【レポート】

Pentium 4対応のファンレスPC「SUMICOM S615」

2 実際のパフォーマンス

    吉井孝史  [2004/03/26]

    今回は、量産直前の最終試作機を、忙しい時間を特別に割いてもらい見せてもらった関係上、King Young社の研究開発部の鄭氏自身の机の脇での見聞となった。「S615」の最終試作機には、テスト用に2.5インチHDとCD-ROMドライブ、およびDDR400のロープロファイルメモリ(256MB×2のデュアル)、Celeronの2.0GHzがすでに取り付けられた状態で準備されていた(Pentium 4対応だが、このときは機材の都合でCeleronだったようだ)。ただ以前に「S310」の試作機を見せてもらった時とは違い、取材段階では「S615」の筐体が出来上がっていなかったので、いわば裸の状態でのテストだったことを、あらかじめお断りしておく。

    「S310」の試作機の時と同じように、ベンチマーク・ソフトの3DMark 2001を走らせてのテストとなったのだが、

    1.7GHzにクロックダウン 1607
    1.0GHzにクロックダウン 838

    (※本来のCPUクロックスピードを半分にまで落とせるのは、様々なテストを行えるようにする試作機のためであって、量産機では自動調整となるため、こうしたことは行えなくなるとのこと)という結果が示された。

    Celeronの2.0GHzを1.7GHzにクロックダウンし、3DMark 2001を走らせた際の数値。

    Celeronの2.0GHzを1.0GHzにクロックダウンし、3DMark 2001を走らせた際の数値。

    この数値を充分と考えるか、パフォーマンスが低いと判断するかは、そのぞれの考え方によって違ってくるが、少なくとも3DMark 2001を走らせている画面をずっと眺めていた私は、画面の動きもスムーズで、特別破綻を感じなかった。さらに単純な比較はできないものの、「S310」の試作機を見せてもらった際の数値(459)から考えても、インターネットのブラウジング、メール、Officeソフトの使用といった一般的な用途で、パフォーマンス不足に陥ることは、ほとんどないものと思われる。

    今回計測することができなかった筐体内部の温度については、他の「S600」シリーズ機と同じく50℃前後で推移するよう、BIOSによる細かなチェックと調整を行う設計になっているそうで、コンデンサ等の部品に悪影響をおよぼすようなこともないとのこと。実際の温度計測はできなかったものの、最終試作機の電源コンセントに取り付けられていた電力計(40W)と、試作機の内部電流を測るために設けられていた電流計(約2A=供給電源が19Vなので約38W)との差を見た限り、そのことの一端をうかがい知ることができた。

    「S615」についてのその他の情報

    私が見せてもらったのは、最終試作機ということで、いつ量産が始まるのか気になるところだが、これについては、4月から(※期日不明)という情報がえられたことをお伝えしておく。また日本での発売予定や価格等については、未定とのことだった。

    まとめ

    今回は、自分で行ったテストではなく、あくまで見聞としてのレポートなので、一概に結論付けることは避けなければならないが、

    • CPUに広く普及しているPentium 4(※使用上限クロック数は未定)が使えること。
    • 静音PCの分野に、新たな選択肢が生まれること。
    • 特殊なパーツを必要とせず、自分の好みや用途に応じてパーツの選択が行えること。
    • 特別な分野を除いた一般的な使用では、パフォーマンス的にも充分であろうこと。
    • X86系の小型PCとして、色々な応用事例が考えられること。
    • おそらく価格も、それほど高価にはならないだろうこと。

    等を考えあわせれば、日本でベアボーン・キットとして発売されることがあれば、自作市場でも、かなり人気を呼ぶものと思われる。

    皆が慣れ親しんでいるX86系ミニコンピュータの「SUMICOM」シリーズは、この二年の間に世界中の色々な場所で使われだしている(King Youngで聞いた話では、監視カメラ用の「D600」を動物の生態観測用に大量購入した大学があったり、「SUMICOM」をロボットに組み込んで、バッテリーで駆動できないだろうかという相談まで持ち込まれたとのことだ)。今回新たにファンレスの「S615」が加わったことで、応用事例がどこまで広がるのかが、さらに楽しみになったわけだが、読者の皆さんも、今から色々な用途での活用を考えてみてはいかがだろうか。それがPCという「森」をさらに「豊か」にしていくことにつながっていくのだから…。

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