【レポート】

GDC 2004 - PS市場を築くのは「10年のライフサイクル」

    Yoichi Yamashita  [2004/03/26]

    初日の基調講演でMicrosoftがソフトウェアと開発環境に焦点を当てたのに対して、2日目に一般基調講演を行ったSony Computer Entertainment America(SCEA)はハードウエアを中心に据えたアプローチを示した。

    北米市場にPlayStation 2(PS2)が登場して3年が経過し、SCE、任天堂、Microsoftによる次世代機争い再び、という話題が出てくるようになった。基調講演を行ったAndrew House SCEA副社長は、「"競争意識"は、次世代機を投入する戦略の要素ではない」と断言する。「ハードウエア・イノベーションは5-6年の短いサイクルで行われるべきではない」と指摘、家電メーカーとしての経験から10年のライフサイクルを維持することが重要だとしている。

    例えば、オリジナルPlayStationはもうすぐ10年目を迎えようとしているが、PS2での下位互換、PSoneの投入など、長期間に渡ってサポートされたことで、今でも数多くの人に楽しまれている。「その実績があるからこそ、今ユーザーが安心してPS2を購入できる」とHouse氏。

    新たなテクノロジの導入は新市場を開拓するために不可欠だが、10年の流れの中で取り込むことが肝要。変化を急いて既存のユーザーを混乱させると、盤石な市場を築くことができないと述べる。

    リリース39カ月後のPS2の普及率は、オリジナルPlayStationを38%上回っているそうだ。およそ4年の過渡期を経てオリジナルPlayStationからPS2にバトンが渡される中で、PlayStation市場は着実に成長している。

    次にPlayStation市場を広げる要因として、House氏はオンラインゲームを挙げる。PS2ではオンラインゲームの初期目標として「ユーザー(初心者がメインターゲット)が快適にオンラインゲームを試せる環境」「開発パートナーのためのオープンプラットフォーム作り」などを挙げていた。現在、インストールベースで北米市場のPS2のオンラインゲーム対応が10%を超え、SCEAのオンラインゲーム戦略も次のステップに進む時期だという。

    House氏によると、今後はSCEAとしてオンラインゲーム・サービスのサポートを強化する。例えば、シングル・サインオン、サービル料金の請求、CRM、コミュニティ機能などである。サブスクリプション・ベースのXbox Liveに近づくようにも思えるが、これらは開発パートナーがオンラインゲームでビジネスチャンスを広げるための手助けであり、これまで同様コンテンツクリエーターがユーザーにアプローチできる自由な環境は残されるそうだ。

    欧米市場で人気を博しているEyeToyも、新ユーザー開拓の一例として取り上げられた。発売後7カ月の総出荷台数は330万台で、内訳は欧州が240万台、北米が70万台となっている。MLB2005のフェースマッピングやEyeToy:Grooveのデモが行われ、Grooveのデモでは米国の人気オーディション番組「American Idol」で番組史上最悪のパフォーマーと言われたWilliam Hung氏が登場。独特の音程で"YMCA"を歌い踊り、ゲームの点数はさっぱりだったが、観客席から大きな拍手を浴びていた。

    EyeToyを使って自分の顔の選手を作るMLB2005のフェースマッピング機能

    曲に合わせて踊りながら点数を上げていくEyeToy:Groove

    EyeToyに緑色のボールを認識させ、ゲームの中に魔法の杖などを組み込む可能性を説明

    有名人のゲストは登場しなかったが、今アメリカでもっとも有名な素人が登場。Hung氏はバークレー大学の学生

    基調講演の最後にはPSPの情報アップデートが行われた。これまでに明らかにされた情報を再確認する内容で、特に新しい情報は無く、最後にBackbone Entertainmentがエミュレータを使って「Death Jr.」のデモを披露した。

    各種ポータブルデバイスを統合、「21世紀のポータブルシステム」と説明されていたPSP。そのインパクトはPS2以上!?

    PS2、PSP、PCの間でコンテンツの受け渡し、PSP同士のコミュニケーションを可能にする接続性

    基調講演でPSPについてコメントした開発者たちは、誰もがポータブル機につめ込まれたグラフィックス性能を賞賛していたが、セッションなどでPSPが話題になるときはむしろ802.11による接続性が話題になることが多かった。「モバイル+オンラインゲーム」は開発者の想像力を刺激するのかもしれない。この分野でキラーソフトが登場すれば、オンラインゲーム人口の増加、さらにはホットスポットをより身近なサービスに成長させる原動力になると期待されていた。

    SCEAの展示場ブースにはPSPのハードウエア・エミュレータが用意されていた

    PSPエミュレータの画面

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