【レポート】

超小型PC「SUMICOM」、Pentium M対応などCOMPUTEX TAIPEIで新製品を展示へ

    吉井孝史  [2004/05/31]

    一連の超小型PC「SUMICOM」シリーズで、日本のユーザーにもその存在を知られるようになった台湾の慶揚通訊(King Young Technology)は、6月1日から台北ではじまる国際コンピュータトレードショー「COMPUTEX TAIPEI 2004」に向け、複数の新製品を公開した。

    実際の製品に関する展示はCOMPUTEXの会場で行われることになるが、同社から入手した直前情報をお伝えしよう。

    5インチCD-ROMドライブサイズの原点に立ち返った「S350」と姉妹機のファンレスPC「S615」

    2年前のCOMPUTEX直前に発表された「SUMICOM」の初代機「S300」は、チップセットにIntelの815EとICH2を搭載したPentium III対応の超小型PCとして、センセーショナルなデビューをかざった。そして今回は、初代機のサイズそのままでチップセットにIntel 865GとICH5を用いた、「S300」の後継機と言える「S350」が登場した。

    もちろん、この2年間で、メモリはPC133(最大搭載メモリ512MB)からデュアルチャネルDDR400/333/266 DIMM(最大搭載メモリ2GB)、CPUソケットもSocket 370からSocket 478となった。パフォーマンスがさらに向上していることはまぎれもない事実なのだが、アルミ製の長方形のきょう体とマザーボードのサイズ、ノートPC用のCD-ROMのドライブの下に2.5インチのHDDを取り付け、そのユニットをマザーボードと合体させる方式(慶揚通訊がパテントを所有)はまったく変わっておらず、さらに電源アダプタからの供給電力が「S610」や「S620」のDC19VからDC12Vに再び変更されたこともあって、ふと2年前の初代機を見ているような錯覚に陥ってしまう製品となっている(これには、機種名を示す表示がきょう体のどこにもないという「SUMICOM」シリーズの特徴も大いに影響しているが……)。

    先に最終試作機をレポートした姉妹機のファンレスPC「S615」との違いは、CPUの放熱のためヒートシンクだけでなくファンが存在すること、そしてきょう体のサイズの違い以外に、きょう体内部の温度管理をファンも含めて行うことに伴い、BIOSと回路に若干の変更を加えたことにとどまっている。サイズについては、両機とも14.6(W)×25(D)cmと設置面積は同じだが、「S350」の厚みが4.2cmと薄型なのに対し、「S615」はきょう体外の上下に取り付けられたヒートシンクの関係で7cmの厚みとなっている。

    気になるCPU用の放熱ファンだが、ヒートシンクの真上ではなく、ヒートシンクの真横に取り付けられており、ヒートシンクの熱を外部に噴出する形のブロアーファンとなっている。しかも、BIOSで設定した温度以上に温度が上昇した場合に限り稼動する設計により、通常のオフィスワークのように、ワープロや表計算ソフトなどを起動した程度のPC負荷の状態では、放熱ファンが稼動せずに静音が保てると慶揚通訊では説明している。

    CPUの上部に取り付けられた放熱用のヒートシンクとブロアーファン

    ヒートシンクの構造をやや側面から見たところ。ヒートシンク(アルミ製)の上面もきょう体上部に接触することで、CPUの熱を逃すのを助けるようになっている

    放熱構造を上から見たところ。ブロアーファンはリアエンド(この写真では下側)に向かい、熱を強制的に送り出す仕組みであることがわかる

    リアエンドのコネクタ類の配置も、初代機の「S300」とほとんど変わっていない

    供給電圧をDC12Vに変更した理由についは、「乗用車への搭載を考慮したため」との説明があった。実際、COMPUTEX会場の「車載コンピュータ」関連コーナーでの展示も予定されているそうだ。

    なお、対応するCPUのクロックスピードの詳細は未定ながら、「S350」「S615」ともにPentium 4ではなくCeleronの使用を推奨するというコメントが得られた。おそらくパフォーマンスを追求した現行ハイエンド機「S620」との差別化を図るためと、放熱の関係からの措置と思われる。

    アルミ製のきょう体(左)から、中身を抜き出して並べてみたところ。初代の「S300」と部品の配置の差はほとんどないが、唯一上部の穴がないことだけが異なっている

    「S350」(左)とファンレスPC「S615」(右)。ファンがあるかないかとマザーボードに若干変更が加えられている以外、ほとんど差がみられないので、あえて「姉妹機」と表現させてもらった

    「S350」と「S615」の主なスペックは以下の通り。

    チップセットIntel 865GV+ICH5
    対応CPUCeleronを推薦(※クロックスピードの詳細は未定)
    メモリDDR400/333/266対応、最大2GB(デュアルチャネル対応)
    グラフィックチップセット内蔵
    オーディオAC '97
    ポートUSB2.0×3、IEEE1394×1、マイク、ヘッドホン、ラインアウト、シリアル、パラレル、VGA、LAN
    サイズ「S350」14.6×25×4.2cm
    「S615」14.6×25×7cm

    Pentium M 対応の「S625」とPrescott対応の「S630」

    この2機種については、カタログでの説明にとどまったことを、事前にお断りしておく。

    「S625」のチップセットにはIntel 855GMEが採用されており、秋葉原あたりで入手が可能なPentium Mと組み合わせた場合、理想的な静音PCが簡単に出来上がるものと思われる。きょう体のサイズは上記の「S350」と同じサイズだ。

    「S630」は、チップセットにIntel 915GとICH6Rを搭載し、Socket 775を使用するPrescottコアのPentium 4に対応。「SUMICOM」シリーズのハイエンド機として発売されるとのこと。きょう体サイズは、現行のハイエンド機「S620」と同じサイズとなっている。

    マザーボードも発売へ

    今回はマザーボードも紹介された。こちらもカタログでの説明にとどまったが、「SUMICOM」シリーズを開発した鄭萬成(Robert Chang)氏は、かつてキューブ型PCの開発を手がけた人物でもあることから、台湾のPCケースメーカーなどから小型のマザーボードの開発依頼を受けることが多々あり、そういった依頼に応えるため発売にふみきったという説明があった。

    ただマザーボードのサイズは、現行の約14.6×25cmという「SUMICOMサイズ」ではなく、AGPとPCIのスロットが加わったため、横幅が増して若干大型化しているようで、入手したカタログでは、18×26cmとなっていた。

    製品としては、チップセットにIntelの865G/ICH5を採用し、それぞれ1つずつのAGPとPCIのスロットがある「B865」という製品と、Intelの次世代チップセット搭載「B915」(こちらにはそれぞれ1つずつのPCI ExpressとPCIのスロットがある)がアナウンスされている。

    参考(蛇足!)として

    SUMICOMシリーズは「S○○○」となっている型番のうち、1けた目が「5」の場合は、ファンレス機を、1けた目が「0」ならファンが搭載されている機種を意味している。

    以上、ラインアップがさらに充実し、期待がふくらむ「SUMICOM」関連の新製品情報をお伝えしたわけだが、いずれも価格や正式な発売日等については未定となっている。

    なお、COMPUTEX TAIPEI 2004での展示は以下の通り。

    • ホール2 F319
    • ホール3 G154/155 (「車載コンピュータ」コーナー)

    上記製品について興味をお持ちの方でCOMPUTEXに行かれる方は、一度ブースを訪れてみてはいかがだろうか。

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