【レポート】

"最適化グリッド"が最も成長 - グリッド協議会記念シンポジウム

1 商業分野向けグリッド市場の拡大

    大塚実  [2004/05/18]

    グリッド協議会記念シンポジウム2004(主催:グリッド協議会)が4月27日、東京ファッションタウン/TFTホールにて開催された。会期は2日間で、同じ会場にて、Grid World Expo 2004(主催:IDGジャパン)も併催。国内外からのグリッド関連ベンダーや研究者等が登壇する一大イベントとなっており、講演・パネルディスカッション・展示などが行われたが、本レポートではグリッド協議会記念シンポジウムのセッションについて紹介したい。

    商業分野向けグリッド市場が急拡大 - 米IDC Humphreys氏

    米IDCのResearch Manager、John Humphreys氏は、グリッドに対するクライアント側からの期待や、4~5年といった比較的短いスパンでのグリッド市場規模予測等について講演を行った。

    すでに多くのベンダーより製品・サービスが投入されているものの、グリッドの定義については、未だに各ベンダー・各研究者ごとに異なるのが現状だ。そういった状況を踏まえ、氏はまずIDCによるグリッドの定義から説明を始めた。条件としては3つあり、(1)地理的に分散可能であること、(2)アプリケーション・リソースがダイナミックであること、(3)複数のオーナー・組織が存在すること--となっている。

    さて、最初のトピックとしてあげられたのは、グリッドに対してクライアントが何を期待しているのかということ。同社の調査によると、サーバーへの支出は、1996年~2008年まで、ハードウェアの総額は500~600億ドル程度でほとんど変化がないが、インストール台数の増加により、移行や管理などの運用コストが年々増加する傾向が見られる。同社が世界の400社以上に対して行った調査では、グリッドに対する期待として、「ITの運用コストの低減」が1位になっており、コスト面での期待が大きいことがわかる。同調査の結果では、そのほか、「パフォーマンスの向上」「ビジネスの変化への素早い対応」もほぼ同様の数字となっている。

    サーバーへの支出総額

    グリッドへの期待

    グリッドの定義と同様、グリッドの種類についても見解は分かれる。ここで氏は、同社の分類を紹介。まず、科学分野に特化した「ハイパフォーマンス」と、商業分野向けの「トランザクショナル」の2つに大きく分類。ハイパフォーマンスには、計算グリッドとデータグリッド、トランザクショナルには最適化(Optimization)グリッドが含まれる。最適化グリッドとは少し聞き慣れないが、これはリソースをプールすることに主眼が置かれ、需要があるところにリアルタイムにリソースを割り当てるもの、と説明された。

    IDCによるグリッドの分類

    計算グリッドの市場規模予測

    その分類に基づいた市場規模の予測では、まず計算グリッドは、2003年の約5億ドルから2007年には30億ドル規模への成長が見込まれている。ソフトウェア、サービス、ハードウェアの各支出において、同分野ではハードウェアの占める割合が大きいのが特徴となっている。データグリッドは、ニッチ市場に留まると予測されており、2003年の約2億ドルから、2007年はおよそ15億ドルとなる。

    データグリッドの市場規模予測

    最適化グリッドの市場規模予測

    しかし、最も高い成長が見込まれるのが最適化グリッドだ。同社の予測では、2007年には80億ドルを超える規模への成長が見込まれており、その中でも特に金融サービスが全体の20%程度を占めるようになるという。最適化グリッドでは、ソフト・サービス・ハードの割合が均等に近いのが特徴だが、まずはミッションクリティカルでないアプリケーションから採用が進むものと同社は見ている。

    プロセス的に見てみると、移行は段階を経て少しずつ行われると予測。(1)プラットフォームの管理・制御・監視機能の強化、(2)アプリケーション・インフラのプロビジョニング、(3)サービスレベルの自動化やインフラの仮想化--の3ステップで、最初の2つは運用コストの低減、最後のステップは稼働率の向上をもたらす。ただし、現時点の顧客にとっては「運用コストを何とかしたいというのが当面のニーズ」(Humphreys氏)であり、わざわざリスクや複雑性を伴うような自動化・仮想化は必要ない、という顧客も相当数いるだろうとも氏は述べていた。

    大きく3ステップの段階を経ると予測

    今後の課題として、氏は「アプリケーションも含めてビジネスモデルとしてグリッド環境に対応するものを早急に考案する必要がある」と訴え、さらに「グリッドとユーティリティコンピューティングは融合していく」「仮想化や自動化はかなり時間をかけて進化していく」との予測も述べて講演を終えた。

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