【レポート】

独創的なインタフェースのアイデアが光る「インタラクション2004」

1 今年はさらに発表数が大幅増のヒューマンインタフェース会議

    美崎薫  [2004/03/15]

    2004年3月4日から5日まで、学術総合センター・一橋記念講堂で、ヒューマンインタフェース技術やインタラクティブシステム全般をテーマとした国内最大規模の国際会議「インタラクション2004」が開催された。(主催:情報処理学会ヒューマンインタフェース研究会、情報処理学会グループウェアとネットワークサービス研究会)

    「インタラクション」開催は好調

    2003年に参加者が400名を超えた「インタラクション」は、1997年に始まり今回で8回目を数える、国内最大規模のインタフェース関係の国際会議である。

    ユビキタスコンピューティングの時代を迎えて、インタフェースの重要性はますます高まっている。ユビキタスコンピューティングというとICタグが中心的なトピックとして取り上げられることが多いが、ユビキタスコンピューティングの時代とは、流通業界だけではなく、一般のユーザーが大量のデジタル機器を扱うようになっていく時代のことでもある。

    身の回りにある大量のデジタル機器、すなわち携帯電話、HDD/DVDレコーダー、デジタルカメラ、カーナビゲーションシステム、プリント機能付きテレビ、インターネットにつながるFAXなどは、みなコンピュータやインターネットの技術をつぎ込んだものであって、形こそいろいろなバラエティをもっているが、じつは一皮むけばコンピュータそのもの、ということが少なくない。

    コンピュータであれば、そこには入出力のインタフェースが必要だが、身につけたりリビングやキッチンで使ったりするものでは、キーボードやマウスというデスクトップ用のインタフェースだけでは充分でない。リモコンやボタン、あるいはちょっと進んだジェスチャーなどを取り入れることで、わかりやすいインタフェースを作っていく必要があるのだ。

    事実、最近のデジタル機器の開発では、純粋なコンピュータ技術の開発は半分ほどで、残りの半分はインタフェースやファイル管理、通信機能の開発ということも少なくない。インタフェースが、いま注目されているのである。

    高いクオリティ=論文数

    対話発表に向かう発表者の列。ずらりと列んだ発表者は1枚のプレゼンテーションシートを手にしている。たまにタブレットPCの発表者がいて、タブレットPCが紙に近い価値をもっていることが感じられる

    「インタラクション」の水準の高さは、論文の投稿数からも計ることができる。発表は一般論文と対話発表(インタラクティブセッション)とに大別されるが、2004年の今年は一般論文が49通中16通の採択(採択率は約1/3)、対話発表が128件中78件の採択(同約2/3)という結果であった。

    特筆すべきは、後者の対話発表の規模である。対話発表は、巨大会議室に小さなブースを区切ってショー形式で行われるので、論文に較べてアイデア勝負的な、独創的な研究が登場しやすい。昨年までは応募のあった発表をすべて採択していたのだが、応募数は昨年の85件に対して今年は128件と50%の大幅増。ついにこちらも上位のみ採択という状態になったのであった。競争によって、より洗練され実現性の高いアイデアが出てくることが期待できるようになってきた、ということでもある。


    拡大する対話発表の規模

    初日の対話発表の数は40。その発表者がずらりと列を作って、次々と壇上に上がっては30秒ずつで自分の発表内容について紹介を行うのである。30秒の持ち時間というのは、テレビでいうところのコマーシャルと同じ長さであって、そこに自分の研究成果を凝縮して伝えていくことは、インタフェースの技術を高めていくことと等しい。

    この30秒のアピールタイムに使われるのは、紙1枚のプレゼンテーションシートであることが多いが、ときおりタブレットPCを使ったり、実際の展示物そのものを持ち込んだりして発表する人がいて、なかなか興味深い。30秒という極限状態において、紙を使ったプレゼンテーションがいまだに現役であるというところに、今後ますますの技術開発の可能性を見いだしてしまうのであった。

    「30秒厳守」と手書きされたシートがあわただしく示された

    展示物を持ち込んでアピールする慶應義塾大学の奥出直人氏のグループ。高く掲げられているのは透明型ディスプレイ(イメージモックアップ)。本にささっているのはICタグ内蔵の光るしおり(モックアップだが光る)。実物を見せられるとアピール度が高い

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