【レビュー】

文書に的を絞ったスキャナ「ScanSnap」

1 ScanSnapが小さくなって登場 - 文書スキャンに特化された使い勝手は?

    渡辺裕一  [2004/03/17]

    PFUの両面カラースキャナ、ScanSnapにコンパクトな新モデル「fi-5110EOX」が追加された。汎用のスキャナはプリンタやFAXとの複合化が進んでいる。一方でScanSnapは、スキャナ単体として「書類をファイル化する」ことに特化されている。

    コンパクトさを前面に打ち出したペーパースキャナ

    ScanSnapシリーズではフラットベットタイプの「fi-4010SSF2」というモデルも併売される。しかし本機はフラットベッドや複合機とは違う、小さなサイズの利点を最大限に活かすものとなっている。前モデルとなる「fi-4110EOX3」はシートフィーダ(シューター)が本体から突出していたが、これを本体カバーを兼ねた折りたたみ式に変更、使用しない場合には折りたたんで本体と一体化するデザインに改良された。同時にシートフィーダは電源スイッチと連動しており、これを開くと電源ON、閉じるとOFFというように省電力化にも貢献している。排出側のトレイも、使用しない時には本体下部に収納できる。前モデルに比べて突出する部分は極力本体のラインに沿う形にデザインが変更され、最低限の設置スペースで済ませられるようになった。幅284mm・奥行き146mm・高さ150mmという数値は、キューブタイプPCよりも一回り小さいといったところであろうか。読みとり可能な用紙サイズは最大でレターサイズまで。本体の大きさはレターサイズギリギリというくらいまで横幅が切りつめられている。逆に、シートフィーダから排出トレイへのカーブは緩めらており、名刺サイズの小さい用紙や多少の厚紙でも読み込んでくれる。

    CUBEタイプPCとほぼ同程度のサイズ

    側面。折りたたむと非常にコンパクトだ。給紙フィーダは電源スイッチと本体カバーをかねる設計となっている

    背面にはUSB 2.0対応のインタフェースと電源を備える

    電源は内蔵ではなく別体のアダプタ式

    スイッチは電源とスキャン開始ボタンの2つ。電源はカバーとも連動している

    シートフィーダ部は本体カバーともなるため、使用のために開いてもさほど大きくはならない。材質強度を補うように二重化されているなど、しっかりした作りだ。それだけに、排出側の用紙トレイが若干貧弱(引き出すと抜け落ちやすい、しっかり固定できない)なことは残念である。

    TWAIN非対応だがドライバ上でスキャン設定を行う

    PCとの接続は付属のソフトをインストールした後、USBで接続する。本機ではUSB2.0にも対応し、より高速なデータ転送も可能としている。ドライバは、コントロールパネル内で「スキャナデバイス」として認識されるが、一般的なスキャナやデジカメのTWAINやISISには非対応なので注意したい。言い換えると、スキャンした画像はドライバ内で指定フォーマットに変換、ファイルとして保存する(保存場所のデフォルトはマイピクチャ以下だが、任意の箇所へ変更できる)。その後に対応するアプリケーションを起動して保存したデータを開くというフロントエンドドライバである。

    スキャンした画像はまず一度ファイルとして保存される

    製品コンセプトは「紙媒体のPDF化」であり、デフォルトの転送先はバンドルされるAdobe Acrobat 6.0になっている。Acrobat以外の画像アプリケーション、ファイル管理ソフトなどへの転送も可能だが、PDF以外の画像ファイルとして読み込む場合のファイルフォーマットはJPEGのみになる。またアプリケーション側(バンドル版Acrobatも含む)からTWAINインタフェースを通じた制御、設定、スキャン開始をするといったこともできない。本機を汎用スキャナと同じ感覚で「画像ファイルの読みとり」に使おうとすると、このあたりに若干の戸惑いを感じるかもしれない

