストアップ分はせいぜい10US$程度に収まることになる。

Photo01:International Sales Dept. のTony Rin氏。ただSalesとは言いながら、ベースは技術者。

Photo02:WSI08。この形状を見て大塚氏と日高氏が「ごみ箱みたいだ」なんて不謹慎な感想を漏らしていたのは秘密だ(笑)。

Photo03:WSIはコネクタの形状が2種類用意されており、必要な方を選ぶことになる。

Photo04:802.11b/gクライアントを内蔵したWPC08。バスパワーで動作する。

本命の長距離向けアンテナ

ただこれらは言わば前座。本命はWODU2000と呼ばれる長距離向けアンテナである(Photo05)。これは802.11a/b/gに対応したパネル型の指向性アンテナである。どの位指向性があるかというと、何と電波を28°の範囲に絞り込んで送り込む事ができるという代物。この結果、通常の802.11a/b/gのクライアントに接続した状態で到達距離は2kmに、ブースターを間に挟むと10Kmの到達距離を確保できるという。これだけの距離があれば、例えば複数のビルにまたがってオフィスがある場合などに無線LANを使って双方を接続するなんてことも可能になる(Photo06)。

ただこれだけ指向性が強いと、アンテナの調整が非常に難しいという問題が出る。これを解決するのが、アンテナの上に置かれたサイトファインダー(Photo07)である。これはCCDカメラで、手元の携帯テレビに接続して映像を見ることができるのだが、このカメラは視野角がなんと13°しかない。つまりこのカメラ経由で相手をしっかり確認できる位置にアンテナを設定すれば、そのままぴったりアンテナの調整も完了するという仕組みだ。

Rin氏は根っからのアンテナ屋らしく、(回路側をいじるのではなく)アンテナ側の改良で無線LANを長距離まで利用できる様が彼の夢だそうで、この製品は彼の夢の1つを形にしたものと言えよう。

この製品、価格は400US$前後を予定しているという。屋外用に完全に防水仕様になっているものとしてはかなり格安な印象を受ける。日本で販売されている同種の長距離用アンテナは大体10万以上の値段が付いているから、余計にもそう思えるのかもしれないが。用途から言ってコンシューマ向けとは無縁であるが、独自のアイディアを形にしているという意味では他に類の無い製品である。ちなみに現在日本でのOEM先を探しているそうだ。

Photo05:プラスチックの筐体の両側には簡単なアルミ製のリフレクタが付属する。

Photo06:リピータソリューション。片方のアンテナで受信し、間にリピータを介してもう片方のアンテナで送信することで、長距離の伝送とか障害物の迂回が可能になる。

Photo07:このサイトファインダーは簡単にはめ込み/取り外しが出来るので、設置の時だけはめ込み、終わったら取り外し可能。

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