【レポート】

ウェアラブルとバリアフリーへの取組み - サイバーコミュニケーション2004

1 ウェアラブルの実現に向けて

    美崎薫  [2004/05/18]

    大阪大学大学院の塚本昌彦助教授

    3月25日、大阪で「サイバーコミュニケーション2004」シンポジウムが行われた。主催はサイバーコミュニケーション研究会、そして企画・運営は、ウェアラブルコンピューティングで知られる大阪大学大学院の塚本昌彦助教授を中心とするNPO法人「ウェアラブルコンピュータ研究開発機構(チームつかもと)」。

    チームつかもとでは、ウェアラブルコンピューティングを現実化すべく、さまざまな応用や事業化のアイデアを模索している。2003年夏の鈴鹿8耐サポートプロジェクト、同年秋のWPC EXPOでのウェアラブルファッションショーと、つねに話題を牽引してきた塚本氏らが、これまでの集大成と新しい応用を提示したのが、今回のシンポジウムであった。

    テーマは大きくわけて、ファッション、障害者支援、そしてウェアラブルコンピューティングの未来の3つから構成されていた。

    立ち上がるウェアラブルファッション

    上田安子服飾専門学校校長の大江瑞子氏

    ファッションに関しては、ウェアラブルファッションの第一人者として、すっかりおなじみになりつつある上田安子服飾専門学校校長の大江瑞子氏が登場。次々と充実した作品を披露した。

    ウェアラブルコンピューティングの象徴的な存在というと、塚本氏が常時身につけているヘッドマウントディスプレイ(HMD)になるのだろう。潜在的にHMDのユーザー層は広く分布していると考えられるし、一度スタイルが認知されてしまえば、携帯音楽プレイヤーや携帯電話に続くウェアラブル機器としてファッション化する可能性は高いと考えられる。

    それにもかかわらず、HMDの普及は遅々としており、実用的で安価で小型軽量といったモデルはなかなか市場に出てこない。どうなっているのか気になるのは衆目の一致するところだろう。

    大江氏による「スパイラルファッション」。鈴鹿8耐で公開されたインパクトのあるデザイン

    上田安子服飾専門学校の学生によるデザイン。タブレットPCを「見せるディスプレイ」として使用している

    人気沸騰(?)NTT未来ねっと研究所の板生知子氏。ショルダー型のPCバッグは、大江氏のデザイン。チームつかもとで販売予定とか

    拡張するファッション

    HMDの普及がなかなか進まない一方で、大江瑞子氏とNTT未来ねっと研究所の板生知子氏らは、より身近で実践的かつ実用的なスタイルとして、ファッションに特化したウェアラブルや、特別な場所、例えばレースやステージでの司会進行などにフォーカスしたウェアラブル機器の研究を進めている。

    ファッションでは、光るボタンなどのアクセサリーのほかに、液晶を縫いつけたジャケット、身につけたまま使うことのできるPCバッグなどにバラエティが広がってきた。

    ウェアラブル機器としては、ノキアの「Medallion」など、小形のディスプレイを搭載したものがふえている。HMDのように「自分自身が見る」のではなく、表現のひとつ、模様のひとつとしてウェアラブルディスプレイを使うという発想は、従来のファッションでは行いにくかった「変化」を加えることができるようになる。

    より用途に即したところでは、宝塚造形芸術大学教授の志水英二氏が、ウェアラブル機器としての消防服の研究が進んでいることを報告していた。

    また、ウェアラブルバッグは、従来移動のみをテーマとしていたノートPC用のバッグとは根本的に異なっている。なんと身につけたまま、「ワン、ツー、スリー」の3アクション程度で使えることをテーマに、実用とファッション性を兼ね備えたバッグなのである。女性らしい曲線を使ったデザインも魅力的だ。チームつかもとでは、近々このバッグの販売を開始するという。

    この手のジャンルでは老舗の革製品店「オーソドキシー」などもあり、今後ますますの盛り上がりが期待される。

    同校の学生によるデザイン。スパイラルファッション、チームつかもとバージョンの赤いHMD、腰につけたPCバッグ

    腰のバッグはベルトで留めている。PCはすぐに開いて使える

    PCバッグは色違いやサイズ違いもある。基本的には機種ごとにサイズを調整するものである

    光るボタン

    光るアクセサリーはインパクトがある

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      マイナビニュースマガジン