【レポート】

独創的なインタフェースのアイデアが光る「インタラクション2004」

4 身の回りの空間を自然に情報化する

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生活空間でのユビキタスコンピューティング

ユビキタスコンピューティングの時代に向けてICタグの導入が流通を中心に検討されているが、それがはたしてどこまで日常生活に関係してくるのか、ということを思い描くのはたいへん難しい。日常にユビキタスコンピューティングがやって来るのは、10年以上先の未来と考えられるからだ。

産業総合技術研究所の増井俊之氏と慶應大学大学院安村通晃研究室の塚田浩二氏は、ICタグやマウスを家具に組み込んでモノをインテリジェント化する「MouseField」をつくり、応用例として「PlayStand++」をデモした。

「PlayStand++」では、ICタグリーダーの組み込まれた位置にICタグを内蔵したCDケースを置くことで音楽の再生が始まる。さらにCDケースを左右に回すことで、ボリュームを調節でき、上下に動かすことで曲の選択を可能にしている。

「MouseField」の応用例「PlayStand++」。テーブルの上にタグリーダーがあるのが見える。日常生活空間で使うことを想定したものである

産業総合技術研究所の増井俊之氏(右)と慶應大学大学院安村通晃研究室の塚田浩二氏(左)

これはなかなか実用的でわかりやすいものである。一度使えばすぐにわかる直観性があり、マウスやGUIと比較しても、ずっとなじみやすいものだ。未来住宅と未来テクノロジーをもたらす「冴えたやりかた」かもしれない。ユビキタスコンピューティングが、その名称とは裏腹に産業・流通用として発展しつつある現在において、その先の生活を具体的に描き出したところが特筆できる。

モノと操作を一体化させるPush&Pullシステム

慶應大学大学院安村通晃研究室の渡邊恵太氏。「いくらでもアイデアが出てくる」と評判になっている

これまた慶應大学大学院安村通晃研究室なのだが、渡邊恵太氏の「Push&Pull」にも心引かれた。Push&Pullとは、環境としてコンピュータを使う新しいシステムの提案である。新しいといっても難しくはない。ディスプレイを手前にもってくると仕事モード、奥に押しやると休憩モードというのを、実際に動くようにしているシステムなのであった。

現時点では、ディスプレイの下にマウスを組み込んであり、マウスの前後の動きを検知している。種明かしをしてしまうと「それだけなの?」という気もしないでもないが、それはさておき具体的な実装では、ふたつのアプリケーションが提案された。

ひとつめはPhotoDrawerで、手前にディスプレイをもってくると、そのとき中央にあった写真がディスプレイいっぱいにクローズアップして表示される、奥にディスプレイを押しやると、次々とスライドショウで表示される、というスライドショウシステムである。

ディスプレイが奥にあると小さなスライドショウが左右に動いている

ディスプレイを手前にもってくると、写真がクローズアップされる

ふたつめはTaskScapeと名づけられた、「眺める」インタフェースを実装したウィンドウシステムである。眺めるインタフェースというと、2003年末に同氏が公開した「Memorium」があるが、このTaskScapeではWindowsのウィンドウが浮遊して、眺めるモードになるというところが新しい。

TaskScapeのほうは、現時点ではWordに未対応ということで公開未定となっているが、Wordを使わないユーザーもいると思われるので、近日の公開を待ちたい。

動画
ウィンドウが動くTaskScape(WMV8形式 154KB 3秒)

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インデックス

目次
(1) 今年はさらに発表数が大幅増のヒューマンインタフェース会議
(2) 熱で絵を描く
(3) 写真の活用や新しいウィンドウシステムの挑戦
(4) 身の回りの空間を自然に情報化する
(5) テキスト情報を取り扱う新技術やフィードバックマウスも
(6) 一般講演:「映像と記憶」セッション

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