【レポート】

E3 2004 - E3開幕、PSPとDSのプロトタイプに長蛇の列

    Yoichi Yamashita  [2004/05/13]

    カリフォルニア州ロサンゼルスで、世界最大のゲームエキスポ「Electronic Entertainment Expo(E3) 2004」が始まった。今年はE3の10周年だが、谷間の年とも言われている。PlayStation 2/GAMECUBE/Xboxの登場からしばらく経過し、次世代コンソールの話題には早すぎる。だが、いざ始まってみると、昨年・一昨年を上回っていると思えるほどの人混みとなった。

    機能が熟したコンソールの値下げが進んだことで、より多くの家庭にゲーム機が行き渡ると期待されている。ソフトウエア・メーカーにとってはマスマーケットに製品をアピールするチャンスなのだ。また、直前のプレスコンファレンスで、SCEが「PlayStation Portable(PSP)」、任天堂が「Nintendo DS」(以下DS)を初公開。携帯ゲーム機が注目のカテゴリーとなっている。

    黒だけではないPSP

    話題の次世代携帯ゲーム機は、SCEA、任天堂ともにプロトタイプの展示セクションを設置。どちらにも長い順番待ちの列ができていた。

    PSPは、すでに公開していた黒以外に、薄い黄色、白、さらにGRAN TURISMO仕様などさまざまなデザインを用意していた。ヘッドフォンやバッテリーパックなどのアクセサリー、UMD(Universal Media Disc)の製品パッケージなどを展示。さらにGPSやキーパッドなどの可能性を示すなど、従来の携帯ゲーム機とは一線を画すデザインと利用スタイルをアピールしていた。

    コンパクトな本体に大きな画面のPSP

    PSPの背面とリモートコマンダー

    ネックストラップとヘッドフォンとPSP。展示場では、上の薄い黄色の人気が最も高かった

    白色のPSP

    PSPに外部スピーカーを接続

    参考展示のGPSモジュールを接続したPSPとアクセサリーとして予定されているバッテリーパック

    機能デモが行われていたのはビデオ再生のみ。1台だけゲームキャラクターを操作できるようになっていたが、がっちりと固定されていたため、残念ながら実際の使用状況での操作感などはつかめなかった。

    あれこれと触ってみた感じでは、平均的な日本人の手にはしっくりとくるサイズで、方向ボタン、エンターキー、アナログパッドの配置も操作しやすい。全体的にコンパクトだが、そこにぴったりと収まっているワイドスクリーンのディスプレイには小さいという印象はなく、ストレスなく映画を楽しめそうだ。

    参考展示のキーパッド

    UMDのデザイン例

    UMD版「みんなのGOLF」

    UMD製品のパッケージ例

    1台だけゲームが操作可能だったPSP

    豊富な2画面の情報量

    任天堂は、DSのタッチスクリーンと2画面の活用方法を手軽に試せるテクノロジーデモを数多く用意。エミュレーションではなく、すべてをDSのプロトタイプで試せるようになっていた。以下に、そのいくつかを紹介する。

    1時間待ちの地点まで列が続いたDSデモンストレーション

    DSのデモンストレーション・ブースに入るとマリオがDSを説明

    • Carving:スタイラスを使って、木片や鉄のかたまりからオブジェクトを削り出す。先の方を使うと細かい作業が可能。素材の質感の違いで微妙に変化するサウンドも楽しめる。利用例としては、宝探しの穴掘りとか、チェスの駒をカスタムメイドなど。
    • Mario's Face:スタイラスを使って、マリオの顔を引っ張ったり、頭を回転させたりさせる3Dデモ。
    • Table Hockey:エアホッケー。スタイラスで丸い物体を動かして、パックを打ち返す。スタイラスを素早く動かしたり、ゆっくり動かしたりする動きにパックがしっかりと反応する。上画面が敵陣地、下画面が自分の陣地と2画面を、1枚のたて長画面として利用。2つの画面をパックが行き来しても違和感はない。
    • Submarine:1つの画面は潜水艦、もう1つの画面は操縦桿とソナーになっている。障害物を避けながら潜水艦を進める。同じモノを違った角度から見る2画面のデモ。

