【レポート】

LinuxWorld Expo 2004 - Novellの評価を築き上げた高い技術力とは?

    鶴田展之  [2004/06/04]

    6月2日から4日まで、「LinuxWorld Expo」が東京ビッグサイトで開催された。本稿では、3日に行われたワークショップ・コンファレンスから、"セキュア・エンタープライズLinux「Novell SUSE LINUX」技術解説"についてレポートする。

    壇上に上ったのは、SuSEの最高技術責任者を経て米NovellのCTOに就任した、Juergen Geck氏だ。

    標準をサポートするSuSE

    SuSEはその技術の根幹として、「標準」への準拠を重視している。

    現在、Linux業界で最も注目されている標準といえば「CGL (Carrier Grade Linux)」だ。CGLは、OSDL(Open Source Development Labs)の「キャリアグレードLinuxワーキンググループ」によって策定される、次世代通信インフラ向けの要求仕様で、通信基盤に必要な高可用性、信頼性、セキュリティなどの仕様が詳細に定義されている。SuSEは、現行バージョンの「SuSE Linux Enterprise Server 8(以下SLES8)」でCGL 1.1、8月リリース予定の「SuSE Linux Enterprise Server 9(以下SLES9)」でCGL 2.0の仕様を満たすという。通信分野、特に交換機のような機器は、絶対に止まることが許されないミッションクリティカルな世界だ。つまり、CGLの仕様を満たしたSuSE Linuxは、通信に限らず高い信頼性が要求される業務にも適用可能であるということだ。

    また、SLES9は他にも、Linuxの標準仕様である「LSB (Linux Standard Base) 1.3」、LSBの一部としてファイルシステムのディレクトリ階層を定義する「FHS (Filesystem Hierarchy Standard) 2.2/2.3」、IEEEの定めるUNIXの標準API仕様「POSIX 1003.1」などに準拠し、アプリケーションの移植性や相互運用性を保証している。

    オープンソース開発プロセスとAutoBuild

    SuSEの開発プロセスは、当然、他のLinuxディストリビューションと同様にオープンソースコミュニティからの成果を取り込み、パッケージングする作業となる。その中でSuSEが独自に強みを持つのが、「AutoBuild」と呼ばれる自動化ツールだ。SuSEは、x86、Itanium2、AMD64、IBM iSeries/pSeries/zSeries、S/390など、多彩なハードウェア・アーキテクチャをサポートするが、AutoBuildは単一のソースコードから各アーキテクチャ向けのバイナリを自動的にリビルドする。これにより、移植にかかる工数を大幅に削減できるうえ、いつでも過去の任意の時点のリリースを再現できるというメリットがある。パートナーの開発したソフトウェアの、異なるバージョン、異なるアーキテクチャ上での動作検証も自在にできるというわけだ。また、4,000ものソフトウェアパッケージをリビルドしようとすれば、その作業には膨大な時間がかかる。リビルド→テストを繰り返して動作検証を行う場合、このリビルドにかかる時間が生産性を落とす要因になってしまうだろう。しかし、AutoBuildでは、x86アーキテクチャ用のバイナリを全てリビルドしても、1時間程度で作業が完了するため、新しいパッケージも迅速かつ効率的に取り込むことができる。さらに、開発プロセス自体が確立していることで、様々な認定機関の認証も得やすい。例えば、「Common Criteria」と呼ばれる情報セキュリティ国際評価基準のレベル指標「EAL」などでも、SuSE Linuxは高いクラスの認定を受けている。

    システム管理

    エンタープライズシステムでは、システムの管理も重要になる。日々更新される膨大な数のクライアントを、管理コンソールから集中管理できなければならないのだ。一般に大規模なシステムの集中管理は、Novellの「ZENworks」や「Red Carpet」、IBM「Tivoli」、HP「OpenView」といった管理ツールを使って個別に行われている。しかし異なるベンダーの様々なリソースを集中管理するためには、なにか共通の仕様に則った仕組みが必要だ。

    このために、Novellは、インストールや設定を包括的に行うSuSEの独自ツール「YaST(Yet Another Setup Tool)」をオープンソース化し、GPLによって配布することにした。ソフトウェア・ベンダーは、ソースコードをもとに、自社製品のインストール・設定をYaSTのインタフェースを通して実行するようにできる。対応に関して技術的な困難もほとんどなく、例えば、IBMはDB2の管理をYaSTに対応させたが、作業には2週間もかかっていないという。

    まとめ

    ワークショップでは以前から高い評価を耳にすることが多かったSuSEの技術の一端を垣間見ることができた。NovellもNetware以来、高い技術力によって成長した企業であり、今後最大のLinuxディストリビュータとしてどのようなソリューションを展開していくか、非常に楽しみだ。

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