【レビュー】

1GBの衝撃! Googleの無料Webメールサービス「Gmail」

3 過熱するプライバシー問題

    Yoichi Yamashita  [2004/05/08]

    さて、プライバシー問題だが、カリフォルニア州では規制法案が提出されるほどの騒ぎとなっている。

    Gmailに関するGoogleのプライバシーポリシーはここに記されている。広告選びは機械的な作業で行われ、ユーザーのプライバシーは守られる。個人情報が広告主に漏れたり、本人の許可なくマーケティング目的で利用されることはないとしている。

    警鐘を鳴らすだけならばともかく、個人的には、消費者から選択する権利を奪うのは問題があると思う。また、Googleにも自由にビジネスを開拓する権利がある。同社のプライバシーポリシーを読む限り、その自由を政府が規制できるほど、違法に近い行為だとは思えない。

    ただ、このように強硬に導入を阻止しようとする動きが強まっている背景には、多くの人が理屈ではなく直感で「Eメールへのターゲット広告」に危ういモノを感じているという事実がある。

    Google側は、同じメールのスキャンでも、スパム対策では大騒ぎにはならなかった点を指摘する。プライバシー侵害の可能性を問題にするのならば、確かに矛盾している。実際、スパムではないが、スパイウエア対策ソフトがスパイウエアを植えつけていた例がある。ターゲット広告だから危ないと偏るのも危険だ。

    一方で、スパム対策では問題になっていないという例を引き合いに出しても、Eメールでのターゲット広告に対して心を許す人ばかりではないだろう。逆に、Eメールのターゲット広告を問題だと思う感情を、スパム対策にも当てはめて、この種のサービス全般に危険性を感じた人もいるはずだ。消費者の意識は、プライバシーに対してより敏感になってきている。

    だから、ここはすべての消費者を巻き込んで、とことん議論し、その上で市場の判断に任せるべきだと思う。長い目で見れば、Gmailに限らず、消費者が信用できるサービスや企業をしっかりと判断する術を身に付けることが重要である。

    データを引き取りたいんですけど……

    短期間ではあるが、Gmailを使ってみて、非常にGoogleらしいサービスだと思った。軽快に動作し、優れた機能を備えるが、無駄な機能はない。単にメールボックス容量が1GBになっただけではない。大量のメールを検索技術を使って管理するという新スタイルのための工夫がちりばめられている。「ヘビーユーザーでもWebメールをメインに使えるのではないか?」と思わせるサービスだ。将来的にはPOP対応を考えているようだが、Gmailのメリットを生かしながら、どのような形でPOPに対応するかは興味深い点だ。

    オンラインサービスのあり方についても考えさせられた。例えば、給料を自宅に持って帰らずに、銀行の口座に入れてしまうように、将来的に重要なデータは外部の信用できるサービスに任せるようになるのかもしれない……というような所まで想像はふくらむ。

    個人的にはプライバシー問題よりも、データの権利の方が気になった。送受信されたデータは、ユーザーのものである。ユーザーがメッセージを削除したら"完璧な削除"が保障されなければならない。この点についてGoogleに不安があると言っているのではない。プライバシーの問題と同様に、ユーザーはデータを完全にコントロールできる権利にこだわり、その上でこの種のサービスを選択する必要があると思うのだ。

    今後、同じようなサービスが登場したとする(……するだろう)。そこで気になるのがデータの移動である。サービスのホストを変更した時に、メールデータの受け渡しも実現してほしい。"Gmailのサーバーにメールをため込んでいたら身動きがとれなくなった"という状況に追い込まれるのは避けたいところだ。

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