【レポート】

独創的なインタフェースのアイデアが光る「インタラクション2004」

3 写真の活用や新しいウィンドウシステムの挑戦

    美崎薫  [2004/03/15]

    コミュニケーションを促進する六の膳

    対話発表はまだまだ続く。

    携帯電話やデジタルカメラによるぼう大な写真を前にして、その写真をどう扱うか、ということは重要なテーマとなりつつある。その写真をコミュニケーションのツールとして使おうというのが、北陸先端科学技術大学院大学の天野健太氏らによる「六の膳」である。

    日本料理のもっとも丁寧な膳組は、本膳(中央に置き飯、汁など)・二の膳(右に置き汁、猪口など)・三の膳(左に置き汁、造りなど)・与の膳(右奥に置き焼き物。みやげ用)・五の膳(左奥に置き、組肴。みやげ用)の五つの膳からなる。※参考:伝統的工芸品産業振興協会Webサイト

    「六の膳」とは、写真を提示する六番目の膳(皿)をここに用意して、食卓コミュニケーションを行おうというものである。卓上では、実際に皿に写真が提示されデモされた。

    食卓はUSBカメラでスキャンされ、プロジェクターで写真を提示している。写真の提示位置はUSBカメラによって皿に追従する。皿を回すと写真を拡大/縮小でき、皿を裏返すと別の写真に切り替えられる。単純な仕掛けだが、写真をコミュニケーションに使おうという点でちょっと興味深い。

    北陸先端科学技術大学院大学の天野健太氏

    テーブルの上の皿に写真が映し出されている

    ちらっと隠れたウィンドウを見る

    写真環境を作り出す「Photorium」で知られる慶應大学大学院安村通晃研究室の神原啓介氏が新たに発表したのが、隠れたウィンドウをのぞき見る「ちらりウィンドウ」である。

    「ちらりウィンドウ」のコンセプト

    現在のウィンドウシステムは、ウィンドウをたくさん開くと重なってしまって見えにくい。これはそもそもディスプレイの解像度が低すぎるためと考えられる。根本的な解決方法は、ディスプレイの解像度を向上させることだが、たとえば20型で1600×1200ピクセル程度であっても、まだ小さいという話もある。デュアルディスプレイなども徐々に浸透しているようだが、本格的な普及はこれからである。最大の問題はディスプレイの解像度が、そうそう簡単には向上しないことにある。ディスプレイの解像度は、たとえばHDD容量の増加に較べればはるかに進化が遅い。

    そこで、この「ちらりウィンドウ」のような、隠れたウィンドウを見る方法が有効ということになる。フリーソフト「窓立て」や、Mac OS Xの「Expose」、東京農工大学の加藤直樹氏およびNTTデータの小國健氏による「ぱらぱらウィンドウ」など同様の研究は少なくないので、今後このジャンルは充実してきそうだ。

    ちらりウィンドウで手前のウィンドウが動くと、奥のウィンドウを見ることができる

    ちらりウィンドウは近々リリース予定だという。マウスのほかにジョイスティックを使うシステムであるため、ソフトウェアだけでは使えないが、試してみてはいかがだろうか。

    キッチンも変わる

    実物展示こそなかったが、モノ系では、玉川大学の椎尾一郎氏らのグループによる「Kitchen of the Future」も迫力満点だった。コンピュータを組み込んだキッチンというのは1990年ごろからいくたびも提案されているが、「Kitchen of the Future」ではディスプレイを4台も組み込んでいるところが現代的である。

    もちろんカメラも組み込まれていて、調理台の画像を音声メモといっしょにとりこんでレシピのWebページを作成しながら遠隔コミュニケーションなどということを行えてしまうのであった。4台のディスプレイは1台のLinuxマシンから出力されていて、XGA(1024×768)の4倍の面積を使えるというリッチさなのであった。

    ドラえもんの秘密道具の開発を目指す、という玉川大学の椎尾一郎氏

    4台のディスプレイという物量で攻める「Kitchen of the Future」

    先の「ちらりウィンドウ」でもわかるように、おそらく日常空間で本当にコンピュータを使おうとするときには、現在のディスプレイは小さすぎると考えられる。ふつう料理をするときには、雑誌の見開き料理レシピを広げながら使うだろう。ページをめくってあちこち見ていたら、料理は黒こげだ。つまり、料理をしながらウィンドウを切り替えるのは難しいわけで、そういう意味で「Kitchen of the Future」は、1990年代以来全盛を誇るウィンドウシステムが限界に来ているのだ、ということを暗に示しているのだと受けとることもできる。

    このようなキッチンが実際に使えるようになることを強く期待している。

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