    また、開発中のDS向け「Super Mario 64x4」「Metroid Prime: Hunters」「PictoChat」「WarioWare, Inc. DS」などもタッチスクリーン操作で試すことができた。

    Metroid Primeは、無線接続された4人が対戦できるようになっていた。スタイラスを使ってカメラを操作。画面を1回タップすると1発撃ち、長くタップすると連射が可能。スタイラスで操作することで、これまでにないスピード感を味わえる。また、マップとアクション画面に分けられた2つのスクリーンからは、携帯ゲームとは思えないほどの情報量が得られる。

    「WarioWare, Inc. DS」。2画面になるとミニゲームも本格的な雰囲気

    赤いボタンはL/Rボタン。スタイラスの挿入口がないなど、最終的な形態ではない

    2画面を1つの画面として利用している「Table Hockey」

    2画面を別々に、異なった情報入手のために利用している「Submarine」

    マリオやワリオの顔をスタイラスで変形させる「Mario's Face」

    無線で最大4人が接続して楽しめる「Super Mario 64x4」

    Metroid Primeで4人が接続中

    Metroid Primeで戦っている4人

    無線コミュニケーションソフト「PictoChat」。下画面がソフトキーボードとメッセージ作成、上画面が交信記録。簡単に使えて、意外な面白さ……

    ターゲットが異なるPSPとDS

    PSPとDSは、携帯ゲーム機というカテゴリーでくくるには、あまりにもタイプの違う製品だ。この2つが競合することはないのではないかと思えるぐらいだ。

    PSPは、これまでのゲーム機にはない洗練されたデザイン、豊富な機能が魅力だ。直接のライバルは、ゲーム機ならば、Palm OS搭載ZodiacやN-Gageなど、ハイブリッド型携帯機器になりそうだ。これらはオリジナルのキラーゲームソフトがなく、ゲーム機としての機能の魅力が乏しい。また、PSPの最終的な機能次第では、iPodやPortable Media Playerなどのメディアプレイヤーとも比べられるだろう。

    PlayStationの人気ソフトが移植されるので、コアなゲーマー層からも評価されるだろうが、むしろ携帯ゲーム機をこれまで持ち歩かなかった人に、本格的な携帯ゲームを広める存在になりそうだ。

    DSは、今でも携帯ゲーム機を欠かさず持ち歩いているコアなゲーマー層から、すでに高く評価されている。任天堂は携帯ゲーム機で先行しているとは言え、GAMEBOY ADVANCEのままではPSPに対して厳しい戦いになっただろう。携帯機器の性能が目覚ましいスピードで向上している中、長い時間で見れば、コンソールの力関係が携帯ゲーム機に反映される可能性が高い。

    だが、DSはPSPが実現できないゲーム体験を提供してくれる。その意味では、コンソールの力関係が及ばない大きな差をつけたと言える。大げさと思うかもしれないが、タッチスクリーンを使った「なぞる」「こする」「たたく」などの操作方法、2画面の情報量は、携帯ゲーム機だけではなく、これまでのコンソールゲーム機にもないゲームを体験させてくれる。

    不安点を挙げれば、PictoChatという面白いコミュニケーションソフトを準備しているが、DSの市場はあくまでもゲーム市場に限られる。また、DSの登場によって、次世代コンソール開発で任天堂にはこれまでにないプレッシャーがかかったようにも思える。つまり、ゲーム一途の任天堂に限って言えば、スゴいスペックのハードウエアを出したり、パソコンと連携したりしても、それだけでは評価できない。DSと同様に、これまでにないゲーム体験をもたらしくれるかがポイントになる。つまり、Nintendo DSを体験した後では、コンソール版のDS(Developers' System)の登場を期待してしまうのだ。

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