【レビュー】

G4 Cubeを強化する - PowerLogix PowerForce 1.2GHzをファンレスで

1 ファンレス起動にチャレンジ

    海上忍  [2004/04/28]

    PowerMac G4 Cubeの発売は、今を遡ること約4年の2000年7月。電源部分の不具合などいくつかの不幸な出来事が重なり、その1年後には発売中止のやむなきに至ったものの、今も熱心な支持者は多い。正方形の筐体にファンレスというコンセプトも再評価され、PC/ATマシン自作の分野において"Cubeタイプ"なるカテゴリができたほどだ。

    しかし、発売当時は説得力があったPowerPC G4 450MHzの処理能力も、Mac OS X 10.3の時代では力不足。64bit CPUのPowerMac G5へと世代交代が進みつつある現在、スペックの古さは否めない。

    その元祖ファンレスマシンを使い続けたい、しかもできるだけ快適な速度で最新の環境を……と考えるG4 Cubeユーザは少なくないはず。筆者もその宿願を果たすべく、PowerLogix製CPUカード「PowerForce G4 1.2GHz」を米国から個人輸入したので、ファンレスが可能かどうかを含めてここに動作報告する次第だ。

    プロセッサ欄には「1.2 GHz PowerPC G4」の文字が

    G4 Cubeに最適なCPUカードは?

    現在G4 Cube用のCPUカードを発売している企業はSonnet TechnologyとGiga Designs、PowerLogixの3社であり、うち前2社はMPC745xを採用している。今回筆者が選んだのは、PowerLogixの「PowerForce 1.2GHz」だが、それにはG4 Cubeならではの理由がある。

    今回購入した「PowerLogix PowerForce 1.2GHz」でファンレスは可能?

    第1の理由は、PowerForce 1.2GHzに採用されているMPC7457の消費電力の低さ。MPC7457は512KBのL2キャッシュを搭載しているため、MPC7450/7455ベースのCPUカードを上回るパフォーマンスを期待できるということもあるが、消費電力量は発熱量に直結する項目だけに、G4 Cubeの場合は特に重視されるべき項目だ。「Sonnet Encore ST/G4 1.2GHz」も有力な対抗馬となるが、出荷時期によってCPUのリビジョンが異なる(7455Aと7455B)うえ、必ずしも意図したリビジョンを入手できるとは限らないため、MPC7457を採用するPowerForce 1.2GHzのほうが確実だったのだ。

    とはいえ、現状PowerLogix製品は日本に販売代理店が存在しないので万一のときに不安、MPC7457といえどもファンレスで運用すること自体が不安、などネガティブな要因もある。今のところ他社製のCPUカードのほうが販売実績が多く、価格もこなれている現実も無視できない。筆者は前述の理由によりこのような選択となったが、ファンの設置さえ厭わなければ、MPC7455ベースのCPUカードでも十分満足できることだろう。


    G4 Cube用CPUカードに搭載されているPowerPCの種類

    型番MPC7400 MPC7450(※1)MPC7455MPC7457
    対象製品名G4 Cubeの工場出荷時点Sonnet Encore ST/G4Sonnet Encore ST/G4PowerLogix PowerForce
    クロック数450MHz1.0GHz1.2GHz1.2GHz
    L1キャッシュ32KB Inst、32KB Data32KB Inst、32KB Data32KB Inst、32KB Data32KB Inst、32KB Data
    L2キャッシュ1MB256KB256KB512KB
    L3キャッシュ 無し2MB2MB2MB
    同時命令実行数3444
    平均/最大消費電力(※2)5.0/11.5W@400MHz14.0/17.0W@573MHz15.0/22.0W@1GHz17.5/24.2W@1.2GHz
    (製品のクロック数相当に換算)5.63/12.94W24.43/29.67W18.0/26.4W17.5/24.2W

    ※1:初期型のEncore ST/G4は、CHUDなどのツールではMPC7455として認識されるものの、実際にはMPC7455ではなくMPC7450が搭載されていた。
    ※2:Motorola社のWebサイトから入手できるファクトシートに基づく情報

    ファンレスにチャレンジ

    注文から約1週間で到着した荷物を解くと、アルミ製の放熱プレートが取り付けられた状態のCPUカードのほかに、80x80x15mmのファン(Panaflo製)が1つ、CD-ROMが1枚とDVD-Videoが1枚収められていた。紙のマニュアルはないが、CD-ROMに収められているPDFにはインストール手順が記されているほか、DVD-VideoにはG4 Cubeを分解する様子が記録されているので、不慣れなユーザにも役立つはずだ。なお、分解にはトルクスドライバのT10とT9(HDDを取り外すときに必要)となるが、これは自前で用意しておかなければならない。

    到着した小包を解くと……そこには放熱プレートが装着された状態のCPUカードと80x80x15mmのファン、そして2枚のCD-ROM。なぜかファンを取り付けるネジは2本のみ

    G4 Cubeでは、ヒートシンクと放熱プレートは3本のネジによってテンションがかけられている。純正CPUボードはこの間にカーボンシートを挟み、放熱性を高める仕掛けだった。しかし、PowerForceにはカーボンシートやグリスといった小物が添付されていない。しかも、PDFと分解ムービーのどちらも小物の必要性には触れずじまいだ。カーボンシートの残骸がこびりつくなど、ヒートシンク表面の滑らかさは完全ではないうえ、放熱プレートには「WARRANTY VOID IF SEAL IS BROKEN」というテープが貼られているため、ヒートシンクとの密着性には疑問が残る。

    放熱プレートには「WARRANTY VOID IF SEAL IS BROKEN」というテープが貼られているため、ヒートシンクとの密着性には疑問が残る

    不安を拭えなかった筆者は、最寄りのパーツショップにてワイドワーク社製の「高熱伝導性灰色ラムダ・ゲルシート」を購入、ヒートシンクと放熱プレートを密着させることにした。効果のほどは実際にシステムを起動してみなければわからないが、見た限りでは問題なさそう。このゲルシートの熱伝導率は6.5W/mkと良好なため、思惑通りに事が進めばファンレスでも十分な冷却効果が得られるかもしれない…とりあえず添付のファンの装着は見送り、ファンレスで運用できるかどうか試すことにした。

    このように放熱プレートへゲルシートを貼り付け、ヒートシンクとの密着性を高めることにした

    なお、Apple純正のファームウェアではMPC7457を正しく認識できないとのことなので、PowerForceに換装したあとは(筐体裏にあるプログラマボタンを押してから)PowerForce添付のCD-ROMからブートする必要がある。ファームウェアの書き換え終了後にG4 Cubeを再起動すれば、いよいよPowerForce導入の効果を確認だ。

    ヒートシンク表面をクリーニングしても、放熱プレートとの密着性には疑問が残る(奥に見えるのはSonnet Encore/ST G4 1GHz装着時に使用していたファン

    付属のCD-ROMでブートすると、ファームウェア書き換えプログラムが起動する

    PowerForce導入の成果は?

    ファームウェアの書き換えは無事成功したようで、システムは普段と変わらず(少し起動時間は短くなった)に起動、動作も特に問題なかった。「このMacについて」画面には「1.2GHz PowerPC G4」とあり、PowerLogix社が配布しているCPUカード設定ツール「CPU Director 1.5f2」を起動すると、無事「PowerPC 7457」と表示された。L2/L3キャッシュについても、問題なく認識されているようだ。

    CPU Directorでも「PowerPC 7457」として認識されている

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