【レポート】

実用的・現実的なロボット像が見え始めた第2回ロボデックスフォーラム

3 自動車はいわばロボット技術によりモビルスーツへと進化

    山田久美  [2004/03/30]

    ロボットを通じて人の心がわかる

    次の「人間の心、ロボットの心」には、東京大学大学院助教授の國吉康夫氏と北海道大学教授の津田一郎氏が出演。司会は引き続き服部桂氏。

    國吉氏の研究グループでは、ロボットによる知能の探求を行っているが、ロボットを作ることによって、人間の心の発生のための必須要素と最小必要条件などがわかるという。また、同研究グループでは、昨年9月、あおむけ状態から自力で跳ね起きることができる人型ロボットの開発に成功したと発表しているが、今回のフォーラムでは成功までの様子や実験によってわかったことなどを紹介した。

    同氏によれば、ロボットが自力で跳ね起きるためには、その一連の動作の中に、しっかりと動作を作りこんでおかなければいけない箇所と、動作を固めず、そのときそのときの状況に身を任せるべき箇所があることが判明し、そのことが大事なポイントであるという。

    ロボットの開発を通じて、心の仕組みを知る

    津田氏は、通常は数学の複雑系による意識の探求を行っておりロボットは専門分野ではないとのことで、今回はヤリイカやフジツボのニューロンのモデルなどを紹介した。人間や動物の意識や心がどこで生まれるかについては「物質の相互作用によって生まれると考えている」とした。また、カオスを取り入れてロボットの制御を行うといった研究が行われているところは非常に少ないといい、津田氏自身はカオスで脳の複雑さを見る研究を続けていくという。

    ロボットと自動車の区別がなくなりつつある

    最後に行われた「自動車とロボット」には、ソニーの土井利忠氏、日本EVクラブ代表で自動車評論家の舘内端氏が登壇し、司会を雑誌「ENGINE」編集長の鈴木正文氏が務めた。

    最初に土井氏が、ロボットの定義、移動ロボットの定義、自動車の定義について述べた。移動ロボットと自動車との大きな違いは自律性の有無と人間を搭載するかしないかの2点であるが、ここ数年、自動車は徐々に自律機能を搭載しつつあり、近い将来に完全自動運転が可能になるとしている。そのため、ロボットの定義と自動車の定義の違いがほとんどなくなりつつあり、今後は、人間を搭載するかしないかによって両者が区別されるようになるかもしれないという。結論として土井氏は、人間にはメカを操縦すること自体に対する楽しみや喜びもあるため、自動車の完全なる自動制御ということはなく、自動車はいわばガンダムのモビルスーツへと進化し、また、道路交通情報システムの整備などが進むことで、自動車と環境が一体となって巨大なロボットシステムが構築されるという。

    土井氏による従来、今後の自動車の定義。そしてモビルスーツの定義も

    自動車評論家の舘内氏も自動車の進化の歴史について説明。本田技研工業の「アコード」に搭載された、高速道路でのレーンキープ走行機能など最新の自動車事情について語り、近い将来タクシーやバスなどの運転手という職業がなくなる可能性についても危惧した。また、環境汚染の問題も深刻で、燃料電池車の普及が進んでいない理由について、コスト高、効率の悪さ、水素の生産・管理・供給などインフラ整備が十分でない点を指摘。また、燃料電池車になることで、現在の自動車部品メーカーの8割が入れ替わってしまうといい、産業構造的にもまだまだ多くの困難が立ちはだかっている現実についても説明した。

    最後に土井氏は、米国で40年間にわたりスカイカー(空飛ぶ自動車)の研究を行っているPaul Moller氏について紹介した。飛行時間はわずかながら、既に飛ぶことに成功しているといい、将来的には映画「スターウォーズ」のように、空中のハイウェイができるようになると予言した。

    Paul Moller氏のスカイカー

    約6時間にわたって開催された第2回ロボデックスフォーラムであったが、筆者自身は特に、メーカーや機種を超えてさまざまなロボットがネットワークに繋がることにより、実際に人の役に立つ、実用性の高いロボットの可能性が大幅に広がる印象を持った。パーソナルロボット産業が、具体的な事業化に向けて新たなフェーズに入ったことを実感させるデモンストレーションとパネルディスカッションであった。

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