    Acrobat以外のアプリケーションも転送先として5個まで登録できる

    保存形式はPDFとJPEGフォーマットの2種類

    しかし製品コンセプトから言えば、この仕様は必ずしも短所とはならない。スキャンの実行はドライバ上(タスクトレイ上のアイコンですぐに呼び出せる)で読みとり精度や原稿タイプなどを設定した後、本体のスキャンボタンを押すだけで行うことができる。例えば何十枚とある原稿をスキャンする場合、通常のスキャナのように画像アプリケーションで逐一プレビュー、設定、スキャンという作業を繰り返すのは、煩雑になるだけで何もメリットはない。本機の仕様なら、一度設定した後はボタンを押すだけで次々と原稿を蓄積していける。A4サイズ50枚が上限となっているが、一度に両面スキャンが可能なので100ページ分のスキャンをワンタッチ操作で処理できるわけだ。

    ソフトをインストールすると、状態がタスクトレイに表示される

    トレイアイコンをダブルクリックするとドライバの設定ダイアログが表示される

    スキャンモードの設定はダイアログタブから行い、アプリケーション上では操作できない

    スキャンの速度

    スキャナのスペックとしては、ノーマルモードでカラー150dpi、モノクロ300dpiという解像度での読み取りが可能。読み取り解像度はドライバ設定でカラー600dpi、白黒1200dpiまであげることができるが、3600~4800dpiクラスが主流の汎用フラットベットスキャナにはとても叶わない。しかし、4800dpiでスキャンしたA4原稿が、どれだけ巨大なファイルサイズになるか想像して欲しい。そのままでは閲覧や印刷にも不向きだし、その後に画像を編集、加工することが前提の解像度だ。150~300dpiという値だけを見れば低いが、スキャンした画像をモニタに表示したり、印刷するには充分でより適した値といえる。そしてこの解像度ならカラー画像でも15枚/分のスピードで処理していくことができる。

    スキャン中には処理枚数、処理状況がダイアログとして表示される

    実際はスキャンをした後、前述のようにドライバ内でPDF、あるいはJPEGへの変換、保存がなされるため、PCのパフォーマンスにも多少依存する。私のPCはDual Xeon 2GHz/メモリ 1GB/Windows XPという構成であるが、デフォルトの設定時、ノーマルモードで両面15枚/分(出力30ページ)でPDFに書き出すというカタログ数値の、ほぼそのままで出すことができた。ストップウォッチの手動計測ではあるが、実際には56秒と、スペック以上のスピードで終えている。

    そこで少し意地悪なテストもしてみた。縦横向き原稿と、両面、片面原稿、カラーとモノクロを混在させた原稿の読み取りだ。本機のドライバは、原稿が縦向きか横向きかを判断し、横向き原稿があれば自動的に横向きに回転させて書き出す機能を持っている。また原稿が両面印刷のものであれば両面を同時にスキャンし、片面が白紙ならばそのデータは削除される。カラーかモノクロかも同様に自動判別可能だ。そこでこれら原稿の縦横の向き、両面片面、カラーとモノクロ、全て混在させて同じく15枚、出力ページされるページは23枚という構成で計測した。

    結果、読みとりにかかる時間は約1分4秒と、10秒弱落ちただけだった。手動計測なのでスペックからすれば誤差範囲だ。ただ、原稿の縦向き横向きの判断を1ページだけ失敗した。モノクロ原稿の150dpiという解像度でも、文書ファイルなら必要以上のクオリティである。だが、2bitの白か黒かというテキスト主体の原稿を前提としているため、カラーページと判断されたページと、黒で塗りつぶした箇所の多いページ、グラデーションがかかっているがモノクロページと判断されたページは若干汚れる。

    解像度をファインモード(カラー200dpi、モノクロ400dpi)にあげると、1分12秒とわずかにスピードが落ちたが、縦横の判断ミスはなくなり、画質も多少向上する。

    ノーマルモードでのPDF読みとり結果。ゴシックフォントの角が若干欠ける箇所がある

    ファインモードでのPDF読みとり結果。角の欠けが少なくなっている

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