【レポート】

情報処理学会第66回全国大会 ロボットの今と未来

1 ネットワーク機能が不可欠となるロボット

    山田久美  [2004/03/10]

    神奈川県の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで開催されている情報処理学会第66回全国大会初日の9日、第3イベント会場では、特別トラックとして「ロボット技術の現状と展望」と題した基調講演とパネル討論が行われた。

    まず、基調講演では国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の萩田紀博氏が、「ネットワークロボットの将来展望」について述べた。

    ネットワークロボットとは、その名の通り、ネットワークにつながったロボットのことで、経済産業省の予測によれば、2013年にはネットワークロボット市場は19.8兆円に成長しているという。それに対し、ネットワークにつながっていない単体のロボットの場合、同じく2013年には3.5兆円市場程度に留まるといい、ロボットがネットワークにつながることで、さまざまな可能性を広げることができるのだという。

    ロボットがネットワークにつながった時のメリット

    ネットワークロボットの分類

    さまざまな可能性とは、ロボット単体の場合とは異なり、ネットワークにつながることで、行動範囲をより広い地域や多地点に広げることができたり、多くのロボット同士が協調・連携し合ってひとつの作業を行ったり、遠隔操作ができたり、利用目的や用途変更に応じて機能をカスタマイズや拡張をしたりといったことが可能になるということである。例えばインターネットにつながっていないパソコンではできることがごく限られてしまうのと同様で、やはり、今後はロボットにとってもネットワーク機能は不可欠な要素になっていくだろう。

    一方でネットワークロボットは、ロボットがネットワーク機能を有しているというより、ネットワークコンピュータが身体性を持っているという見方もできる。

    これからのネットワーク社会というと、ユビキタスネットワークがまず思い浮かぶが、ウェアラブルコンピューティングや各種センサなどとネットワークロボットとの決定的な違いは、後者の場合には人型やペット型など何らかの身体性を持っているため、存在感があるということ。そのため、将来的にはフレンドリにネットワークとつながり、色々な情報の頼りになる提供者となってくれるという。また、ネットワークロボット産業発展の前哨戦として、"携帯電話"があるという。

    ネットワークロボットの特徴として、萩田氏は次の3つを挙げている。

    1. わくわく感:人間に感動を与える
    2. 当たり前感:人間の生活に入り込み、人間と共存する
    3. 安心感:人間を守り助ける

    また、ネットワークロボットは大きく以下の3タイプに分類されるという。

    1. バーチャル型
    2. アンコンシャス型
    3. ビジブル型

    アンコンシャス型にはセンサロボットやパラサイトロボット、部屋全体がロボットになっているロボティックルームなどが含まれる。

    それぞれの用途としては、バーチャル型の場合はエージェントや個人秘書など、ビジブル型の場合は公共施設の点検や子守り、家庭教師など、アンコンシャス型の場合はロボティック教室や省エネハウス、といったことが考えられているという。

    パートナーロボットの3条件

    また、ATRでは、パートナーロボット「Robovie(ロボビー)」の開発を行っているが、パートナーロボットの3条件として、(1)人間とのコミュニケーション(2)ネットワークとのコミュニケーション(3)生活支援--を挙げている。特に生活支援に関しては、ネットワークとつながることでできることが格段に広がるため、これからの高齢化社会に向けて期待が高まっているそうだ。

    ネットワークロボットが今後普及していくためには標準化も大きな課題となるが、すでに「ネットワークロボットフォーラム」も設立されており、60社以上の企業を含めて119団体が加入しているそうだ。その中で、標準化に向けての活動が始まっているという。

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